シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

山脇学園中学校

2020年02月掲載

山脇学園中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.普段の生活の中に疑問がある

インタビュー2/3

テーマ性のある大問4の解答に余力を残す

西森先生 大問4題の物化生地の順番は、徐々に難易度が上がるように配置しています。受験生が苦手にしている物理分野は大問1のつもりで平易に作問しているのですが、最終的に大問2以降になることが多くなっています。
誤りを選ぶべきを正解を選んだと思われる解答があるのは、時間がなくなり注意を払えなくなっているからでしょう。基本問題が中心の大問1、2をスムーズに解いて、テーマ性のある大問4にじっくり向き合えるようにしましょう。

理科副主任/西森 美砂先生

理科副主任/西森 美砂先生

受験生が取り組みやすい問題づくりを意識

西森先生 基礎・基本が中心の前半の問題ができている受験生は、難易度が上がる後半の問題もできていると思います。基礎・基本がしっかり身についていれば、読解力や思考力も備わり、適切な言葉や理科用語を使って表現することもできます。
30分という短い時間で全問解けるように、受験生が問題に向き合いやすい作問を意識しています。リード文をコンパクトにして読みやすくしたり、「この図を見ると」などと誘導したり、「あてはまらないもの」という設問のポイントを太字にして気づきやすくするといった工夫をしています。そうしたヒントに気づいてもらえると、問題に取り組みやすくなると思います。

教科書と日常生活を結びつけて考えよう

藤村先生 入試問題は小学生の日常生活や知っている現象に近づけるように心がけています。日常生活に関わる現象を、学習したことと結びつけて考えられるようにしましょう。生徒は、教科書に載っていることと日常生活を分けて考えてしまうところがありますが、つながっていることに気づいてほしいですね。

大島先生 日常生活の中で「なぜだろう?」と疑問を持ってほしいですね。ただ、観察なしに疑問を持つことはできません。日常の細部を見る時間を設けてほしいと思います。
毎日、通学路の草木を見続けていると、花が咲く、実がなるなどの変化に気づくでしょう。なぜこんな形や色をしているのか、ふと浮かぶ疑問を大切にして、次のアクションにつなげてほしいですね。

藤村先生 疑問に思ったことを調べたり、観察したり、自分なりのアプローチで結果を得てほしいと思います。なかなか答えが出なくても、すぐにあきらめずに調べ続けたり、観察し続けましょう。

大島先生 「『夏の大三角』って、こんなに大きいんですね」。これは、天文クラブの夏休みの合宿でペルセウス座流星群を観測したときの生徒の率直な感想です。教科書ではわからない、実際に夜空を見たからこその実感です。つい問題を解いて正解することにとらわれてしまいますが、実物に触れるなど五感を使った実体験も大事にしてほしいと思います。

探究・校外学習主任/大島 悠希先生

探究・校外学習主任/大島 悠希先生

2020年度から「探究サイエンス入試」スタート

新設の「探究サイエンス入試」と4科入試の理科の違いを教えていただけますか。

大島先生 4科入試の理科の問題は、日常生活との関わりを意識した出題です。探究サイエンス入試は、それとは「別物」と思ってください。探究サイエンス入試は、理科入試の他に、課題研究を課します。与えられたテーマから自分で課題を見つけてその場で検証し、ポスターにまとめて伝える力を試します。
SIを始めて今年度で9年目(中3の研究活動は7年目)になります。SIが定着して成果が見えてきた今だからこそ、4科入試では測りきれない、研究活動・探究活動への意欲を測ってみようと思い、「探究サイエンス入試」を始めることにしました。
説明会に参加した親御さんから、「課題に取り組む子どもの様子を見て、今まで知らなかった子どもの一面を知ることができました」と聞いてうれしく思いました。
実験したり、工夫したりすることが楽しい、「こんなことを研究してみたい!」というお子さんを歓迎します。本校は、お子さんの興味関心を伸ばすことができる環境が整っています。

山脇学園中学校 掲示物

山脇学園中学校 掲示物

インタビュー2/3

山脇学園中学校
山脇学園中学校1903年に山脇玄、山脇房子夫妻により牛込白銀町に設立された。3年後には赤坂檜町に新校舎を建設し、移転とともに高等女子實脩学校となった。1908年には高等女学校令にあわせて山脇高等女学校と改称し、1935年には東洋一の女学校の校舎と称された白亜の新校舎を、現在の地である赤坂の丹後町に建設、移転した。
初代校長山脇房子は、建学の精神を「高い教養とマナーを身につけた女性の育成」とした。創設当時、明治という時代の中にあって、「良妻賢母」が女子教育の目標とされることが多い中、夫妻の理想は、欧米諸国のレディに見劣りしない教養ある女性を育成することにあった。2023年で創立120周年を迎え、豊かな教養と高い人間性を育む伝統の継承と、未来社会で活躍する力の育成をめざしている。
国際社会で活躍する志と資質を育成する「イングリッシュアイランド」、科学を通じて社会に貢献する志を育てる「サイエンスアイランド」、蔵書を収納する書架に加え、グループワークやプレゼンエリアを備えた探究活動の拠点となる「ラーニングフォレスト」のほか、最大300の自習席を配置した「セルフスタディアイランド」など、施設も充実している。これらの施設も活用し、人文・社会・自然の各分野の視点を融合した「総合知」をコンセプトに、探究活動や教科横断型授業で、社会で活用できる実学的な学びを実施している。
中学1年では「琴」、中学2年で「礼法」、中学3年で「華道」を習う。ダンスは体育とは別で6年間必修である。体育祭で踊る、中学3年の「メイポールダンス」と高校3年の「ペルシャの市場にて」は、山脇学園の伝統となっている。