シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

サレジオ学院中学校

2019年09月掲載

サレジオ学院中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.数学的なチカラを高めつつ本質的な部分まで掘り下げて深く議論する能力を身に付ける

インタビュー2/3

まずは基本的な考えを身に付けること

サレジオ学院中学の6年間の学習について教えてください

斎藤先生 我々教員が普段考えていることって昔とほとんど変わらず、中学・高校の数学で基本的な考えを身に付けていただき、正しく計算ができる力をつけてほしいと思っています。今在籍している子どもたちを見ていると、反復練習が少なくなっていたり、計算しなくなっていたりしているとは感じます。知識も表面的な部分で鵜のみにしてしまい、深く考えていないなと思いますので、そのあたり深く議論する姿勢や時間を大切にしています。

中学生であれば週6時間は数学の時間があるので、中学の内容については中学2年の2学期で終わってしまいます。ですからその後いろいろな課題を通し、考える時間や反復する時間を惜しみなく取っているつもりです。

3年・4年ぐらいになってくると数学の好き嫌いが出てきますので、どれだけモチベーションを維持できるかは苦慮するところです。そのためネタ選びや提示の仕方などには気を使っています。また男の子なので、小テストの実施などを通じ、数値化してあげることでモチベーションが高まることもあります。
5年・6年になると個々の目標がはっきりしてくるので、理系であればしっかりと議論をして受験に通じるチカラをつける授業をしています。

サレジオ学院高等学校 自習室

サレジオ学院高等学校 自習室

タブレットを用いたことで授業の幅が広がる

斎藤先生 あとは高校1年からタブレットを持つようになりましたので、今はタブレットを用いた授業展開を試みています。課題の提出や宿題もPDFで配信したりをやっていますし、アプリを使って観察させたりということができますね。

タブレットがあると学習が変わりますか?

斎藤先生 今まで見せられなかったものが見せられるようになったりはしますが、タブレットを使うことで数学的思考力が格段に高まるか、というとそうはなりません。ですから、一つの課題に対してリアルに仲間たちと議論するということは当然必要になります。まだ全学的な動きにはなっていないので、動画コンテンツとかを作成したいという教員側の思いはありますが、これからの取り組みとなりますね。

生徒は授業の中で議論をおこなったりすることは多いのですか?

斎藤先生 私の授業ではよくありますね。ただ一方的に聞かせて終わりではなく、「どの辺がこの問題の切り口になるのか?」と尋ねてみたり、「こういった見方があるけどみんなどう思う?」といった問いかけであったり。私のアイデアで議論したりすることもあれば、生徒のアイデアを引っ張り出して議論したりもあったり、やり方は様々です。

とはいえ、聞かせるところは聞かせないと知識は定着しないので、そこのメリハリをどうつけさせるかは我々の力量となりますかね。

先生との対話だけでなく生徒同士の対話もあったりするのですか?

斎藤先生 高校1年・2年ぐらいまでは私の授業では結構させています。高校3年になるとそれぞれ集中してしまうのでなかなか意見を引き出すのは難しくなってきますね。

サレジオ学院中学校 正門付近

サレジオ学院中学校 正門付近

インタビュー2/3

サレジオ学院中学校
サレジオ学院中学校ドン・ボスコ(1815年北イタリア生)が設立したサレジオ修道会が、1960(昭和35)年に目黒サレジオ中学校を創立。75年に川崎市鷺沼へ移転。91(平成3)年にはサレジオ学院へ改称。95年に港北ニュータウンに新築移転を果たす。大阪星光学院もサレジオ会により創立された姉妹校。
港北ニュータウン内に位置し、校地は約4万8千平方メートルの広さに及ぶ。そのなかにグラウンド、テニスコート、体育館、サブ・グラウンドを配するなど、校地の大半以上を充実したスポーツ用地が占め、大きな魅力のひとつとなっている。ほかにチャペル、ドン・ボスコシアター、サレジオホール(食堂)などの施設がある。
少人数の家庭的な雰囲気のなか、キリスト教精神に基づく情操教育を実践。週1時間の宗教の授業(中1は2時間)「朝のはなしの放送(人生の道しるべの話)」「カテキスタ(倫理・宗教教育を担当する人)」によるカウンセリング、生徒が自分らしく、いきいきと過ごせるコミュニケーションルームの設置などを通じて豊かな人間形成を目指す。
中学では学習姿勢を養うことを重点におくが、高3ですべての教科で演習中心の授業ができるようなカリキュラムを構成。英語は『New Treasure』を使用。中学の英会話も2分割授業を行うティームティーチングと、フィリピンと回線を結んで行うオンライン英会話を実施。高1までは4クラス編成、高2から文理分けし、6クラス編成として1クラスの人数を減らし、きめ細かな指導をする。補習は中学では英・数を中心に必要に応じて実施。夏期・春期講習は指名制・希望制で行い、高2・高3では約1週間の勉強合宿もある。大学受験も学校の授業だけで十分対応できる体制を整えている。夜9:00まで使用できる自習室がある。
サレジオ学院の基本方針「アッシステンツァ(ともに居ること)」のもとで明るく家庭的な校風が築かれてきた。学校行事は多彩で、四季折々のプログラムが用意されている。特に感謝祭、慰霊祭、クリスマスの集いは学校の個性が表れる。そのほか林間学校(中1)、スキー教室(中2)、研修旅行(中3卒業後、全員、イタリア)、フィリピンの語学研修(高校、希望制)、文化祭、秋季校外学習、マラソン大会など。クラブ活動は文化部6、体育部9、同好会5あり、活動は週3日。中学テニス部は2年連続全国優勝の快挙を成し遂げた強豪だ。独特なカテキスタは、サレジオ会員を中心とする先生のグループで、宗教の時間などを通じて生徒の心のケアに対応している。