シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

横浜雙葉中学校

2019年07月掲載

横浜雙葉中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.苦しみの中にいる人たちに目を向けて、寄り添える人になろう。

インタビュー3/3

公民を学んだ知識を生かす中3のディベート

この問題と同じ「日本は選挙で投票に行かなかった人に罰金を設けるべきである」というテーマでディベートを行ったことはありますか。

小市先生 このテーマで行ったことはないと思います。中3の総合学習ではディベートが1つのプログラムになっています。そこでは全員参加で、いろいろな社会問題をテーマにディベートを行います。

総合学習のディベートは、どのようなテーマで行うのですか。

小市先生 その時々の世界の動きなどに応じて変わりますが、例えば「死刑制度の是非」や、「尊厳死、安楽死を認めるか」「家族に介護が必要になった時に家で介護するべきか」などというテーマで行います。

立論、反駁、第2反駁というディベートの形に沿って行います。私が担当した時の印象では、いろいろなことを調べて夢中になって取り組んでいました。もちろん個人差はありますが、子どもたちは考えることが好きですし、本質的な話をしたがっているということを強く感じました。

中3の公民では基本的人権や、いろいろな社会問題を学ぶので、総合学習と相互に関係を持ちながら理解を深めていけるといいと思っています。

社会科主任/小市 晶子先生

社会科主任/小市 晶子先生

総合学習は本校の特色

小市先生 高2の総合学習ではNGO活動に取り組みます。世界や日本のいろいろな問題の中から自分たちが関心のあることについて、グループで何ができるかを一から立ち上げて話し合い、考えて行動するというものです。ホワイトボードを持ってきて、キーワードを書き出しながら議論をする姿や、それぞれの意見をまとめていこうとする姿はとても生き生きとして心を動かされます。そういう話し合いをする時に前提となるような、共通の事実としての認識などを支えていくのも社会科の役割の1つだと思っています。

国際機関で働く卒業生も

卒業生の進路にも影響はありますか。

小市先生 将来、国内外で苦しみの中にいる人たちに寄り添うような仕事やボランティアをしたいという生徒も多くいますし、実際に国際機関などで働いている卒業生もいます。

生徒には、世界や日本で起きているいろいろな事に関心を持ってほしいと思っています。それらは私たちの生活とつながっていることを感じてほしいですし、苦しみの中にいる人たちに寄り添うことを大切にしてほしいからです。

社会科の入試でも、いろいろな時事問題を取り上げています。これまでの入試でも環境問題や難民の問題など、視線を向けてほしいと思うテーマを取り上げることもありました。

横浜雙葉中学校 マリア像

横浜雙葉中学校 マリア像

学びとは自分や他者を大切にできる力をつけることだと思う

入試問題の1問1問に意図が感じられますね。

小市先生 入試の作問は大変ですが、作問を通して話し合う中で「社会科とは何だろう」「学ぶとは何だろう」ということを考えさせられるので、私たち教員にとっても良い学びの場になっています。

考えたことをどのように実践されていますか。

小市先生 私は学びの究極的な目的は「自分や他者を大切にできる力をつけること」ではないかと思っています。いろいろな科目が遠回りしながらもそこにつながり、自分も他者も希望を持って生きていける力をつけることが大事だと思っています。

ただ、日々の営みは、なかなかそのような壮大なことにはなりません。覚えることもたくさんあります。その中で、折々の単元や今社会で起きていることに即しながら、いろいろな問いを投げかけるようにしています。卒業を迎えた時や、卒業後に、社会に生きる一人として他者に寄り添って生きていくことができる人に育ってくれれば嬉しいです。

社会科では1年の終わりに授業実践の振り返りを行っています。各先生が今年、どのような思いで授業を展開してきたかを話したり、生徒に好評だった授業の題材を共有したりして、授業の質の向上に努めています。

