シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

森村学園中等部

2019年12月掲載

森村学園中等部【理科】

2019年 森村学園中等部入試問題より

(問)友だちと一緒に星を観察しているとします。
図の星(エ)から上の方にたどっていくと見える星(ア)の位置を友だちに伝えたいのですが、星の色や明るさではうまく伝えられませんでした。
星を指さしたり、持っていたかい中電灯のライトで照らしたりしても、うまく伝えられません。ふたりとも、星(エ)の位置は認識できています。
暗い野外で観察しながら、うまく友だちに星の位置を伝えるには、どんな方法が考えられますか。具体的に説明しなさい。なお、図の星(ア)と星(エ)の高さの差は約40°あります。

図

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この森村学園中等部の理科の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答例
  • 星(エ)の右上の方向にある、赤い1等星である星(ウ)をさがす。次に、星(ウ)の左上の方向にある黄色い1等星をさがす。最後に、黄色い1等星の左側にある、やや暗い星が星(ア)である。
  • 腕を伸ばしてにぎりこぶしを作り、星(エ)から真上へにぎりこぶし4つ分の高さにある星を2つさがす。2つの星が見つかったら、2つの星の明るさを比べる。右側にある明るい1等星ではなく、その左側にある、やや暗い星が星(ア)である。
解説

夜空の星を観察するときには、星の明るさや、星どうしの位置関係、見える高度などを手がかりにして、観察したい星をさがします。

星(ア)は2等星なので、まずは右隣に見える1等星を見つけ、その1等星をもとに星(ア)を特定することができそうです。星(ア)の右隣にある1等星は、ぎょしゃ座のカペラといい、黄色味を帯びた色に見えます。説明するときに、色についてふれることもできるでしょう。

図に示されている星(エ)以外の1等星を目印にしてたどっていく方法や、腕をまっすぐに伸ばしたときのにぎりこぶし1つ分の角度がおよそ10度であることを利用する方法などが考えられます。にぎりこぶしを利用すると、特別な道具がなくとも高度を知ることができるので、暗い野外で星を観察するときに役立ちます。

日能研がこの問題を選んだ理由

この問題では、暗い野外で星の位置を正確に伝える方法に目を向けていきます。問題に示された図をもとに、星の明るさや、星どうしの位置関係、見える高度に着目し、どのようにすればさがしたい星を見つけることができるのかを説明します。これは、誰かに道を案内するときに、手がかりとなりそうな目立つものを利用して説明することとも似ています。

この問題を通して、普段の生活と学んできたことがらとの結びつきに気づいたり、自分が伝えたいことを的確に伝えるための工夫を考えたりすることに目が向きやすくなるでしょう。

このような理由から、日能研では、この問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。