シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

成蹊中学校

2019年08月掲載

成蹊中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.入試問題の構成割合は生物が多い

インタビュー2/3

食べたものの影響はうんちのにおいに現れる

うんちの形やにおいについても聞いていますね。ちなみに、健康な人のうんちの形状を選ぶ問題の正答率はいかがでしたか。

佐藤先生 正解の“バナナ状”を選んだ解答が多く、結構知っているなと思いました。
便座から立ち上がると自動で水が流れるトイレだと、うんちをきちんと見られません。昔の和式トイレと違い、洋式トイレは見ようと意識しなければなりません。うんちは健康のバロメーターですから、その都度チェックしたいものです。

動物の種類とうんちのにおいをまとめた表から、動物が食べているものとにおいの関係を答えさせる問題もあります。

佐藤先生 提示した情報から読み取る問題です。肉食動物(ライオン、ペンギン)のうんちはくさいのですが、草食動物(パンダ、ゾウ)のうんちはくさくありません。動物園に行くと気づくと思います。

生物部はたくさんの生き物を飼っています。今春から飼育している“巨大ニワトリ”のブラマ種にレバーなどの肉類を与えたところ、フンがくさくなりました。食べ物の影響はてきめんです。ちなみに、ヒヨコから飼育を始めたのですが、2カ月ほどであっという間にニワトリらしくなりました。成長すると体長は1mにもなります。

成蹊中学校 “巨大ニワトリ”のブラマ種

成蹊中学校 “巨大ニワトリ”のブラマ種

生物の問題は「自分ごと」としてとらえやすい

佐藤先生 本校の理科の入試の特徴は、四分野(物理・化学・生物・地学)のうち生物分野の割合が高いことです。問題数が多く、配点も50点満点の半分近くを占めます。その理由として、自分自身が生き物なので、生物の問題を自分ごととしてとらえやすいこと、知らない生き物でも丁寧な説明とデータを提示すれば問題に取り組みやすいことが挙げられます。

生物の問題では、生きていく上で大切なことや命の大切さ、環境問題など、人として最低限、身につけてもらいたいことを問えるように心がけています。

成蹊中学校 生物実験室

成蹊中学校 生物実験室

解答のヒントがリード文や設問文にある

佐藤先生 本校の問題の特徴にグラフや表の読み取り問題があります。見たことがないようなデータから必要な情報をきちんと読み取る力を試しています。改革の進行中の大学入試に限らず、これからは新しい課題に直面しても食らいついて考えられる力が一層求められますから、そうした力を測る問題を出すようにしています。

この問題のように、初見のデータでもリード文や設問文をしっかり読めば解答のヒントを見つけられたり、身につけた知識を総動員して考えれば解けるようにしているつもりですから、あきらめないでチャレンジしてほしいですね。
実際のところ受験生はリード文を読み飛ばして、問いに関係していそうな部分だけを読んでいると思います。理科の試験監督をしていると、「もう終わったの?」と思うことがあります。リード文に問題のヒントがあるのでしっかり読んでほしいと思います。

生データだから問えることがある

佐藤先生 地学分野の問題には、本校が毎日気象観測している生データを用いました。(気温の日変化のグラフ)。
生データだから問えることがあります。グラフ中に気温が細かく変化している日があります。その理由を考える問題を出せるのは、生データならではでしょう。

問題集に載っているデータはわかりやすいように加工されています。実際はこんなにきれいなデータは取れません。発表されているデータは、繰り返し実験したうち、うまくいった数少ないデータです。生データを載せることで、そうした現実にも気づいてもらえたらと思います。

気象観測を行う百葉箱

気象観測を行う百葉箱

研究論文のデータも引用

坂井先生 第2回入試のホンビノスガイの問題は、いろいろなデータを使っています。世界地図や写真もあり、リード文もB5ページ1枚、設問が11問とボリュームがあります。