豊かな体験は生きる力になる

最後に小学生に向けてメッセージをお願いします。

小市先生 中学、高校と進むにつれて学習内容はより抽象的になります。その際に役に立つのが、身近な地域のことを学習する小学生時代の体験です。地域を探検したり、史跡や工場、博物館などを訪れたりした経験をもつ子は、それを応用することができます。例えば世界史や世界地理など、実際に行けないような場所や体験できない内容を学ぶ時にも、想像の翼を大きく広げて、関心をもつことができます。豊かな経験は、中高でのより抽象的な学びを支える力になるので、小学生時代にいろいろなところに足を運んでほしいと思います。

小学生用の新聞を読んだり、テレビで社会的なテーマを扱ったものを見たり、本を読んだりすることも深い学びにつながると思います。そして家族や友だちと、世の中で起きていることについていろいろ話をしてみましょう。その中で理解が深まったり興味が広がったりすることがたくさんあると思います。

勉強とはかけ離れているように思えるかもしれませんが、集団の中で、物事をどう進めていくかを考えながら行動することも、将来、さらに難しい問題に直面した時に生きる力になると思います。学校行事や放課後の遊びの時間も大切に過ごしてほしいと思います。

横浜雙葉中学校 図書館

横浜雙葉中学校 図書館

インタビュー3/3

横浜雙葉中学校
横浜雙葉中学校1872(明治5)年、創始者である幼きイエス会(旧サンモール修道会)のマザー・マチルドが来日、横浜で教育活動を開始した。1900年に横浜紅蘭女学校を開校。その後、51(昭和26)年に雙葉、58年に横浜雙葉と校名を変更して現在に至る。2000(平成12)年には創立100周年を迎えた。
「徳においては純真に、義務においては堅実に」を校訓に、一人ひとりが自分を積極的に表現し、他の人と心を開いてかかわり、能力や資質を磨いて社会に役立てようとする「開かれた人」の育成を心がける。そのために「開かれた学校」を目指し、21世紀をたくましく生きるための知性と精神を伸ばす教育が行われている。
横浜港を見下ろす中区山手町のなかでも、最も異国情緒あふれる一角に位置する。隣接の修道院跡地に、聖堂・視聴覚室などを備えた高校校舎と特別教室があるが、03年には図書館やITワークショップなど、最新の情報技術やグローバル教育に対応した新校舎が完成。
45分×7時間授業で、主要教科は、男子の難関進学校なみに内容が濃く、進度が速い。特に英語はテキストの『プログレス』を軸に、中1から少人数の週6時間の授業や、外国人教師による英会話の授業など、非常に意欲的。数学は中1から数量と図形に分ける。中3から英・数は習熟度別編成となる。2期制なので、1年間は42週と公立中学の3学期制・35週より多い。定期テストは年4回だが、「小テスト」は随時各教科で行い、進度が遅れぎみの生徒には指名による補習も行う。高2から文系・理系に分かれ、幅広い選択制で進路に柔軟に対応。毎年東大に合格者を出すほか、難関私大にも多数の合格者を出している。医療系への進学者が多い。中3~高2の希望者にフランス語講座がある。
学校週5日制。年間を通じて朝の祈りやさまざまなミサ、講演会などといった宗教行事も多い。文化祭をはじめ多くの活動が、運営される生徒会を中心に計画される。クラブ活動は、文化部が20、運動部5のほか、聖歌隊、老人ホームなどでボランティアを行うTHE EYESという団体がある。テニス部、新聞部は全国大会にも出場する実績を誇る。しつけに厳しいといわれるが、教師たちは服装や持ち物検査は行わず、生徒たちが自分でけじめをつけて行動するよう求める。制服はジャンパースカート。02年から夏の準制服が登場。ブラウスは白と青、スカートは紺とチェックの2タイプずつで、組み合わせ自在。中3から高2の希望者が韓国、シンガポール、マレーシア、アメリカ、オーストラリアなどを訪れ交流するプログラムが続けられている。