出題校にインタビュー!
開智中学校
2020年03月掲載
開智中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
3.生徒との距離が近い学校の特色を生かし、生徒の伴走者として学習活動を支援していく
インタビュー3/3
生徒と一緒に考えていく授業作り
授業に関して伺っていきます。開智中学校のアドミッションポリシーから、いろいろなことにアンテナを立てられる子や自分から考えられる子が求められており、そのような生徒を育てていきたい、ということを非常に感じるのですが、社会の授業は具体的にどのように行われているのか?工夫しているポイントなどありましたら教えてください。
向井先生 授業の工夫に関してですが、先ほど申したように、いろんな教員が好きなようにやるので、教員側が面白く見せることによって生徒がそれに乗っかってお互いに楽しむことができる、という部分があると思います。雰囲気に関しても、本校の場合は教員と生徒の距離は近いと思いますので、一緒に考えていくということを教員の中では意識しています。
あと、教材に関して今はタブレットも段階的に導入していますし(令和2年度には全員が所有)、各教室にはプロジェクタを設置しています。ほかには発表形式やグループワーク等、各教員が得意な手法を掛け算し、生徒に刺激を与えていくというところに本校の特徴があると思います。
開智中学校 吹き抜け
クイズ形式の授業は生徒に人気
授業を楽しく行うために何か特別なことはありますか?
向井先生 いくつかありますが、実物から考えることは刺激になります。スマホを分解して、レアメタルの生産やサプライチェーン、そこから南北問題を考える授業をしました。選挙や労働基準法などについてクイズ形式で行うこともあります。クイズ形式にすると覚えやすいので生徒の反応がよいですね。どうしても知識偏重の授業だと疲れてくるので、遊びの部分を入れてあげようという工夫を行っています。
遊び心を取り入れた授業も
高田先生 テスト範囲は揃えないと不公平が生じますのでそこは合わせますが、そこまでのプロセスは何でもありなので、それが社会科のルールとなっている感じです。
今は、教員のほうが義務感を表に出した授業を行っても生徒はついてきません。最初はつまらなそうにしている生徒も、こちらが面白そうに授業をしていると「先生がそこまで楽しがっているのなら聞いてやろう」というような効果はあるのではないかと思っています。
他に、遊びの部分を取り入れていることとしては「昔の教科書を引っ張り出してくる」ということをやったりしていますね。よくわかりやすいのは先史時代ですね。私が高校生の頃は最古の人類は200万年前と言われていたのですが、現在だと700万年前と言われています。歴史もどんどん書き換えられているという話はしますね。メジャーな教科書でも昔は歴史を縦で切っていたと思いますが、最近は横のつながりを重視した作りになってきていますので、そのような点を意識したテキスト作りなどは心掛けているつもりです。
あとは地理の授業等でやったりするのですけれども、現在新型コロナウィルスが流行っていますが、2009年ごろ新型インフルエンザが流行った際には、世界のごく一部の場所ではじまった感染症が交通網の発達によって急速に拡大していく経緯を見て、最短でどれくらいの速さで伝わっていくのかを航空会社の国際線の時刻表を使って推測する、といった授業をしたこともあります。
開智中学校 賞状
暗記も当然必要
高田先生 授業に関しては対話型ばかりというわけにはなかなかいかないので、詰めなければならないところは詰め込んでいきます。大学受験というゴールもしっかりありますので、教え込まなければいけない部分は当然していきながらバランスを取ってやっています。
時代に合わせて歴史の捉え方も変化
高田先生 先ほど、歴史について触れましたが、歴史の見方は変わらないようで結構変わってきているのが現状です。戦争が起こって誰が勝った・負けた、領土がどうなったといったことも大事なのですが、最近の世界史は人やモノ、情報の動きに着目するようになっており、大航海時代のことを大交易時代とよぶようになっています。「ただ冒険することでなく、お金をきちんと稼ぐことが目的だったんだよ」ということを生徒には話します。
人、モノ、情報の流れというものが大学入試でも重視されています。戦いや人物の名称も当然重視すべきなのですが、世界商品である胡椒やコーヒー、砂糖などがどこで生産されてどのような人に消費されるのか、そのお金はどこから湧いてきたのか、モノが動いてお金が発生するということに力点を置いた授業を展開しています。
学習の取っ掛かりはどんなことでもOK
最後になりますが、社会の勉強方法についてです。何か社会を好きになる方法って何かありますか?
高田先生 過去に大河ドラマで入試問題を作ったこともありますが、学習の取っ掛かりは何でもいいかな、と。社会って最初から詰めてやる教科ではないと思っています。マンガでもドラマでもいいですし、近所のおじいちゃんおばあちゃんの昔話を楽しく聞いたりしながら、先史時代から現代までどこか一つの時代でもここは面白いと感じることができたらいいですね。
他にも、首都圏にお住まいの方なら博物館も充実しており、いい展覧会も数多く開催されていますし、親子で訪れて会話をすることで知識が深まったりいい経験になったりすることもあるでしょう。
勉強は楽しくなければまずはダメですよね。確かにマンガやドラマをきっかけにその前後を理解したり深まったりすることがあるので、見ている子とそうでない子では全然違う気がします。ちなみにマンガって何かおススメはありますか?
高田先生 一般的な日本や世界に関する歴史マンガで良いかと思います。特に三国志は生徒に人気がありますね。
三国志は2~3世紀の中国が舞台です。マンガにより、小学校で教わった弥生時代がちょうどその時期にあたることがわかります。日本と中国の歴史が有機的につながり、子どもたちは新鮮な驚きを覚えます。では同時代の他の地域は?そうか、ローマ帝国があったんだ、というように興味関心をふくらませるきっかけとして、マンガは最適のアイテムです。
開智中学校 掲示物
インタビュー3/3