シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

神奈川大学附属中学校

2020年04月掲載

神奈川大学附属中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.タブレットPCを用いることにより教員と生徒との双方向型教育を実現

インタビュー2/3

タブレットPCを活用した効率的な授業を実施

では、次に授業について聞いていきたいと思いますが、通常の国語科の授業で工夫されていることや、実際にされていることなどお聞かせくださいますか?

松本先生 普段の授業では教科書をそのままなぞるのではなく、ゼロから自分たちで話す・聞くという、発表が伴うような活動をするようにしています。最近はタブレットPCの利用が中2から高1までの3学年に広がり、インフラが整備されてきました。国語科としてタブレットPCはかなり使えるツールだと感じており、例えばプリントを配ってわたすと生徒は結構なくしてしまうのですが、PCの中にすべてデータが入っているので、PCさえあればなくすこともありませんし、配る時間も短縮することができるんです。

神奈川大学附属中学校 教室

神奈川大学附属中学校 教室

感覚的アプローチは国語科こそ必要

松本先生 また我々教員が添削物を集めるとなれば当然物理的にものが溜まっていきますし、その後添削して返していくにしてもそれはすでに終了したものでもあるため、生徒も確認印だけ見て終わり、となることがよくあります。それをデジタル化することによって、結構見てくれるようになるんです。

授業の発表については、他の生徒と意見をやりとりしたり総合評価したり、動画を撮ってあげたものをタブレットで見られるようにしたりしています。その際は自分のクラスだけでなく他のクラスの発表や動画も見ることができるようにもしています。授業中に「ここに線を引くように」と言ったところで生徒は引きませんし、プロジェクターなどを見せても小さくて見づらかったりするのですが、タブレットPCの画面上で指示すればすぐに見せることができます。
文章の大事な部分にマークして見せるだけで自分と違った視点が養われていきます。感覚に訴えていくようなアプローチは国語こそ大事なのではないか?と思いますね。

市川先生 生徒側の配信では名前を消して送ることができるので、誰の解答かはわからないようにすることができます。誤答を見せる時にはなるべく名前は見せないようにして「こういう間違いがあったよ」とほかの生徒たちに伝えることはよくあります。

阿部先生 子ども達は自分たちから能動的に動くことが多いので、教員が主導するというよりはむしろファシリテーターのような形で回していくような授業に自然となっているという感じがしています。

広報部長/阿部 裕先生

広報部長/阿部 裕先生

タブレットPCではタイプするのではなく手で書かせることが重要

市川先生 やはり手で書くことのほうが脳科学的には記憶として残ると証明されていますので、このタブレットPCは手で書けることが魅力ですね。

松本先生 紙に書けというと、子ども達にとってはすごく抵抗感があるんですね。おそらく世代的なものもあるのだと思いますが、デジタルだと結構書き込んでくれるんです。紙よりもデジタルのほうが文法や論理構成もしっかりしたものを書いてくるように感じています。

原稿用紙に書いていると支離滅裂になってくる生徒も、タブレットPCを使って書くとちゃんと自分がしゃべっているように書ける、といったことはあると思います。理由の一つに、ペンをひっくり返すと消しゴムになるので、結構簡単に修正できるという点もあるのではないでしょうか。

デジタルネイティブのすごいところとして、紙に書くよりも入力する活字のほうがかっこいいと感じるのもあって、わざと自分でデータをエクスポートしてPDF上でテキストを打ってみたり、その後インポートして提出してみたりする生徒も中にはいますね。

一部の生徒は手で書いたほうが早いとってノートの写真を撮って提出する者もいて、教員はその写真に対して書き込みすればよく、それはそれで大変なのですが、教員と生徒が双方向でやりとりする機会を増やすという意味では非常によいのかな、とは思います。

広報次長/市川 英夫先生

広報次長/市川 英夫先生

タブレットPCはあくまで道具として考えているものにすぎない

市川先生 また、このタブレットPCには録音機能もあるので、音読の宿題もタブレットPCを使って行うことができます。音読も授業だとたくさんの生徒に当てるだけの時間は取れないため、生徒に課題として録音してもらい、練習した中で一番いいものを送ってもらいます。他にはYouTubeを貼り付けることもできますので、英語の授業などでは海外の有名な経営者のスピーチを聞きながら穴埋め課題をしてもらうということもできます。

阿部先生 実際のところデジタルは非常に便利ではあるんですけれど、基本的にやっている内容はアナログの場合とまったく同じです。プリントアウトしたりディスカッションさせたり、今まで授業の中で工夫をしてきたいろいろなことを、タブレットPCではより簡単に、より便利にできるようにできるというだけで、あくまで道具として使っているにすぎません。もしタブレットPCを使うことを目的にしてしまうと、教育の本質からはかけ離れてしまうのではないかとは感じています。

市川先生 今よく言われる、方法や手段の目的化は一番避けたいところですね。

神奈川大学附属中学校 掲示物

神奈川大学附属中学校 掲示物

生徒同士で評価し合う場にもタブレットPCを活用

他にはどのような使い方をされていますか?

松本先生 ルーブリックは総合評価によく使います。教員も添削は頑張ってやりますが、さすがにすべてを見るのは大変なのでルーブリックを通じ「こういうところは良かったけどここは足りなかった」というような評価を生徒同士でお互いに付けあうことはしています。教員が言うことよりも友達が言うことのほうが100倍耳に残りますし、非常に良いと思います。

阿部先生 SDGsでもあるように、これからの社会に求められる力として、このようなツールを活用することで有利に働くだろうと我々も思っているので、導入して使っているということですね。

市川先生 タブレットPCを活用した授業は都会の学校でも当然できるとは思いますが、我々の場合はその部分と自然環境に囲まれた中で情緒を育んでもらえたらな、と思います。

インタビュー2/3

神奈川大学附属中学校
神奈川大学附属中学校「質実剛健」「積極進取」「中正堅実」を建学の精神に掲げ、真面目で、サバイバル能力があり、何事も進んで行う人間性豊かで有能な人物の育成に努める。「足を大地に手を大空に」という学校のモットーは平成10年に生徒会の提案で決められた。多様な教科をバランスよく学ぶ「生涯学習」の立場、すべて男女共修の「ジェンダーフリー」の立場をとりながら、国際化と情報化への対応や個性本位の進路指導を教育理念の柱とする。
「教科学習」「進路指導」「生活指導」「校外学習」等のすべては、2年ごとにきざむ3段階でゆとりを持って積み上げられており、保健体育科・音楽科・美術科・技術家庭科の充実度は大きな特色の一つとなっている。体育も家庭科も男女混合で行われており、体格差、得意不得意の差があるからこそ助け合いの大切さを学べるという考えのもと、社会性が養われている。部活動も盛んであり、広大な敷地と、その中にある多様な施設を使って、10の運動部と8つの学芸部が活動している。顧問の他にコーチ制度も設けられ、専門的な技術指導が受けられる体制も整っている。
神奈川大学への推薦入試制度はⅠ期とⅡ期の二度あり、Ⅱ期では、ある程度の私大入試が終わってからの出願になる。一人ひとりの可能性を見逃さないきめ細やかな指導による6年間で、大学合格実績や現役での合格率も、年々向上している。学校にある「くすのき」はシンボル的存在であり、合格祈願のために「くすのき」の前で手を合わせる受験生も多い。