今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
栄光学園中学校
2020年01月掲載
2019年 栄光学園中学校入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
何枚かのオセロのコマ(片面が白、もう片面が黒のコマ)が白黒混ざった状態で円形に並べてあります。このコマに対して、以下の[作業]を、裏返すコマがなくなるまで繰(く)り返します。
[作業]
両隣(どなり)の色が自身の色とは異なるコマをすべて選び、それらを同時に裏返す。
例えば、図1のようにコマが並んでいる場合、まず、☆印のついた5つのコマを選び、裏返して図2のようにします。さらに、※印のついた1つのコマを選び、裏返して、図3のようにします。 図3には、両隣の色が自身の色とは異なるコマはないので、ここで[作業]の繰り返しは終了になります。
(問1)20枚のコマが図4のように並んでいます。これに対して、裏返すコマがなくなるまで[作業]を繰り返したとき、最後に黒は何枚になりますか。
(問2)31枚のコマを、白が16枚、黒が15枚になるように、好きな順番で円形に並べ、[作業]を繰り返します。最後に黒は何枚になりますか。最も多いときと最も少ないときの枚数を答えなさい。
中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この栄光学園中学校の算数の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答
(問1)15枚
(問2)最も多いとき 27枚 最も少ないとき 0枚
解説
(問1)
次の図のように、☆印がついたコマを裏返していきます。
図より、最後に黒は15枚になることがわかります。
(問2)
(問1)より、オセロの色の変化のしかたには、次の2つのきまりがあることがわかります。
①同じ色のコマが2枚以上連続して並んでいるときは、それらのコマは最後まで一度も裏返されない。
②同じ色のコマが2枚以上連続して並んでいるとき、その両端は、その色が増えていくように変化するが、連続する部分がとなり合っている場合は、その境目は変化しない。
このきまりを利用して、黒が最も少ないときと、黒が最も多いときの、初めのコマの並びを考えます。
黒が最も少ないとき
白が1枚多いので、白と黒を交互に並べると、必ず白が2枚連続して並ぶところがあります。①と②のきまりより、この場合、[作業]を繰り返すと、すべて白になります。ですから、黒が最も少ないときは、0枚とわかります。
黒が最も多いとき
白が1枚多いので、必ず白が2枚以上連続して並ぶところができます。ですから、すべて黒になることはありません。
①のきまりより、黒を2枚連続して並べれば、それらが白に変わることはありません。②のきまりより、白が連続して並ぶ両端に黒を2枚連続して並べれば、それ以上白が増えることはありません。(黒を2枚としたのは、裏返す白の枚数をなるべく多くするためです。)
2×2=4(枚)・・・・・・連続して並ぶ白の両端に置く黒の枚数(図のア)
15-4=11(枚)・・・・・・白と交互に並ぶ黒の枚数(連続して並ばない黒の枚数)
11+1=12(枚)・・・・・・黒と交互に並ぶ白の枚数(連続して並ばない白の枚数)
16-12=4(枚)・・・・・・連続して並ぶ白の枚数(図のイ)
以上より、下のように並べることができます。そして、[作業]を繰り返すと、初め、白を連続して並べたところ以外、すべて黒になります。ですから、黒が最も多いときは、31-4=27(枚)とわかります。
- 日能研がこの問題を選んだ理由
この問題では、まず、[作業]をやってみることを促しています。問題の例で提示されているように、途中経過を書きながら、もれがないように丁寧に調べていきます。
しかし、この問題は、それで終わりではありません。(問2)(実際の入試問題では(4)として出題されています)には、図がありません。ですから、オセロのコマの白と黒を、どのように配置するのかを自分で考えます。そのため、子ども達は、ここまでの問題に取り組むことを通して、オセロの色の変化のしかたについて気づいたことを整理し、きまりを見出します。
何かを体験したとき、体験を思い起こし、体験の中から一般化できることを見出し、体験を次につなげていく力。この力は、これからの時代を生きていく子ども達にぜひ身に付けてほしいものであるといえるでしょう。
このような理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。