シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

横浜隼人中学校

2019年08月掲載

横浜隼人中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.思考力・判断力・表現力をセットにして力をつけよう

インタビュー2/3

入試も授業も思考力・判断力・表現力を意識

この問題を出された当初と今とでは、入学後の生徒さんに変化は見られますか。

南崎先生 この問題だけでなく、並行してアクティブラーニングも取り入れてきました。授業と入試が乖離していたら、意味がないですからね。

約97%が大学に進学するので、最終的にはそこを目指すのですが、日常の学習活動は「考えて、決めて、それを伝えること(思考力・判断力・表現力)」をセットにして、意識的に取り組んでいます。
今の世の中には答えのない問いかけがほとんどです。そういう場面で必要となる解答を、僕は「納得解」と言っています。世の中は、みんなで話して「それならいいよ」という「納得解」を導き出すことにより成り立っていると思うからです。例えば「原発をどうするか」と聞かれても、正解はわかりません。でも、何らかの答えを導き出さなければいけないわけです。会社でも、どこかでGOサインを出さなければいけないので、その時にどこまで深く思考できるかが大事になります。築地市場を豊洲に移すかどうかも、どちらにもメリット、デメリットがあります。その中で決めなければいけませんでした。身近なことでいえば、合唱祭で2つの曲のうち、どちらかに決めなければいけない時に、どういう答えを導き出せばいいでしょうか。それはみんなが「よし、それでいこう」という、前向きな気持ちになって進んでいける曲だと思います。そういう答えを導き出すことにチャレンジできる子どもたちを授業の中でも育てたいと思っています。

国語科/遠藤 正行先生

国語科/遠藤 正行先生

仲間と話して答えを出すという経験が必要

南崎先生 学校ではこれまで1人で考えて、答えを出す場面が多かったのですが、社会に出たら「私はこう思うけど、あなたはどう?」と意見交換をして、チームで答えを出していくことが多いと思います。そのため閉じたところで答えを出す練習ばかりしていては社会に出てから困るので、本校では仲間と話して答えを出すという、協働的な授業をできるかぎり取り入れています。時にはクラス全体で話し合い、答えを出すこともあります。最初は「先生、正解は何ですか」「正解を教えてください」と言う生徒がいましたが、だんだん意味がわかってくると、そういう問いがなくなってきました。
Google先生に聞けばなんでも教えてくれる時代。海外の大学の卒業生で「Thank you. Google」と書かれたTシャツをみんなで着て卒業式に出たというニュースがありました。そういう意識を飛び越えさせなければいけないと思っています。そのためにも入試問題が単なる選抜にならないように、「こういう授業をしているよ。共感したら入って来てね」というメッセージとなるような問題を出題しているのです。

答えは1つではなく自由でいい

遠藤先生 本校で入試検討会を行った際に、地図の問題がフォーカスされました。いくつか目印を記載した地図を使い、道案内をするという問題でした。目的地までの方法はいくつかあって、誰でも道案内をすることができます。どれもが正解の問題でした。
入試検討会でも「今後、オリンピックで海外から人が訪れます。おそらく多くの外国人から問いかけられ、道案内をする機会が増えるでしょう。それに対して常に柔軟に答えられるようにするには、答えは1つではなく自由でいいのではないか」ということが話題になりました。

南崎先生 この問題は、心の中で思ったことを文字で表すことは難しいので、そういう力を問いたいという趣旨で出題しました。例えば電話で手元にあるものを説明できるか、というのもその類の問題ですね。自分が伝えたいことを、できるだけ正確に端的に表現する力を求めています。

横浜隼人中学校 図書室掲示物

横浜隼人中学校 図書室掲示物

相手のことを考えると教える道順が変わる

子どもたちの興味がどこにあるのかを知ることができる問題ですよね。

遠藤先生 そうですね。あえて、目的地への行き方を簡単にしました。

南崎先生 数学にも近いですよね。何通りか解き方があって、時間配分によりどれを選ぶか、ということも考えなくてはいけません。

行きやすい方法、説明しやすい方法を選ぶ子もいるでしょうし、自分が興味を持っている道を入れて教える子もいると思います。

南崎先生 確かに「そう教えるのか」という解答はありましたね。

三浦先生 「そこ、遠回りするの?」という…。

遠藤先生 駅を通り過ぎる解答もありました。×かなと思った行き方が、たどってみると行けることがわかったり。

三浦先生 これも採点が楽しい問題でした。自分が行けるかどうか。そこが採点基準なのです。

遠藤先生 入試検討会で話題になったのは「外国人だったら線路が一番わかりやすいのではないか」ということです。「建物を見ても漢字が読めない外国人には、線路をどう使って教えるか。それが最も親切なのではないか」という話になりました。スタンドバイミーの世界ですよね。線路を行けば必ず着くという考え方ですね。

一同 なるほど

南崎先生 単に道案内をするのではなく、相手のことを考えるということは大事かもしれないですね。誰に案内するのか、を限定する出題の仕方もありますね。

地図上に坂道なども盛り込むとか。

三浦先生 そういう問題も作れますよね。

遠藤先生 僕はこういう風に話題になる問題を出せたらいいなと思っています。興味を持てば一生懸命取り組むと思うので、家庭で、あるいは学校や塾の友達と「これさぁ」と言って遊べる問題を出したいです。

横浜隼人中学校 グラウンド

横浜隼人中学校 グラウンド

インタビュー2/3

横浜隼人中学校
横浜隼人中学校1979年に中学校が開校し、1985年から共学校となった。「必要で信頼される人となる」を校訓に、「学力・共生・健康」を教育の3本柱としている。遠くに富士山を仰ぐ緑豊かな自然環境の中、敷地面積54,000m2に校舎が立ち並ぶゆとりある学習環境である。最新のパソコンを配したコンピュータルームや体育館など情報教育施設や各体育施設など、生徒たちに活用されている。
「学力・共生・健康」の3本柱は、「人間教育」を最重要課題として位置づけているからだ。他人への思いやりや環境へのやさしさ、差別や偏見のない広い視野、そして困難に打ち勝つ勇気を身につけることが、新しい時代の扉を広く鍵と考えて、先生方は生徒と関わっている。
生徒主体の考える授業が、全教科で展開されている。英・数は習熟度別授業を導入。朝の読書、放課後の個別指導、漢字・英語コンテスト、ハヤト数検など、学力定着のためのプログラムも多数ある。中1の校内語学研修、中2の国内語学研修、そして中3のカナダ研修と、グローバル化に向けた対応も充実。高校の国際語科では、海外語学研修や1年間の留学制度もある。
合唱祭、スポーツフェスティバル、英語スピーチコンテストなど、行事も豊富にある。クラブ活動は活発であり、中高併せて40以上のクラブがある。全国レベルの強豪クラブもある。勉強にも部活動にも両方とも全力で打ち込むことができ、先生方がていねいにサポートしてくれるという卒業生の声が多い。