シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

自修館中等教育学校

2020年06月掲載

自修館中等教育学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.サイエンス的視点で物事を考えられる子に育てる教育を目指す

インタビュー2/3

特定分野にとらわれない授業を展開

普段の理科の授業についてはどうですか?

田邉先生 自分は化学の教員ですが、あまり学問領域や学問分野にとらわれないで授業をしようと考えています。高度な研究になればなるほど学問分野は混ざっていくものなので、基礎的な知識を持ったうえで、多角的な視点を持ってほしいですし、なるべくそういう視点を提供してあげたいです。

「化学的視点ではこうであって、生物的・物理的視点だとこうなんだ」と全部ひっくるめて理科・サイエンス的な視点で物事を考えられる子になってほしいという思いは常にありますね。

自修館中等教育学校 自習室

自修館中等教育学校 自習室

驚きや発見を得るために実験を先に行うスタイルへ方向転換

授業において具体的に何か行っていることはありますか?

田邉先生 ここ数年実験で意識しているのは「○○の勉強をするよ」と言って実験させないことですね。
安全に気を付けてまずは実験をやってみて、次の授業で「実は…」という展開することをあえて行っています。

今までの授業では、理論を説明した上で実験をする、という流れだったのですが、新しい視点や驚き、発見を見つけてほしいと思い、予備知識なしで安全性だけ確保して実験を行っていく方向に切り替えました。

実験は結構多いのですか?

田邉先生 ありますね。中学生では安全性が確保できているものが多いので、先に実験をすることが多くなっています。

他校でも実験をやっている学校は多いですが、その場合は主に中学生であることが多く、高校生になると受験が近づいてくることもあって実験回数も減ってくるようです。その点はいかがですか?

田邉先生 やはり実験回数は減ってきますし、内容が高度になってくるので時間的制約も出てきます。
できるだけ本物に触れさせてあげたいという思いはありますし、どうしてもできない場合は映像で見せたり教員がやって見せたりもしますが、できるだけ実験は減らさない方向にしています。

自修館中等教育学校 理科実験室

自修館中等教育学校 理科実験室

コロナ禍での実験について

これからの時代、実験のやり方も変わっていくのでしょうね。

田邉先生 理科室は対面式ということもあり、現在は新型コロナウィルスの影響で理科室を使うことができません。その代わり、教員によりますが自分で行った実験をYouTubeにアップするなどの工夫をしている人もいます。

佐藤先生 大事なのは考えさせることですね。
自宅学習期間中には、生徒に家で実験をやってみるように伝えまして、「デンプンを水で溶いて、胃腸薬を入れて、イソジンを加えるとどう色が変わるか」というレポート課題を出したりもしました。5年生(高校2年生)の課題です。

レポートの内容はどうでしたか?

佐藤先生 自分たちで学んできたことのまとめとして、実際にどうなるか確かめてもらうためにやってもらったものですから、詳しいことはそこまで求めませんでした。

今の子は答えだけ求めがちですが、重要なのは「なぜそうなるの?」と探究することです。
どの科目の入試問題も必ずそういう探究の部分が入っていて、入学した後に自分自身でものごとを考えていく、新しいことを作り出していく、ということへと導いてあげることが我々教員には求められていると思っています。

自修館中等教育学校 理科実験室

自修館中等教育学校 理科実験室

インタビュー2/3

自修館中等教育学校
自修館中等教育学校スクールバスにて小田急線愛甲石田駅より約5分、JR東海道線平塚駅より約25分。目の前には緑多い大山と丹沢の山々があり、恵まれた自然環境。校舎は、5階建ての普通教室棟と特別教室棟からなり、図書館、PC教室、自習室などを備え、高度情報化社会に対応したつくり。体育館や屋上にプールを備えたアリーナ棟もある。学校食堂の枠を超えたレストラン、カフェテリアも好評。
建学の精神「明知・徳義・壮健」の資質を磨き、実行力のある優れた人材を輩出し人間教育の発揚を目指す。そのため、学力とともに、「生きる力」を育成するテーマ学習や心の知性を高めるEQ教育などユニークな取り組みを実践。教育を“こころの学校作り”ととらえ、学校を想い出に感じ、帰れる場所に、と家庭とも連携を保ちながら、きめ細かい指導にあたっている。
中1~中3を「前期課程」、高1~高3を「後期課程」とした、高校募集のない完全中高一貫の体制。3カ月を一区切りとする4学期制で、メリハリをつけて効果的に学習を進めている。英・数は高2から習熟度別授業を実施。英語の副教材には、『ニュートレジャー』を使用。興味のあるテーマを選んで継続して調査・研究を行う「探究」の授業もある。指名制の補習と希望制の講座がさかんに行われている。また個別指導が多いのも特徴。
週6日制だが、土曜日の午後は自由参加の土曜セミナーを開講。「遺伝子組み換え」「古文書解読」「伊勢原探訪」など生徒対象のものだけでなく、保護者対象の講座も多数用意している。「探究」以外でも心の知性を高める「EQ」理論に基づいた心のトレーニング「セルフサイエンス」や、国際理解教育など、特色ある教育を展開。中1のオリエンテーション、山歩きに挑戦する丹沢クライム、芸術鑑賞会などの行事がある。文化部9、運動部10のクラブ活動も活発。「探究」の一環として、高2でオーストラリアでの海外フィールドワークが行われる。