シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

関東学院六浦中学校

2020年08月掲載

関東学院六浦中学校【国語】

2020年 関東学院六浦中学校入試問題より

次の文章は新聞の記事からとったものです。読んで、問いに答えなさい。
新聞の見出しは大字や太字にしてあります。

花粉症(かふんしょう)の対策、林業不振(ふしん)が壁(かべ)
スギ新品種へ植え替え進まず

花粉症患者(かんじゃ)にとって憂鬱(ゆううつ)な季節が今年もやってくる。春になると大量に舞(ま)うスギ花粉は、高度成長期に一気に整備された人工林が大きな原因とされる。林野庁は花粉が少ない新品種を開発し、スギ花粉の撲滅(ぼくめつ)をめざす。ただ国産木材の利用が活発にならないと新品種への植え替えも進まず、宝の持ち腐(ぐさ)れになりかねない。
(略)
国内の林業の低迷で国産材が伐採されないからだ。木材の生産額は40年前に比べて7割も減った。輸入木材などに押されてスギの木材価格は80年をピークに低下し、現在は3分の1の水準に落ち込んでいる。事業者にとっては厳しい環境(かんきょう)だ。
(略)
国勢調査によると林業従事者は15年時点で約4万5千人と5年前より1割減った。この傾向(けいこう)を反転させるには、木材を伐採し、活用するという両面を活性化させることが急務だ。
(略)

(日本経済新聞 2019年2月11日 朝刊)

(問)あなたはスギの「国産材」が現在よりも活用されるようになるためにどんな方法を提案しますか。具体的な提案を書きなさい。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この関東学院六浦中学校の国語の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答例

(例1)林業を担う人材を増やすために募集や育成に力を入れて、就労の支援もする。

(例2)太い木材をつくったり、伐採から製品にするためのコストを下げたりするために、木を育てる技術や乾燥期間を短くする技術などを開発する。

(例3)学校の校舎や机など、一部でも国産材を使うようにし、メンテナンスや取り換えなども含めて継続的に国産材が使われるようにする。

(例4)国産材には防カビ剤や漂白剤を使っていないことなど、輸入材と比べて安全性が高いことをアピールする。

解説

文章からは、国産材が伐採されない理由として、木材の生産額が40年で7割減、輸入木材などに押されてスギの木材価格は40年で3分の1という情報が読み取れます。つまり、木材の消費額を増やすことや、国産スギの木材価格が上がるようにすることを目的に置くことができます。この問題は、文章に書いていないことでも、自分が知っていることを使って考えることができるでしょう。

ここで大切なことは、提示された課題を完全に解決しようとするのではなく、少しでも改善するアイディアを考えて書いてみることです。個人でできることや自治体でできること、生産に関係することや加工に関係すること、人材の育成や情報の共有など、さまざまに考えてみることができます。

日能研がこの問題を選んだ理由

選定理由は、二点です。

まず、「文章で示された課題について、子ども達が自分で答えをつくる」点です。スギの国産材活用という課題は簡単に解決できるものではありませんが、自分なりに提案を考えるには、うまくいくかどうかわからなくても一歩をふみだす力が求められます。

次に、「SDGsの取り組みにつながる」点です。スギの国産材を活用することは、SDGsゴール15「陸の豊かさも守ろう」をはじめ、花粉症の人を減らして健康を守ることや、持続的な都市づくりなどに関係し、ゴール3,11,12につながっていきます。気候変動や生物多様性の危機、生産と消費の問題など、現在の複雑な問題を改善するという人類の大きな課題に関わろうとする姿勢が必要です。

以上のことは、これからの時代に求められる力だと言えることから、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。