出題校にインタビュー!
芝浦工業大学附属中学校
2019年06月掲載
芝浦工業大学附属中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
3.大学付属の学校だからできる、早くから大学の授業を体験できるカリキュラムも
インタビュー3/3
理系にとらわれない芸術肌の生徒
芝浦工大付属中学の生徒について教えてください。
西元先生 本校は理系の大学の傘下にいるので、生徒も理系の割合が多いです。7クラス(中高一貫は5クラス)あっても1クラスが文系であとすべて理系ですから。文系の生徒も入学した中学の頃はロボットが好き、実験が好きということで本校に入学してきた生徒です。それが6年もいれば志向もそれなりに変わってきます。海外教育旅行などを通して英語を勉強したいといった生徒も出てきますので、そういう生徒に合わせた進路形成が行われています。
竹内先生 理系という流れの中で、法学部や商学部、経済学部など数字に関係するものに興味を持つ生徒、またパイロットになりたいという生徒もいます。その場合航空大学校なので、大学は文系で英語を学んでからという考えの生徒もいます。
また芸術関係に進む生徒も毎年います。これも理系のモノづくりやデザイン的な観点から芸術に行くのかなと思っています。さすがに文学部や英文科は少ないですが、理系がらみの文系を選ぶ生徒が多いですね。
芝浦工業大学附属中学校 ロボット技術室
大学と連携した教育でものづくりの楽しさを学ぶ
独自のカリキュラムなどありましたら教えてください
竹内先生 中学生は学年に1回、夏前が多いのですが、大学に行って工学講座を学びます。また大学の教員や大学院生が指導をして工学イベントをするというのもあります。工学系の大学が行うワクワク講座みたいなものです。
各学年でいうと、中1はパスタ・ブリッジといって、パスタで橋を作ります。どの重さまで耐えられるのかバトルをするものですが、構造計算やどの形が丈夫なのか、というのを学ぶことができます。
中2はロボットを作ってバトルをしますし、中3はいろんな分野に分かれてくるので建築、航空など4つの分野から選んで研究室で学ぶという形をとります。
あと独自なプログラムとして、中3「サイエンス・テクノロジーアワー」の中で大学の先生に学ぶという授業もあります。本校の教員はサイエンスの分野、テクノロジー分野は大学の教員に、という感じですね。
西元先生 プロジェクトマネジメントなんかも面白いかもしれません。これは教員主導で行うのですが、大学の学生や院生が訪れて手伝ってくれるものです。レゴブロックを使って家を作っていくプロジェクトを与え、「コストはいくらなのか?」「納期までにどう間に合わせるのか?」「大学生が発注する要件にきちんと合っているのか?」などをチェックし、得点を付けます。必ず評価をして、どのようなコンセプトで作成したのかを発表していきます。生徒が取り組みやすい題材を使い、2時間で終わる短いプロジェクトではありますが、流れを知ってもらうためのものとして非常に生徒の関心も高いです。
竹内先生 「ショートテクノロジーアワー」は普段の授業の中に入っているもので、どの教科もテクノロジーに関係あるはずだという理念のもとにテクノロジーを紹介していきます。日々身近なものの中にテクノロジーがあるんだよ、ということを意識してもらい、工学やサイエンスのマインドを持ってもらうという意図でやっています。たとえば数学だと三角比を使って建物の高さを推定する、国語だとJISコードを記号化する、など行います。社会では薬の話、それも毒薬の話などを扱ったりします。それらを入口として世の中の役に立つという事を意識し、進路選択に使ってほしい、と思っています。
教員間での意見交換などは頻繁に行われたりするのですか?
西元先生 1か月に1回程度、教科会というのがありましてそこで意見の交換を行います。理科の教育についてふれることもありますが、入試をどのようにしていくか、というところを話題に出したりしていますね。
また、実験に関しては前年度に年間計画を立てていまして、何回実験を行ったかをカウントしています。年間400回ぐらいの授業がある中、誰がどのくらい授業の中で実験を行ったか、可視化できるようにしていますね。
芝浦工業大学附属中学校 掲示物
実験や体験の機会を多く与えたい
芝浦工大附属中学高等学校に通っている生徒さんへ、中高時代にこんな力をつけさせたいという理科の先生たちの想いについて教えてください
西元先生 実験や観察を通して理科というのは成り立っていると思います。そのため原理や仕組みについての思考力をしっかりつけて、知識だけに頼らずに自分の考えを言えるような生徒を育てていきたいと思っています。入学時には生徒に白衣も購入してもらっていますので、座学だけにとどまらずいろいろ体験しながら、学んでもらいたいと思いますね。
竹内先生 もともと理科が好きな生徒が多いのですが、本校に入ってもっと理科を好きになってもらいたいと思います。その上で中高6年間ではさらに新しい知識を得て、世の中の役に立つものを作ることができる生徒になってほしいと思います。
理科の基本は実験・体験しかありません。本校では実験を多くしていき、大学と連携して体験を増やしていきたいと思います。またプラスαとしては大学新共通テストもありますので、自分で発信する力を中学のうちに蓄えてもらい、さらに大学に行って発想力を磨いてもらいたいと思っています。これは理系の生徒の特徴ですが、受け身の生徒が多いこともあり、ただ与えられた問題を解くだけでなく、自分で解説できるような能力、プレゼン能力の向上を目指してもらいたいですね。
芝浦工業大学附属中学校 生物実験室
教員は生徒の指南役になっていく必要がある
思考力のある子どもに来てほしい、育てたいとのことですが、思考力はどのようにして身に付くと思いますか?
西元先生 まず知識の詰込みがはじめはどうしても必要ですが、常になぜ?どうして?という疑問を持たせるようにしてあげることですかね。否定する、ということはまずは簡単なのでそこからでもいいのですが、代案を考えさせる、きっかけを与えることも必要です。普段はインプット中心の授業が多いので、アウトプットができる機会をもっと増やしていきたいです。
竹内先生 教員が勇気をもって教えない、生徒に課題を与えて案内をする、導きをしてあげることが思考力をつけるヒントになるのではないかと思います。知識も思考力も必要ということだとやるべきことが2つになってしまいます。知識はICTの活用や発展学習でやってもらい、授業ではグループ討論や発表などを通じ、教員が支持していくという形が近道かなと。
今の生徒は受け身の授業が好きのようですね。与えた知識を吸収するほうが楽みたいなので、そこは変えていかなければいけないと思っています。
芝浦工大付属中学高等学校を目指す生徒に、理科好きになるためのアドバイスはありますか?
竹内先生 ぜひ外に出ていろんな体験をしてほしいと思います。自然の中で学ぶこと、リアルに学ぶことは生徒の記憶に残ると思うんです。月並みですが、自然の中に行くとか、科学館に行ってみることを通して、常になぜ?を意識してもらいたいと思います。そのようなことが人間性の形成につながるのではないでしょうか。
最後にメッセージをお願いします。
竹内先生 本校では、ロボットやプログラミング、理科実験が好きな子供たちのワクワクする気持ちを夢や未来につなげたい、と考えています。しかし、考えていることや上手く伝えることを諦めたり、我慢したりしてしまう子もいると思います。
でも自信をもって物事を進めることができれば、世界が必ず広がっていくと思うので、ぜひ芝浦工大附属中学高等学校の教育を知ってほしいと思っています。オープンキャンパスや文化祭を通じ、学校の様子を見ていただきながら、学校選択の一つにしてもらえたらうれしいですね。
芝浦工業大学附属中学校 沿革
インタビュー3/3