シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

富士見中学校

2020年01月掲載

富士見中学校【社会】

2019年 富士見中学校入試問題より

(問)ドイツは環境への意識がとても高く、「環境先進国」とよばれています。日本では、江戸時代に専門のリユース業者やリサイクル業者がいました。次にあげる業者はこのどちらにあたりますか。答えなさい。

くもってしまった鏡を磨く業者

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この富士見中学校の社会の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

リユース業者

解説

この問題では、リユース・リサイクルの意味をそれぞれ正しく理解しているかと、資料から必要な情報を読み取る力の両方が試されています。リユースやリサイクルは、どちらも循環型社会を目指す標語で、リユースには、使えるものは繰り返し使う、リサイクルには、ごみを資源として再び利用するという意味があります。この意味のちがいを理解しているうえで、絵に描かれている内容がどちらにあてはまるのかを考えます。絵や絵のタイトルからもわかるように、この絵には「くもってしまった鏡を磨く業者」が描かれています。ここから、この業者は、鏡がくもった後も繰り返し使えるようにするリユース業者であることがわかります。

日能研がこの問題を選んだ理由

近年、地球規模での環境破壊が深刻化し、世界の国々ではさまざまな問題が起こっています。このような中で、世界の国々や企業などによる地球環境を守るための取り組みが、これまで以上にさかんにおこなわれるようになりました。中学入試でも地球環境をテーマにした問題が、数多くみられます。

富士見中の入試問題は、江戸時代に刊行された本の挿絵を見て、現代のリユース・リサイクル業者のどちらにあたるのかを考える問題でした。現代における環境を守る取り組みを、歴史の資料と結びつけて考えるという点で、これまでの入試にあまり見られなかった問題になっています。また、江戸時代の「鏡を磨く業者」を知った子どもたちが、今の日本や自分自身の地球環境とのかかわり方を見つめ直し、次の行動を変えるきっかけになる問題であるとも感じました。

このような理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。