シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

富士見中学校

2020年01月掲載

富士見中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.「昔ごと」を「今ごと」につなげる

インタビュー1/3

リユースやリサイクルは江戸時代にもあった

藤川先生 最近の台風や豪雨による被害の深刻さから、地球温暖化がもたらす影響に関心が高まっています。「今のこと」として小学生も関心が高く、本校が活発に取り組んでいるSDGs(持続可能な開発目標)とも関連が深い環境問題をテーマに、問題が作れないだろうかと思いました。
とかく社会科は暗記科目ととらえられ、歴史は“遠い昔のこと”と思うと、「覚えなければ」という意識が強くなります。でも、身の回りを見渡すと昔とのつながりを見つけることができます。
この資料を見ると、江戸時代にも今と共通する考え方があったとわかります。リユースもリサイクルも、今に始まったことではなく昔から行われていたと知れば、小学生も歴史上のことを身近にとらえ、「今のこと」とつなげて考えられるのではないかと思い、この問題を作りました。

この問題を含む大問2のリード文からも、「歴史は今につながっている」とわかります。
貴校のリード文は、「そうなんだ!」という発見や、なんとなく覚えていたこと、バラバラに覚えていたことがつながる感覚があります。受験生はリード文を読み飛ばしがちですが、しっかり読んでほしいですね。

入試広報部長・社会科/藤川 建先生

入試広報部長・社会科/藤川 建先生

リユースとリサイクルの違い、わかってる?

藤川先生 この問題は一見、リユースかリサイクルかの二者択一ですが、リユースとは何か、リサイクルとは何か、それぞれ理解していなければなりません。単に用語を知っているだけでなく、「意味を正しく理解する」という社会科的なアプローチができているかどうかを見ています。
正答率は全体で70%を超え、合格者では約84%でした。受験生は概ね意味を理解して学習していたと思われます。

子ども達は、リデュース(減らす)・リユース(再使用)・リサイクル(再生利用)という環境配慮の3Rだけでなく、4R(3R+リフューズ:断る)や5R(4R+リペア:修理)もあると知っています。ただ、似たようなカタカナ用語が増えると意味があいまいになってきます。

藤川先生 社会科は文字情報ばかりになりがちです。それでは覚えにくいので、授業では図版や資料集、動画など、別の視覚情報と組み合わせて頭に入りやすくする工夫をしています。

富士見中学校 校舎

富士見中学校 校舎

「知識を使う」とはどういうことかを実感

子ども達は初めて貴校の過去問に取り組むと、まず解けません。「知識を使うとは、こういうことなんだ」と実感します。問われ方を研究して活用のコツをつかむと解けるようになり、子どもから「勉強したことが出せる」という声が聞かれます。

藤川先生 正解を見ると、知っている用語がほとんどだと思います。それでも間違えてしまうのは問われ方に惑わされているのではないでしょうか。いろいろな形式の問題を解いて物事を多面的に見る目を鍛えましょう。

海上空港ではない空港を選ぶ4択問題は、持っている知識を活用する良問です。選択肢の空港がどこにあるかすべて知らなくても、海上空港は海上を埋め立てて建てたのだから内陸にはないとすぐにわかるはずです。
正解は松本空港ですが、当塾の受験生は松本が長野県だと知らず正解できませんでした。松本といえば国宝の松本城が有名ですが、授業ではあまり触れません。お城好きでもなければ印象が薄いかもしれませんね。

設問文をよく読み、意図をつかんで答えよう

保戸塚先生 受験生の答案を見ると、設問文を最後まで読んでいないのか、自分の解釈で解いている答えがあります。

貴校の問題はちょっと角度を変えて聞いていますね。設問文をきちんと読まずに典型問題だと早合点して知っていることを書いてしまうのでしょう。

藤川先生 思い込みで答える傾向は生徒にも見られます。例えば、「××戦争の影響について説明しなさい」と聞いているのに、経緯を説明してしまう。設問の要求に応えていないと独りよがりな印象を受けます。