佐藤先生 昔はアサリが採れたのに、近年はいくら掘ってもホンビノスガイしか出てこなかったという実体験がきっかけで作った問題です。ホンビノスガイは大型の二枚貝で、最近はスーパーマーケットでも売られていますが、初めて知った受験生も多かったと思います。
小学生にとっては初見のデータばかりですが、リード文にヒントを入れて、設問で誘導しているので、小学生でも解けるようにしたつもりです。多くは選択問題ですが、文章記述にすれば大学院の入試問題になるような内容ではないかと思います。

坂井先生 後日、著作権の処理をしたところ、データを使わせていただいた北海道大学の研究者から、「自分の研究が中学入試に使われて、小学生に解いてもらえるのは光栄です」と、感謝のお手紙をいただきました。こちらとしてもうれしい反応でした。

観察・実験の経験を積んでデータを読み取る力を養う

データを的確に読み取る力は、どうすれば身につくでしょうか。

佐藤先生 それには物事の本質をとらえる力が必要だと思います。これは観察・実験する中で獲得していくものだと思うので、成蹊では観察・実験を数多く経験させています。
例えば、毎回生き物を観察し、スケッチすることで、生き物の特徴(本質)がつかめるようになります。ショウジョウバエの観察は、1~2カ月かけて卵からハエになるまで経過を追ってスケッチし、気づいたことをレポートにまとめます。こうしたことの積み重ねが本質をとらえる力を養うと思っています。

また、データのポイントをつかむ感覚は、生活の中でいろいろなことを考えることで磨かれるように思います。おもしろうそうだと興味を持つ、なぜだろうと疑問を持つ、そうした日常の小さな積み重ねが、ポイントをつかむ力に生かされるように思います。

成蹊高校生物部のポスター発表掲示

成蹊高校生物部のポスター発表掲示

インタビュー2/3

成蹊中学校
成蹊中学校1906(明治39)年、学祖・中村春二により私塾「成蹊園」が本郷西片町に開塾。1924年に吉祥寺に移転し、翌年7年制の成蹊高等学校開校。戦後新制中学・高等学校となり、49(昭和24)年に大学を併設。同じ敷地内に小学校から大学までが並ぶ学園となる。
校名の由来、「桃李ものいはざれども下おのづから蹊(こみち)を成す」(『史記』)に基づいて「個性の尊重」「品性の陶冶」「勤労の実践」を教育理念としている。旧制・7年制高等学校の伝統と理念を継承する。家族的雰囲気のなか、個性重視、自由闊達な校風を保っているのも特色。
学園の正門から中・高正門までのけやき並木が見事。広々とした校内に特別教室棟、理科館、造形館、2棟の体育館などが点在。2008年には新校舎も完成した。400mグラウンド(ラグビー場)、野球場、サッカー場、馬場などが大学と共用でき施設も十分。
成蹊には「主要教科」という言葉はない。芸術科目や実技教科も含め、長い目で見た発展可能性を重視したカリキュラムを組んでいる。学習状況は年5回の定期テスト、随時行われる小テスト、実験レポートなどの成績により評価される。高2から文系・理系への移行が始まり、英・数は3段階(高1英語は2段階)のグレード別授業。高3では進路別に18のコースに分かれ、多彩な選択授業で対応。高校の自由選択の演習では、仏・独・中国語を設ける。成蹊大学へは約25%が推薦で進学するが、他大学進学希望者が増えており、東大、一橋大へ一定の合格者を出すほか、早慶上智大、東京理科大などにも多数の合格者を輩出。
静かに目を閉じ精神の集中をはかる「凝念」を行うのが日課で、テストや試合前など、自分から自然に行う生徒も多い。クラブ活動は盛んで、全国優勝を果たした男子硬式庭球部、女子硬式庭球部、東日本大会優勝のラグビー部、また文化部では都の吹奏楽コンクール金賞の吹奏楽部、自然科学部など35のクラブがある。