シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

土浦日本大学中等教育学校

2019年10月掲載

土浦日本大学中等教育学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.国際人の育成を目指す中で国語科の果たす役割は真の教養を身につけさせること。

インタビュー3/3

良質の古典を読むことと対話をすることに注力

藤田先生 本校全体の目標が『国際的なリーダーの育成』なので、教科でいえば英語に力をいれています。国語はどうしてもその陰に隠れてしまうのですが、国際的なリーダーを育てるという意味において国語の果たす役割としては、1にも2にも教養を築いていくことだろうということで、国語科では教養主義、真の教養を身につけさせることをテーマに掲げています。

教養をつけていくためにやっていることは主に2点です。1つは多様な視点を持った、良質の古典を読むことです。もう1つは対話をすることです。今回の問題にまさに通じますが、過去の先人たちの本を読んでいろいろな考えを知った上で対話をする。今、同時代をクラスの中で過ごしている仲間からもいろいろな考えを取り入れた上で、総合的に自分の考えを作り上げて、それを効果的に伝達していく力をつけるとともに、将来的に語学力を身につければ、国際的に活躍できる人に育つだろうと思っています。

土浦日本大学中等教育学校 掲示物

土浦日本大学中等教育学校 掲示物

ギリシャ悲劇の戯曲を書いて映像作品を作る

藤田先生 1つ目の古典に触れるというところでは、ギリシャ悲劇から、プラトン、アリストテレスのギリシャ哲学、あるいは日本の近代文学。さらに前衛的な文学作品…と、古今東西の多様な名著に触れていきます。それらを読んだ後、シェアする時間を必ず作っています。レビューをしたり、その本の紹介をビブリオバトルという形式で行ったりしています。2つ目の対話については、ビブリオバトルもそうですし、学年が進むとディベートを文化祭のタイミングで大々的に行っています。

今年度から取り入れたいと思っているのが『ネゴシエーション』です。ディベートで、ただ相手の考えを反駁して終わるというのではなく、複数の考えを調整して1つの考えにまとめ上げていくという活動を取り入れたいと思っています。

基本的には国語なので、伝達する際には文章を書かせていますが、他の多様なメディア、特にコンピューターを使って、WordやPowerPointは当然として、Adobeのpremierやillustratorを使って思ったことをショートムービーにするような活動も行っています。ギリシャ悲劇の戯曲を書いて、それを映像にする。表現して発信する。そういうことも進めているところです。入学後にそういう活動をしていくにあたり、入試問題でも何らかが関連するような出題をしたいと考えています。

中3からギリシャ悲劇を読む

プラトン、アリストテレスの作品はどのようなものを扱うのですか。

藤田先生 プラトンは『国家』や『パイドロス』です。

何年生が取り組むのですか。

藤田先生 中3からです。今年度から1クラス、少し進んだ、あるいは深めた学習をしていく『理系インタークラス』を作り、15名でスタートしています。そのクラスでは中3からプラトンを読み、言語の認識を深めた上で、最近の大学入試の現代文にも出てくるようなフランスの現代思想家、ジャック・デリダの『プラトンのパルマケイアー』の抜粋を読みます。夏休みの宿題では、デリダのエクリチュール論を踏まえた上で文学作品を作るという課題を出しています。

他のクラスでも、学年に応じて読む本を変えています。中3でギリシャ悲劇『オイディプス王』を読み、その後、関連してフロイトを読み、高校2年生で『源氏物語』を読み、この3作品を読んで、こちらでも前説をした上で『父というものを論ぜよ』という課題を出しています。「問題集を何ページから何ページまでやって出しなさい」という課題よりも、意外とこちらの課題のほうが提出率がいいです。

土浦日本大学中等教育学校 生徒作品

土浦日本大学中等教育学校 生徒作品

文系科目が得意な理系の生徒が意外と多い

そういう授業は国語の時間に行うのですか。

藤田先生 総合的な学習の時間などから数時間もらい、『教養講座』という名をつけて行っていますが、課題はその時間に触れた本と、授業で使っている教材を関連させて、最終的に国語の課題として出しています。

理系インタークラスでは、教科書の内容は手作りの問題集を配布して、家庭学習とし、授業では関連する古典的な名著を輪読させています。他のクラスは『読み方』でだいたい授業が終わってしまうので、総合的な学習の時間などで授業数を確保して、そこで定期的に本の紹介などをしています。

理系の生徒の中には文章の読み取りが苦手な子もいるのでは?

藤田先生 本校の場合は特殊な生徒層といいますか、1学年約120名の中で理系を選択している生徒が半分の約60名とすると、そういう生徒は学年に2、3名です。文系の力が長けている理系の生徒も多いです。将来の職業を考えて理系を選択していますが、実は国語が得意という生徒が結構います。これからは理系でも国語力が大切なので、とても良いことだと思います。

土浦日本大学中等教育学校 掲示物

土浦日本大学中等教育学校 掲示物

漢字の学習をしっかりやろう

小学生にどのような勉強をしてきてほしいですか。

藤田先生 1つはいろいろなことに好奇心を持って、いろいろな体験をしてほしいです。もう1つは小学校までの漢字をしっかり身につけてほしいです。『書く』『話す』力は入学してから伸ばして行きますので、好奇心を育むことと、漢字をはじめ小学校で習う基本的なことをしっかりと学習してきてください。

インタビュー3/3

土浦日本大学中等教育学校
土浦日本大学中等教育学校1963年に高校が開校、2003年に中学が開設され、平成14(2002)年10月、土浦日本大学中等教育学校へと移行された。「学力・国際力・人間力」の3つの力の獲得が教育方針である。併設大学への進学率は約40%で、難関他大学への進学者の多い。理系・医歯薬獣医への志向も高い。3年生では理系インタークラスが設置されている。英語は1~5年生で習熟度別。100講座以上の課外授業で教養を広げる。
中1で京都・奈良研修、3年生で広島研修を通して、自国である日本の文化・歴史等を十分に学び身に付け、わが国日本の良さを国際社会に発信できるようにする。中2では、英国のオックフォード近郊の美しいバンバリー市内チューダーホールスクールにて約1ヶ月間、4年次ケンブリッジ大学ガートンカレッジにて16日間のボーディングスクールが実施される。現地ケンブリッジの語学学校の教員が本場の語を教授する。期間中の週末にはロンドン市内での博物館研修や、イングランドの名所・旧跡を訪れ知識・見聞を広める。世界人類が平和で国境を越えて相互に協調しあい、夢多き国際社会を構築してゆくそのリーダーになれる人材の育成を目指し、『人間力』『国際力』『学力』の育成に特に力を入れている。
新入生全員にタブレット型PCが貸与される。また、オーラルコミュニケーション科という外国人の先生方のみの科目を設置し9名の専任教員が配置されている。校内で英語を使用することを奨励しており、職員室内は英語を用いなければならないようになっている。英語力・コンピュータリテラシーはどうしても身に付けておかなければならない素養であるとする考えからだ。
思考力を育てるための校長先生の授業も展開されている。テーマに沿って複数の生徒達の意見が交わされるなか、対話を交えながら、一つの考え(定説)を色々な視点・観点から見つめなおし、一つの固定観念に縛られない自由な思考判断を導き出されていく。勉強だけではなく、クラブ活動も盛んで、陸上部などが活躍。文化系でも、ロボットエンジニアリング、鉄道研究会など、ユニークなクラブがある。