シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

恵泉女学園中学校

2019年07月掲載

恵泉女学園中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.ルールを把握して順序立てて考える問題

インタビュー1/3

手を動かしながら楽しんで解ける問題にしたかった

この問題の出題意図を教えてください。

佐野先生 これは大問2の小問集合の(1)に入れましたが、何か難しい知識を問うよりも、ルールをしっかりと把握し、それを自分の中である程度の試行錯誤をしながら順序立てて考えていく、そのような力を見たいと思って出題しました。

問題を難しくしようとすればエリアを増やしたり、元々は「4色定理」をテーマとしていることから4色にしたりすることもできましたが、そうすると正答パターンが多くなってしまい受験生が困惑することも予想されます。受験生にはまず緊張をほぐして少しリラックスして欲しいという意図もあり、「3色」の問題とし、大問2の最初に持ってきました。なにより問題を解くのに用紙を塗る作業は楽しいですしね。

4色になると少し難しくなりますよね。

佐野先生 そうですね、複数解答に慣れていればクリアできると思いますが、正解が一つだと思ってそこで思考がストップしてしまう可能性もあります。それならば3色にして、解くテンポ感を大切にしようと思った次第です。

数学科科長/佐野 塁生 先生

数学科科長/佐野 塁生 先生

正答率は93%、スピード感を持って解くのがカギ

正答率はどれくらいでしたか?

佐野先生 この問題は93%の人が正答しており、無解答はありませんでした。不正解のケースは、途中で解答が終わってしまったもの、同じ色が隣り合ってしまったものなどがありました。もし実際に色鉛筆を渡して塗ってもらうようにしていたら、さらに正答率が上がったかもしれませんね。

この問題、何分くらいで解ける設定で出題されたものでしたか?

佐野先生 1分から1分半程度、確認する時間も含めて1~2分で解いてすぐ次に行けるものと想定していました。

問題作成のきっかけはあるのですか?

佐野先生 恵泉女学園のオープンスクール(受験生対象の行事)では「数学遊園地」というフリー参加のコーナーを設けています。その一つに4色分けをするパズルを出題していたのですが、それが思いのほか人気でしたので、これはもしかしたら入試問題として作ったらおもしろいんじゃないかな?と思ったのがきっかけです。

このように、やはり取り組んでいておもしろい・楽しいと思ってもらえるのが一番かなと思って出題しています。

実際の受験生たちの感触はいかがでしたか?

佐野先生 私も試験監督をしていましたが、みんなすぐ解答が埋まって次の問題に進んでいた印象です。
昨年度から大問2を4題から5題に増やし、その代わりそれぞれの難易度を少々下げて出題したのですが、もしこの問題の難易度が高ければそこで解答のリズムを崩してしまう可能性もありました。もちろん、そのようなところでの底力を試すというのも良いと思うのですが、私たちとしては、むしろリラックスした中で基本事項を思い出してもらい、大問3・4・5でそれぞれの本領を発揮してもらいたいと思っていました。

厳しい状況下で競わせるという出題の仕方もありますが、中学生の間は極限状態で実力を発揮することよりもそれぞれが自分の色を出すということを大事にしていますので、そのような問題を出題しました。

恵泉女学園中学校 校舎

恵泉女学園中学校 校舎

大問の数を増やすことで、受験生を多角的に評価したい

全体構成についてですが、昨年度入試から4題を5題に変更した意図は何でしょうか?

佐野先生 まず大問1は計算問題を出題しています。(1)は単純なもの、(2)は少し複雑、(3)は逆算、という流れはこれまでと同じです。スモールステップで易しいものから難しいものを解いていけるような配置にしています。

小問集合である大問2の問題数を増やしたのは、幅広く取り組んでいる生徒がまずきちんと得点を取れるようにという意図によります。もう一つは、苦手な箇所がある生徒に対しリスク分散できるかなという意図もあります。たとえば4題だと1つの大問比率が25%ですが、5題中1問だったらその比率は20%になります。苦手な単元がある人に対しても少し配慮したという感じですね。

大問3・4・5に関しては、難易度をただ上げて出題するというよりは各分野から問題を出すことを優先しています。大問3以降は入試説明会でもお伝えしているように、解きやすそうなものから取り組むと良いケースが多いです。
私たちとしては、受験生や生徒のいろんな面を見ることを大切にしたいと思っていて、たとえば、あまり勉強が得意でない生徒や、落ち着かない生徒が他の授業でリラックスしていたり、みんなと楽しく協力し合ったりというところを見ると、多方向から見ることの重要性を非常に感じます。出題数を増やしたのもこういうところと繋がっていますね。

大問1・2・3は問題を読んできちんと理解すれば解けるように心がけて作問しています。また、大問3・4・5は、設問を最初から一つずつ解いていくことで後半の糸口になるようにも設定しています。仮に(3)でわからなくなったとしても、(1)と(2)で何をやったのか、何が新たにわかったのかを確認した上で再度(3)を見てみると、解決への糸口が見つけられるのではないかと思います。

恵泉女学園中学校 メディアセンター

恵泉女学園中学校 メディアセンター

インタビュー1/3

恵泉女学園中学校
恵泉女学園中学校1929年、第一次世界大戦を経験したクリスチャン・河井 道が、「広く世界に向かって心の開かれた女性を育てなければ戦争はなくならない」と考えて創立した。創立当初より聖書・国際・園芸を教育の柱に据え、生徒の知性・感性・社会性を育てている。この伝統は今に受け継がれ、様々な分野で活躍する女性を輩出し続けている。
現在の校舎は創立者の言葉を刻んだ「泉」のある中庭を囲んで配置され、木材を多用し、明るく広々とした雰囲気。また、HR教室24教室分の広さと9万冊の蔵書を誇るメディアセンターをはじめ、生徒の自立的学習を支援する施設が備えられている。
恵泉の朝は、25分間の礼拝から始まる。聖書や感話の中で語られる、人それぞれの生きる営み。様々な生き方を知り、「自分とは何者か」「自分はいかに生きるべきか」、思索を深めていく。恵泉教育の特徴のひとつである「感話」は、日頃感じたり考えたりしたことをまとめたもので、礼拝の中で他の生徒の前で述べる。神との対話、理想とする生き方、友人とのトラブル、留学から学んだこと、哲学や芸術について……多感な時期に感話を書き、また聞き続けることで、誠実に人生に向き合うことを学ぶ。
英語は少人数制と豊富な選択授業により、Reading, Writing, Listening, Speakingの4技能をバランスよく伸ばし、コミュニケーションツールとしての英語を身につけることを目標としている。中学生は英検各級の満点合格者が多数。5年生の54%が2級以上を取得。準1級取得者は12名。また、TOEICでは海外経験がなくてもスコア800以上をとる生徒もいる。
多くの生徒がスポーツ系、文化系の21のクラブで活動している。茶道やオーケストラやサイエンス・アドベンチャーなどの課外活動では、専門の指導者による学年の枠をこえた授業を行っている。また、クラブ活動のほかに学校生活を豊かにするための委員会活動などもある。