出題校にインタビュー!
捜真女学校中学部
2020年02月掲載
捜真女学校中学部の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.誰かがやってくれるのを待つのではなく、主体的に行動し発言できる生徒を育てる
インタビュー2/3
「自分の言葉で語れるスキルを身に付けてもらいたい」という教員の想い
では少し入試問題から離れて先ほどアクティブラーニングの話がありましたが、国語科としてどのような授業をやっていこうか、どういう国語教育をしていきたいかを教えてください。
照下先生 たとえば、プレゼンテーションの授業を最近はどこの学校でも取り入れていると思いますが、形を学ぶこと以上に大切なのは、子どもたち一人ひとりが、自分の考えを持って、自分の言葉で語れるか、ということだと思います。インターネットで探してきたどこかの資料を要領よくまとめる、ということではなく、「私はここが面白いと思う」「私の見方からするとこうである」という手応えを大切にしたいと考えています。
森川先生 本文の内容をクラスの仲間にかみ砕いて説明する授業では、生徒たちの言語センスが光っていました。「ヨソ・ソト・ウチ」の概念を、自分たちと信頼する担任の先生との関係で説明したり、同調性を重視する国民性を女子高生の日常の1シーンを使い寸劇で説明したりしました。
「この評論文で述べられていることは、身近な例で説明するとこういうことです」と説明できるのならば生徒はその評論を「読んだ」ことになると思うのです。同じように古典を味わい「現代でもこういうことってあるな」と共感したり「自分がこのような境遇ならどう生きるだろう」考えたりします。現代を生きる生徒の心の中に古典の風景や筆者の思いが自分に引き寄せられた形で残ったのならば、それは古典を「読んだ」ことになると思うのです。
まずは授業で聞いたことを、学んだことを自ら咀嚼し、主体的に考えたのちに自分の言葉で語れるスキルを身につけさせたいです。見たもの、読んだもの、聞いたことを自分のものにしてほしいのです。そんなことを考え、試行錯誤しながら授業を組み立てています。
生徒には卒業するまでに「伝わる言葉の使い手」になってほしいなというのがこちらの想いですね。
国語科/森川 亮先生
「あなたは必要な存在なんだ」ということを在学中につかんでもらいたい
照下先生 生徒たちには学校の中では割とおおらかに、今はまだ完成していなくても先々完成すれば、という気持ちで自信を持ってくれればいいなと思うんですね。やはり自信がないと語りだせないと思うので、「あなたはとても大切な人なんだよ」というのをわかってくれたらそれに勝るものはない、と思っています。
入学する生徒に自信のなさを感じることは多いのですか?
照下先生 多いですね。超難関校の受験生や現在難関校に通っている生徒であってもそうでない子でも、不安の質は変わらない気がします。それは「自分が必要とされているかどうかわからない」とか、「自分の力が価値のあるものなのかどうかがわからない」という不安なんですね。そこには絶対的な回答として、「あなたは必要だ」というものが捜真にはあるので、それをつかんでもらえたらいいな、と思います。
森川先生 社会に出ると「お前の代わりはいくらでもいるんだ」と言われることがあると思います。自分を否定された人は自信を失い傷つきます。しかし捜真では世の中には無駄な存在、いらない人間なんていないんだということを長い時間をかけて学びます。自分の代わりになる人なんていないんだということを知っているから大丈夫だと思います。それは真理だと思うんです。
捜真女学校中学部 自習室
「偏差値の数字は子どもの価値ではない」と親御さんには理解してもらいたい
照下先生 受験生の保護者がしてしまいがちなこととして、模試があるたびに毎回偏差値が出ますよね。その数字がわが子の価値のような気がしてしまう、どんなに「数字だけではわかりませんよ」と言ったところで、でも数字はこうなんだから、と思ってしまいます。でも、それがお子さんの価値だと思わないでほしい。中1、中2の子は原石ですので、磨かれていなくて当然です。そこからどう磨いていくのかはこちらの仕事ですから、そこで「あなたはダメなんだ」とか「価値がないんだ」というメッセージを大人が与えないでほしいのです。何か一つでもいいから、こういうよい素質を持っている、というところを親御さんが発見してくださったら、子どもは伸びていくと思います。
教科を超えた連携には非常にオープンな校風
他教科の先生と「今この学年でこういうことをやるからそちらの教科では・・・」といった話し合いなど、一緒にされることは多いんですか?
森川先生 「これやるから、これはやってよ」ということは教科を横断して話すことはあります。生徒って、この教科とこの教科は別のものだと思っているんですけれど、我々はすべての物事はつながっていて、自分がいて他者がつながっていくことと同じだと気づかせたいんですね。様々な授業はつながっているということを早めに知ることで勉強の仕方も大きく変わってくるのではないかと思います。かなり大変ではあるのですが、「ここはよろしくね」といえば大体の教員は理解してやってくれるのはわかっているので、そこはつながっているように感じます。
照下先生 教員同士の連携という点でいうと、捜真は非常にオープンマインドな学校で、「こういうことをやりたいと思っているんですよね」とランチなどで話しますと、「私のところではこれを」とか「これ使いませんか」と声をかけてくれる方は多いです。
捜真女学校中学部 図書室
インタビュー2/3