シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

自修館中等教育学校

2020年06月掲載

自修館中等教育学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.「なぜ?」「どうして?」を日々考える「探究」の精神

インタビュー3/3

探究者を育成する教育方針

その他に自修館の授業の特徴や目指すべきものがあれば教えてください。

田邉先生 自修館中等教育学校の理科では「仮説を立てて考えよう」「人に説明できるようにしよう」といった教科目標があり、そういう子どもを育てていきたいという思いがあります。
ある程度知らないと気づけないこともあるので、なるべく我々の身近な生活や過去、現在のことが世の中にどう繋がっていくのかという話を展開するようにはしています。

佐藤先生 虫好き、マイクロプラスチック、フェアトレードなどに興味やこだわりのある子もいます。部活は運動部なのに趣味で探究をしている生徒もいるし、伝えたいという気持ちが強くて積極的に前に出て話す生徒もいます。同級生で集まって会社作った子もいますよ。
彼らに共通しているのは「探究をやりたい」と自分の世界にはまりたいという子たちである、ということですね。

文系でも理系でも、自分の好きなことを探究していってほしいという思いは強いですね。

入試広報室長/佐藤 信先生

入試広報室長/佐藤 信先生

子どもには自分で考えさせる癖をつけさせることが大事

最後になりますが、これから入学してきてほしい生徒たちへのアドバイスをお願いします。
また自修館の受験を考えている子ども達に、親として常日頃から理科についてどのような接し方をしていると、大問5のような問題を解く力を身に付けられるのか、ぜひ教えていただけますか?

田邉先生 そうですね、たとえば日常の会話の中で「なぜだと思う?と」聞いて、答えをすぐに与えないことでしょうか。

今の子ども達はネットで答えだけを調べてそこで終わってしまうことが多いので、調べたらわかるものについて本や図鑑を用意してあげたり、わざと知らないふりをして子どもに問いかけてみたりすることが大切だと思います。
同じ目線で考えて、そこから子どもが何かを得られたら「すごいね!」と褒めてあげると喜びます。知らないことを安易に教えないことは大事なんだなと感じますね。

「なんで?」と子どもに考えさせたり、ヒントをあげたりすることが重要で、自分で調べてみる、先生に聞く、というアクションを起こしたほうが子どもの記憶にも残りやすいです。私もクイズ形式にしてみたり、「何でだろうね?」と問いかけてみたりすることを日常会話および授業でも意識しています。

学問的に説明できなくても知ってほしいことはたくさんありますし、それに対し「なんで?」という疑問における日常の親子の会話は大切ですね。

自修館中等教育学校 提示物

自修館中等教育学校 提示物

1つでも興味あるものがあれば自修館でさらに伸ばせる

除村先生 自修館には探究の授業があるので、「これに興味がある!」「これが好きだ!」というものがある子どもを伸ばしていけるだけの環境があります。そういう子は楽しんで勉強できるし、興味のある分野の大学に進んで将来を決めていけるかなと思います。「これが気になる!」というものを持っている子どもに来てもらえたら嬉しいですね。そんな子は自修館にぴったりだなと思います。

佐藤先生 自分から発信したい、いろんなものを吸収してみたい、という子が来てくれるとすごく嬉しいです。
待ちの姿勢になってしまうと学校は面白くない場所になってしまうので、何かしら興味があることや、やってみたいことを教員とともに取り組んでもらえたらと思います。

そのためにも、身近なものや季節の移り変わりなど、日常の当たり前のことに疑問をもってほしいですね。実際に見たり触ったりといった体験をたくさんすることで「なぜ?」という疑問が出てきます。
そこでは文系理系とかは関係なく、そうしたことを知ってほしいと思いますね。

教頭/除村 邦夫先生

教頭/除村 邦夫先生

インタビュー3/3

自修館中等教育学校
自修館中等教育学校スクールバスにて小田急線愛甲石田駅より約5分、JR東海道線平塚駅より約25分。目の前には緑多い大山と丹沢の山々があり、恵まれた自然環境。校舎は、5階建ての普通教室棟と特別教室棟からなり、図書館、PC教室、自習室などを備え、高度情報化社会に対応したつくり。体育館や屋上にプールを備えたアリーナ棟もある。学校食堂の枠を超えたレストラン、カフェテリアも好評。
建学の精神「明知・徳義・壮健」の資質を磨き、実行力のある優れた人材を輩出し人間教育の発揚を目指す。そのため、学力とともに、「生きる力」を育成するテーマ学習や心の知性を高めるEQ教育などユニークな取り組みを実践。教育を“こころの学校作り”ととらえ、学校を想い出に感じ、帰れる場所に、と家庭とも連携を保ちながら、きめ細かい指導にあたっている。
中1~中3を「前期課程」、高1~高3を「後期課程」とした、高校募集のない完全中高一貫の体制。3カ月を一区切りとする4学期制で、メリハリをつけて効果的に学習を進めている。英・数は高2から習熟度別授業を実施。英語の副教材には、『ニュートレジャー』を使用。興味のあるテーマを選んで継続して調査・研究を行う「探究」の授業もある。指名制の補習と希望制の講座がさかんに行われている。また個別指導が多いのも特徴。
週6日制だが、土曜日の午後は自由参加の土曜セミナーを開講。「遺伝子組み換え」「古文書解読」「伊勢原探訪」など生徒対象のものだけでなく、保護者対象の講座も多数用意している。「探究」以外でも心の知性を高める「EQ」理論に基づいた心のトレーニング「セルフサイエンス」や、国際理解教育など、特色ある教育を展開。中1のオリエンテーション、山歩きに挑戦する丹沢クライム、芸術鑑賞会などの行事がある。文化部9、運動部10のクラブ活動も活発。「探究」の一環として、高2でオーストラリアでの海外フィールドワークが行われる。