シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

佼成学園中学校

2020年06月掲載

佼成学園中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.国語らしく、自分の考えを自分の言葉で表現しよう

インタビュー2/3

本文の核心に迫っていくように設問を配置

この問題を含む大問四は、設問の配置がスムーズですね。小学生の思考の特性をよくご理解して作問されていると感じます。設問設定で気をつけていることはありますか。

関根先生 解き進めていくうちに、本文の核心に迫っていくような設問の配置を心がけています。
最後に出題する自由記述問題は、与えられた文章を俯瞰すると見えてくる問題点やテーマを、自分の実体験などを踏まえて自分の言葉でまとめるような問題を設定しています。
選択問題は、選択肢を見るだけで正誤判定するのではなく、本文に戻って根拠を検証する必要があるものを設けています。

佼成学園中学校 校舎内

佼成学園中学校 校舎内

抜き出し問題を文章丸ごと書かせる理由

貴校の抜き出し問題は、本文をきちんと読んでいれば見つかるところ、読解のキーワードとして押さえるべきところを聞いていますね。むしろ読み落としてはいけないところが答えになっています。

関根先生 抜き出し問題は、中途半端な字数指定で「この字数ならココ」と連想させるのは国語的ではありません。国語の力で勝負できる問題を出題するよう心がけています。
「最初と最後の3~5字ずつ」というような出し方はなるべくせずに、20~30字以内に収まるなら、その文章丸ごと書かせて、「ここが大事なんだ」と気づかせるようにします。そうした問題を大問の始めの方に配置して、後半の問題に取り組んでもらうようにしています。

佼成学園中学校 掲示物

佼成学園中学校 掲示物

異性が主人公の物語文で多面的な視点を試す

素材文選びはどのようなことを重視されていますか。

関根先生 小学6年生に問題意識を持って読んでもらえるような題材を選んでいます。また、入試問題として受験生の力を測ることができる題材か、良問を作ることができそうか、厳しく見極めます。

大問三の物語文の主人公は、高校受験を控えた中3女子です。小学6年生の男子には読み取りが難しそうです。

関根先生 「スポーツをしている男子」が主人公の物語文は感情移入しやすく、得点率も高い。一方、主人公が異性になると感情移入しにくいところがあって、得点率が下がることがあります。
物語を通して、自分とは異なる立場の考え方や行動を知ることは、別の角度から物事を見ることになります。異性が主人公の物語文を素材にした問題から、物事を多面的に見る力を試すことができます。

自分の意見を書ける受験生が増えてきた

国語の入試問題を通して、受験生のどのような力を見ようとしていますか。

関根先生 知識はもちろん大切ですが、それだけでなく、発想力や思考力、表現力を見たいと考えています。その場で与えられた情報を基に、自分の経験に引きつけて考え、自分の言葉で伝えることができる力を測れる作問を心がけています。
本来、国語とは、用意された選択肢の中から1つ選ぶのではなく、問われたことにすべて自分で答えるものであるはずです。自分の意見を自分の言葉で臆することなく表現してほしいですね。

最近は、文法の細かいルールはあまり気にせず、文章記述問題に果敢にチャレンジする受験生が増えてきたように思います。思考問題にしっかり取り組める受験生は入学してから伸びます。これからの社会で必要とされる力、考える力、話す力、書く力のある受験生を評価する問題を作りたいと思っています。

佼成学園中学校 グラウンド

佼成学園中学校 グラウンド

インタビュー2/3

佼成学園中学校
佼成学園中学校「建学の精神」は、「法華経の精神に基づき、豊かな宗教的情操を培い、知に偏らず、情・意の教育にも力を注ぎ、心身一如の円満な人格をもった平和社会の繁栄に貢献できる人間を育成する」ことである。
一人ひとりが素晴らしい心を持っていることを知り、多くの人とともに生き、磨きあい、助け合いながら、現実の社会と積極的にかかわろうとすること、また、生涯にわたり自らを支える豊かな心と幅広い視野、そして確かな学力。一人ひとりがそんな「自ら育つ力」を身につけることを目指している。
機能的で広さや採光に十分に配慮された校舎は、伸び伸びと気持ちよく過ごせる空間になっている。また、コンピュータ教室、LL教室、音楽教室などの本格的な設備も完備し、全ての普通教室に電子黒板機能つきプロジェクターおよびWi-Fi環境が整備されている。 2015年度高校入学生より導入のタブレット端末とあわせて、新しい学びの形の実現がすすめられている。
生徒と先生の距離が近く、職員室ではいつも、気軽に先生に相談する生徒の姿が見られる。生徒同士、生徒と先生、先生同士という、その人と人との関係の強さが、東京大学に5年連続で合格者が出ているのを始めとして、年々、難関大学への進学者が増加という成果につながる。もちろん、勉強面だけではなく、数多くある体育系・文化系のどちらの部活動も盛んである。