シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

開智中学校

2020年03月掲載

開智中学校【社会】

2020年 開智中学校入試問題より

(問)下の図は2015年に国際連合で決定されたSDGs(持続可能な開発目標)の一覧です。SDGsは途上国も先進国も含(ふく)めた世界中の一人ひとりに関わる取り組みとされており、17個の目標に対して、責任をもって行動していくことが求められています。さいたま市は2019年に「~誰もが住んでいることを誇(ほこ)りに思える都市へ~」をスローガンにして、「SDGs未来都市」に選定されました。では、さいたま市に限らず、あなたが住んでいる都市が「誇りに思える都市」になるために、あなたはどんなことができますか。SDGsの17個の目標から一つ選び、1~17の番号を解答欄(らん)に記し、その目標に対して、「誇りに思える都市」になるために、あなたができることをわかりやすく説明しなさい。

SDGs(持続可能な開発目標)の一覧

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この開智中学校の社会の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答例

【解答例1】
番号:13
説明:自分が住んでいる都市で栽培された農作物を食べることで、食料を輸送する際に排出される温室効果ガスの削減に貢献したい。このような取り組みは、気候変動の対策を積極的におこなう都市の実現につながると思う。

【解答例2】
番号:12
説明:私が考える「誇りに思える都市」は、大量生産・大量消費をしない都市です。このような都市になるために、洋服のサイズが小さくなって着られなくなったらリサイクルショップに出したり、友達や親せきで着られそうな子にあげたりする取り組みを積極的にしていきたいです。

解説

問題の条件にあるように、17の目標のどれを選んでもかまいません。この問題では、選んだ目標と説明に書かれた内容が対応しているかがポイントです。また、問いかけの中に「あなたが住む都市」「『誇りに思える都市』になるために、あなたができること」とあるため、住んでいる地域の中で自分自身ができる取り組みであることや、その取り組みが「誇りに思える都市」とつながっていることもポイントです。

日能研がこの問題を選んだ理由

2015年に国連サミットで「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されて5年目に入りました。今、世界では、SDGsの17の目標を達成するために、さまざまな取り組みが進められています。
開智中では、自分の住む都市が「誇りに思える都市」になるためにできることを、SDGsの目標と結びつけながら、説明する問題が出題されました。SDGs を題材とした入試問題では、いくつかの目標が抜粋されてしめされることが多くなっていますが、開智中の問題は、17のすべての目標がしめされています。子どもたちは、すべての目標と出あうなかで、「(誇りに思える都市になるために)自分にできること」をさまざまな視点から考えられるようになります。また、問題の中に「あなたが住んでいる都市」や「あなたができることを」という設定があることで、子どもたち一人ひとりが「自分のこと」として、問題に向き合えるようにもなっています。この問題からは、子どもたちに、これからの国際社会を生きる一人として、当事者意識を持ってさまざまなことを考えてほしいという学校のメッセージが込められていると感じました。
以上の理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。