保戸塚先生 ものの見方や考え方が一面的になると、独りよがりになりがちです。同じ課題でも先進国と途上国ではとらえ方が異なりますが、先進国の視点、すなわち日本=自分の立場でしか見ていません。また、途上国の課題や解決の方向性は示せても、先進国にとっての影響を問われると途端に手が止まってしまう。おそらく考えてもいないと思います。

藤川先生 多面的なものの見方は、身近なことに置き換えると生徒は食いついてきます。円高・円安は、海外旅行をたとえにして「どっちがおトクか」と聞くと目の色が変わります。

富士見中学校 図書館

富士見中学校 図書館

インタビュー1/3

富士見中学校
富士見中学校1924(大正13)年に富士見高等女学校として発足。40(昭和15)年に財団法人山崎学園が経営を引き継ぎ、47(昭和22)年に富士見中学校、48(昭和23)年に高等学校を設立。山崎学園は、山種グループの総帥・山崎種二(初代理事長)が教育事業に進出するために設立し、以来、設備・施設面などに大きなバックアップがある。
「純真・勤勉・着実」を建学の精神とし、「良識ある判断力、自主・自律の精神、協調・連帯の精神」を持つ国際的な現代女性の育成を目指している。大学現役合格を目指す進学校として、基本は勉強に置くが、進学実績だけでなく生徒の個性と可能性を伸ばすことを重視し、一人ひとりの生徒を大切にする。教育=人間として、生徒と教師の信頼関係も厚く、自由でのびのびとした雰囲気がある。休み時間の廊下では、いたる所で先生を囲んだミニ補習をする姿が見られる。
住宅地に囲まれ静かな環境にある。現在の校地には、中高校舎、体育館のほか地下温水プール、高3自習室、学習ホールなどを備えた50周年記念館、550名収容の山崎記念講堂、百人一首なども行われる茶室・和室などがある。各教室は冷暖房完備で校内はすべて無線LANになっている。探究学習に適した新図書館棟 ”Learning Hub”(略してL-Hub/エルハブ)も完成。一流絵画が校内に飾られ、情操教育に役立っている。
6年後を見据え、学校の勉強だけで希望大学へ進学できるように組まれているカリキュラム。高1までは全教科を幅広く学習。教科によって学習速度を早めた先取り授業を行い、中3で高校課程に入る数学、英語は2クラス3分割の習熟度別授業を行う。また、中3では、調べ学習の集大成として卒業研究をまとめる。授業では各教科の先生によるオリジナルのテキストを使用。あえて特進コースを作らず、高校は文系・理系の2コース制で、国公立大学・難関大学にも対応。さらに、選択制による授業に加え、放課後や夏期・冬期の講習、朝に行う週1回の英語、国語の小テスト、放課後の英会話講座、予習・復習のサポートなどバックアップ体制も充実。
自主性が重んじられ、校則は常識的な範囲。生徒会活動やクラブ活動が活発。中1のクラブ活動参加率は100%以上。また、全ての教員がクラブ顧問を務めている。ダンス部は全国大会、演劇部は関東大会などで活躍。フットサル部もある。
沖縄体験学習、ホームステイ、ボランティアなど、体験学習を重視。中1から進路指導を開始し、中2では「職業調べ」、中3~高3では大学の各学部の教授の講義を体験する「模擬授業ウィーク」なども行う。他にも、文化祭、生きもの探究教室、スキー教室、また山崎記念講堂で狂言、京劇、音楽などの鑑賞会、合唱大会、弁論大会などがある。体育祭でのマスゲームや高3の創作ダンス「扇の舞」は圧巻。教師や生徒同士の協力のなかで、交流を深め、体を鍛えることに役立っている。高1の希望者には、夏休みにアメリカとオーストラリアでのホームスティがあるほかに、ニュージーランドへの短期留学・長期留学、台湾への教育旅行、ヴェトナムへのグローカルリーダー研修などがある。中学の制服はセーラー服、高校の制服はブレザー。