シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

大妻多摩中学校

2019年09月掲載

大妻多摩中学校【社会】

2019年 大妻多摩中学校入試問題より

山形県地方版ナンバープレート

(問)上は山形の地方版ナンバープレートです。これを参考に九州にある県のナンバープレートを作るとしたら、どのようにしますか。
下の①の( )に県名を、そのまわりにデザインを自由に記入しなさい。なお、デザインは代表的な農産物をヒントに考え、その農産物の名称も②に書きなさい。

問題図

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この大妻多摩中学校の社会の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答例

解答図①

②ぶた、茶、さつまいも、肉用若鶏(ブロイラー)

解説

問題の条件にあるように、まず九州地方にある8つの県(福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・熊本県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県)から1つの県を選びます。この上で、選んだ県の代表的な農産物を、解答用紙の枠内に自由にデザインします。こうしたステップをふむためには、九州地方の8つの県でどのような農産物がさかんにつくられているのか(代表的な農産物なのか)を思い起こしながら取り組む必要があります。ただ、九州地方すべての県についての代表的な農産物がわからなくても、県と農産物の結びつきを1つでも知っていて、実物をイメージすることができれば、ナンバープレートをデザインすることができます。また、選んだ県のものであれば、複数の農産物をデザインに入れてもよいでしょう。

日能研がこの問題を選んだ理由

都道府県でさかんにつくられている農産物について問われる入試問題は、毎年数多くの学校でみられます。今回の大妻多摩中の入試問題は、都道府県の農産物についての問題の中でも、九州地方にある県を1つ選び、その県の代表的な農産物を入れながら、図柄入りのナンバープレートをデザインするといったものでした。

文字ではなく、絵や図などを使ってデザインするという点が、これまでの入試問題であまり見られなかったとともに、子どもたちの思考や発想が広がりやすくなるような条件(「九州地方の県」・「代表的な農産物」という条件)が提示されており、思考錯誤しながら取り組む中で、学んだり表現したりする楽しさを実感できる問題になっていると感じました。

また、「ナンバープレートを模した解答用紙の枠内にデザインする」といった設定の工夫を通して、子どもたちの知的好奇心が刺激される問題であるとも感じました。このような理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。