シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

佼成学園中学校

2020年06月掲載

佼成学園中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.デジタルツールを生徒が発言するシカケに

インタビュー3/3

既存の昔話の「型」から新たな昔話を創作

授業ではどんなことに取り組まれているのですか。

関根先生 インプットした知識をかみ砕き、消化し、変換して、表現(アウトプット)する力を大事にしたいと考えています。
例えば、中1では昔話を創作します。いろいろな昔話を読んで、共通する「型」を探します。例えば「報恩感謝」「因果応報」など。見いだした型に則った昔話(原稿用紙3枚程度)を作ります。これは、既存の昔話をインプットして、見いだした型に則り創作としてアウトプットする作業です。
出来上がった作品は展示ボードに掲示するなど可視化して評価します。優秀作品は図書室前の特設スペースに展示し、保護者会で保護者にも見てもらいます。

佼成学園中学校 教室

佼成学園中学校 教室

ロイロノートで生徒の意見を一覧化・比較化

関根先生 小説は、いろいろな文学作品に触れて豊かな心を育むことを目標としながら、自分たちの人生にはない登場人物のさまざまな局面における心象描写を学びます。また、来たるべき未来でどんな気持ちがあり得るのかを知っていきます。論説文は正確に読み解き、正確に伝えることに重点を置いています。

本校は1人1台iPadを配布しており、国語の授業でも「ロイロノート」が非常に有効です。生徒が自分の考えをiPadに入力、教員に送信します。それを教室のプロジェクタースクリーンに映し、いくつかピックアップして発表、意見が異なる場合はディスカッションします。生徒は授業に参加している意識が高くなります。時間はかかりますが、おもしろく授業できていると思います。

佼成学園中学校 校舎内

佼成学園中学校 校舎内

ICTツールの活用で発言する機会が増えた

iPadの導入前後で授業はどう変わりましたか。

関根先生 大きく変わったわけではありませんが、授業中の教員と生徒のやり取りはロイロノートの方がスムーズです。
「これについてどう思う?」と投げかけて、挙手をする生徒は実際そういません。iPadがあると寡黙な生徒でも書きます。答えを比較するのに何人かピックアップしますが、ふだんはあまり発言しないような生徒も選び、どういうことか説明してもらいます。自分が書いた解答は本人しか説明できません。発言する機会が増えた点は大きいと思います。みんなの前で発言するうちに、仲間から評価されて、話すことに自信をつけていく様子を何度か見てきました。

また、議論が頓挫しかけたとき、「ここは、○○に聞いてみようよ」と言ってうまく水を向ける生徒もいます。クラス全体を見渡せる元気印の生徒がリーダーシップを発揮してくれると、ディスカッションがうまく回ります。

「考える」作業を挟むことで書く力がアップ

国語の「書く」力をどのように鍛えているのですか。

関根先生 ロイロノートの登場で、当てられるかどうかにかかわらず、「考えて書く」機会が増えました。教員の板書を機械的に写すのではなく、「考える」作業を挟むことで自分の言葉で表現するようになります。また、各自の意見はスクリーンに可視化されるので、書いたことに責任を持つようになります。これを繰り返すことで徐々に書く力がついてきます。

受け身ではなく能動的になれるように、授業では自発的になる場面を仕掛けるように心がけています。
特に現代文は、基本的にわからないことはないと思います。考えているか・いないか、意見を表明したか・していないかです。考える・伝えるチャンスを与えて、そのハードルを少し下げる、チャレンジできる状況をつくってあげることが教員の役目だと思っています。

佼成学園中学校 掲示物

佼成学園中学校 掲示物

新型コロナ感染拡大でオンライン授業を実施

新型コロナウイルス感染拡大で学校が休校になり、貴校は6月末までオンライン授業を行うと伺っています。生徒さんの反応はいかがですか。

関根先生 私は高2の受け持ちですが、勉強に関しては特に問題ないようです。
ただ、今まで教室で行っていたようなアクティブラーニングはできません。私がオンライン授業で行っているのは、次回に持ち越さない、その日に終わる“1授業完結型”の問題演習です。
本校は、2015年度の高1から1人1台iPad配布を始め、2017年度から全生徒が持つようになりました。今回、Zoomを使ったオンライン授業ができ、インフラ整備ができていてよかったと思います。

1日の時間割はどのようなものですか。

関根先生 朝8時30分からのホームルームで出欠を確認し、午前に3時間、午後に1時間、計1日4時間、全教科の授業を行っています。授業開始はわかりやすいように、9時、10時、11時、13時のきりのいい時刻に設定しました。4時限目終了後、高校生はオンライン講習(希望制)も設けています。中学は探究学習を入れています。

校訓「行学二道」を国語でも実践

中高6年間でどんな国語の力をつけてもらいたいと思っていますか。

関根先生 本校の校訓「行学二道」は、「行い=体験による人格の向上」と「学び=学問による知識の習得」の2つを、車の両輪、あるいは鳥の双翼のように、バランスよく両立できることを目指すものです。

国語においても、インプット(知識と体験)とアウトプット(伝える力)を両立できるように鍛えています。本校は1クラス30名程度で、生徒一人ひとりに目をかけることができます。自分の考えを他者に表現できるようになると、友だち関係や、クラブ活動、学校行事でのコミュニケーションが活発になり、学校全体が活気づきます。
そうした日々の活動の延長として、建学の精神に謳われている「平和な社会の繁栄に役立つ若者の育成」につながればと思っています。

佼成学園中学校 校訓

佼成学園中学校 校訓

インタビュー3/3

佼成学園中学校
佼成学園中学校「建学の精神」は、「法華経の精神に基づき、豊かな宗教的情操を培い、知に偏らず、情・意の教育にも力を注ぎ、心身一如の円満な人格をもった平和社会の繁栄に貢献できる人間を育成する」ことである。
一人ひとりが素晴らしい心を持っていることを知り、多くの人とともに生き、磨きあい、助け合いながら、現実の社会と積極的にかかわろうとすること、また、生涯にわたり自らを支える豊かな心と幅広い視野、そして確かな学力。一人ひとりがそんな「自ら育つ力」を身につけることを目指している。
機能的で広さや採光に十分に配慮された校舎は、伸び伸びと気持ちよく過ごせる空間になっている。また、コンピュータ教室、LL教室、音楽教室などの本格的な設備も完備し、全ての普通教室に電子黒板機能つきプロジェクターおよびWi-Fi環境が整備されている。 2015年度高校入学生より導入のタブレット端末とあわせて、新しい学びの形の実現がすすめられている。
生徒と先生の距離が近く、職員室ではいつも、気軽に先生に相談する生徒の姿が見られる。生徒同士、生徒と先生、先生同士という、その人と人との関係の強さが、東京大学に5年連続で合格者が出ているのを始めとして、年々、難関大学への進学者が増加という成果につながる。もちろん、勉強面だけではなく、数多くある体育系・文化系のどちらの部活動も盛んである。