シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

武蔵中学校

2020年05月掲載

武蔵中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.正解している答案は解法がシンプル

インタビュー2/3

現実にありそうな設定なら考えやすい

春山先生 入試問題を作る際は、「こんな力を試そう」というよりも、「これを聞いたら、おもしろいかな」ということから発想することが多いですね。
作問で大切にしているのは、現実味があることです。小学生でも理解しやすい内容であること、身近なことから逸脱しないように心がけています。
例えば2020年入試の大問1(2)ではランチセットのクーポン券を題材にして設定場面を想像しやすくしました。速さの問題は、設定が不自然にならないようにしています。算数の問題なので限界はありますが、受験生の日常にありそうな設定にすることで考えやすくしています。

数学科/春山 大輔先生

数学科/春山 大輔先生

シンプルな解法は一目で正解とわかる

貴校の入試問題はすべて「式や考え方も書く」ことを求めています。こうした問題で得点できるお子さんは、どんな力があると思われますか。

新井先生 解答用紙に試行錯誤の形跡はありますが、「解法がシンプル」という点が挙げられます。そうした答案は一目見て「これは正解しているな」と感じます。正解する上で肝心なところをしっかり押さえ、スマートに、簡潔にまとめられています。そのまま模範解答に出しても遜色ないような解答もあります。一方、いまひとつの解答は考え方があちこち“脱線”している印象です。
図形問題は答案が雑然となりがちで、読み解くのに骨が折れます。図形の基本的な性質や、ヒントになる図形の長さや面積など、根本的なことをきちんと押さえれば、スマートに解くことができると思います。

武蔵中学校 フーコーの振り子

武蔵中学校 フーコーの振り子

問題に“捨て問”はない

春山先生 本校の問題にはかなりやりがいのある問題が入っています。「武蔵の最後の問題が好きだから受験します」というお子さんがいるのはうれしいことです。そうしたお子さんは、ゲーム感覚で、楽しく学んでいるのではないでしょうか。
教員も楽しんで問題を作っていますから、「楽しむ」意図をキャッチできると解きやすいのではないかと思います。

友利先生 入試問題は全問解いてほしいと思って作問していますから、おもしろがって解いてもらいたいですね。

春山先生 受験生によって解く順番は違いますが、合格している受験生に“捨て問”はないように感じます。大問一題丸ごと手をつけないのではなく、(1)や(2)を解くことで合格に近づきます。

新井先生 本校の入試問題は、基本的に問題を解く力をつければ解ける典型的な問題と、この問題のように思考力を試す本校らしい問題を出題しています。地道に勉強できるお子さんに加えて、思考することを楽しめるお子さんに入学してもらいたいと思っています。

武蔵中学校 校舎内展示物

武蔵中学校 校舎内展示物

インタビュー2/3

武蔵中学校
武蔵中学校1922年に日本で最初の私立七年制高校として創立され、2022年に創立百周年を迎える。次の百年に向け、「学びの水脈と対話の杜(もり)」をコンセプトに校舎新改築を行い、また、第二外国語必修や国外研修制度に加え、REDプログラムの実施など、グローバル人材育成を加速させている。武蔵学園キャンパスには、大学、高校・中学があり、中央を横切るように小川(濯川(すすぎがわ))が流れていて、濯川の南側を高校・中学が使用している。また、学園全体で使用するものとして大講堂があり、大学図書館も高中生が使える施設となっている。自然豊かで、落ちついた学習環境の中で学園生活を送ることができるキャンパスだ。
社会で必要とされる本当の学力である、対象を自分自身で選び、考え、楽しみ、追究する力を育てる。そのために「本物」に触れることを重要にし、理科の授業における様々な実験、社会・国語の授業での資料の読みこなし、山上学校、民泊実習、天文実習、地学巡検などの校外実習で、生徒たちは自然に「本物」と対峙する。記念祭・体育祭・強歩大会、国外研修での留学経験、課外活動での先輩・後輩との繋がりから、授業では学び得ないことも学ぶ。国内・海外における校外活動チャレンジ奨励制度を使って海外のプログラムに参加したり、現地調査での研究成果を発表する生徒もいる。
志望大学・学部の選定にあたっては、生徒本人が自分の将来を見据えて必要な情報を自ら集め、主体的に考えて判断することが大切、としている。進路指導委員会を設けて、生徒本人が判断するための支援をしている。中3以上を主な対象とした進路ガイダンスでは、社会の第一線で活躍している卒業生を毎年多く招き、興味深いエピソードを交えた仕事の内容や意義を直接聴く機会を設けている。その職業に就くために必要な準備や心構えに関するアドバイスを受けることもできる。
クラブ活動への参加は自由だが、ほとんどの生徒が部・同好会に参加している。文化部では中学生・高校生が一緒に活動し、運動部は部によって活動を別に行っているところもある。文化部、運動部とも活動は盛んで対外的にも多くの成果をあげている。クラブ活動を通した先輩・後輩の繋がりは卒業後も太い絆となって一人ひとりの財産となっている。またクラブ活動だけでなく、代表委員会の活動に活躍の場を求める生徒もおり、そのような生徒が中心となって、記念祭・体育祭・強歩大会・美化委員会・図書委員会・報道班・ 放送班の活動を支えている。