出題校にインタビュー!
清泉女学院中学校
2020年07月掲載
清泉女学院中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.生徒の持つ多角的な視点を入試問題で見てみたい
インタビュー2/3
事実の裏側にある物事の本質を問う
次に入試問題全体のことをお聞きしたいと思います。
形骸化している問題は避けたいという姿勢を入試のあらゆる部分から感じまして、たとえば歴史で言うと、アイヌの実際の姿を見たうえで考えてもらう問題や1972年の沖縄返還を写真から読み解く問題ですが、一般的な聞き方もできるのに、あえて写真を見せることで、事実だけではなく多角的に捉えてほしいという出題者の意図を感じました。
瀧先生 それが自然と出てきているというのがこの学校の本質だと思います。
「人間がいかに幸せに生きられるか」「困っている隣人を助けよう」という考えがバックボーンにあるから、問題の本質を問いたいですし、事実だけではなくて多角的な視点を聞きたい、という思いが自然と入試にも出ています。
山内先生 単なる事実だけではなく、一歩踏み込んで自分の行動がどういう影響を与えられるのか、を考えてほしいと思います。
実際のところ、清泉女学院には優しくて温かい心を持った生徒、人が喜ぶことを率先してできる生徒が非常に多いです。
行動がどう影響をあたえるのかという点は、入試においても自然と聞きたくなります。
社会科教員の共通理解として、「日常生活をちゃんと送ってほしい」ということがあります。
入試問題に関しては「教科書レベルだよ」と受験生に伝えていますので、受験勉強だけではなく他者を手伝う、家のお手伝いをするとか、そういうのが大切だとは言っていますね。
橘先生 入試を経て入学してきた子の解答を見ると、この問題で満点をとれているかというとそうではない生徒もいるんですね。完成していたり成熟していたりする生徒ではないので、非常に育てがいがあるな、と感じます。
集まってきた生徒の1人1人がとても素晴らしい生徒たちなのですが、清泉女学院の様々なプログラムに導かれて進学していく姿は非常に楽しみです。
清泉女学院の生徒には、安心して自分を出していきながら、本当の意味で生徒同士仲良しになってほしいです。ただ楽しくて、共通の話題で面白がるだけの仲間ではなく、コミュニケーションを大切にすることで、清泉女学院での学びが一生のものになると思います。
社会科主任/橘 英彰先生
生徒たち自身で考えることを重視する校風
清泉女学院の校風の中で、子ども達がのびのびと発想しながら育っていく姿が目に浮かびます。
数年に1度、歴史の問題で「○○についてできるだけ多く記述しなさい」という問題がありますが、「全て書きなさい」ではなく「できるだけ多く」と言っている点が、自由な表現を重視していると感じます。
山内先生 勉強してきた子をどうやって受け入れようかと考えるとあのような設問になります。今後もそういう問題を作っていきたいと思っています。
「よくここまで考えてきたな」「こういう発想もあるんだな」と採点する側の大人がワクワクする解答もありますね。
日頃から自由な発想で生徒たち自身が考えることを大切にしていますので、最近では生徒たちから「やってみたい!」という声が出ることもしばしばです。最近も模擬裁判や模擬国連といった取り組みを行ったりしています。
清泉女学院中学校 グラウンド
設立当初より持ち続けるグローバルな視点を育む環境
3番の設問ですが、今年はSDGsとオリンピックと混ぜて1題となっていました。去年を含めた過去3年は国内のものと世界ものを分けて出題されていましたが、国内のことだけでなく世界のことにも目を向けてほしいという思いを感じました。
山内先生 去年はユニセフの問題も出ていました。社会の事象や世界のことに目を向けることは大切ではありますが、社会をテーマに考えると、今は必然的に国内および国外のどちらの視点も重要となってくるので、自然とそのような問題になってきます。
野澤先生 この学校では世界を考えることが割と当たり前なのかなと思いまして、お祈りの前に教員がいろいろ問いかけるのが日常的です。そこは他校とは大きく違うところだと思います。
祈りを通じて、自分には何ができるか考えたり調べたりできるような環境が整っていますので、清泉女学院には、もともとグローバルな雰囲気がありますね。
知識は活用してこそ意味がある
地理分野についての質問です。ワンテーマ決めてそれに関連する設問で構成されていると思うのですが、どのようにテーマ決めているのですか?
橘先生 今回の地理の問題も完全にSDGsからの出題でして、「住み続けられる街づくり」で金沢を取り上げました。
SDGsに関しては2016年から授業に取り上げていまして、その後SDGs的な視点で物事を捉えていく中、本や新聞の読み方も変わり、授業や入試問題も変わっていきました。特段どういうテーマをどう取り上げるかは決まっているわけではないです。
以前「トウモロコシでプラスチックを作る」という問題もありましたが、トウモロコシの可能性やプラスチックの問題といった1つのテーマの裏側を捉えていこう、という考えはあると思います。そこで初めて子ども達が小学生で身に付けているべき地理の視点というのを試験で試すことができるわけです。
基本的な知識を持つだけでなく、知識を活用する面が見たいということですね。
山内先生 入試では、そこで差がついているのを感じます。
入試の得点分布を見ると、そこで1つでも2つでも活用できている受験生が入学しているといった手ごたえがあります。ただ覚えるだけでなく、活用する知識、そこから学ぼうとする姿勢が大切です。そこは臆さずに解いてほしいですし、どんどんチャレンジしてほしいですね。
清泉女学院中学校 賞状・トロフィー
インタビュー2/3
1877(明治10)年に創立の聖心侍女修道会(本部はローマ、世界20か国に約50の姉妹校)により、1938年、前身の清泉寮学院創立。47年に横須賀に中学、翌年高校を設立。63年に現在地に移転し、2023(令和5)年に創立75周年を迎える。進学率のよさから「鎌倉一の女学校」の座を堅持している。