出題校にインタビュー!
清泉女学院中学校
2019年06月掲載
清泉女学院中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
1.2次元と3次元を思考で自由に行き来する
インタビュー1/3
言語情報から想像したことを地図に落とし込む
瀧先生 小説の読解力は、文章という2次元の情報から、シーンを正しく想像して3次元に変換する力が求められます。「正しく」というのは、自分勝手に飛躍しすぎた解釈をしないこと。入試では、文中の内容を正確に読み取り、内容に基づいて無理のない範囲で、過剰なつけ足しなく想像できるかどうかを見ます。
情報を2次元から3次元に変換したのち、3次元から2次元に変換する力を試したのが問2です。文章を読んで、思い浮かべたバレエ教室までの道のりを平面の地図に落とし込みます。
結果的に、社会科教科の要素を含む問題になりましたが、2次元から3次元へ、3次元から2次元へ、異なる次元の頭の使い方を連続的にできるかどうかを試しました。
広報部長・国語科/瀧 康秀先生
習っていない地図記号でも消去法で正解にたどり着く
問1の(A)の銀行の位置は、問2のバレエ教室の位置を考えるヒントになりますね。
瀧先生 はい。問1は問2の導入のつもりで出題しました。
銀行の地図記号は小学校では習いませんが、他の4つはすべて習っていますから、消去法で正解にたどり着けると思いました。
国語の問題に地図が出てきて、受験生はびっくりしたのではないでしょうか。
瀧先生 そうかもしれませんね。簡単だろうと思ったのですが、それは大人の感覚だったようです。
問1の正答率は51%でした。もう少しできるかなと思っていました。知っている記号を選ぶのではなく、消去法で残った知らない記号を選ぶことに戸惑ったのかもしれません。
言語情報から非言語情報の地図記号へ変換する
瀧先生 問2の正答率は35%でした。(d)と答えた受験生が多かったですね。
文中に「やがて左手に目指すビルが見えてくる」とありますから、(b)か(d)に絞られます。
瀧先生 バレエ教室があるのは「三条通室町西入る衣棚町」ですが、地図にあるのは「衣棚町」ではなく「衣棚通」です。大人なら「衣棚町があるのは、衣棚通沿いだろう」と推測しますが、小学生には難しかったようです。
「西入る」という京都独特の住所表記は初めて見たかもしれませんが、このルールを知らなくてもわかるように作ったつもりです。
文中の表現から、このときの登場人物の心情を読み解く選択問題のように、どちらも言語情報を扱う問題はよくあります。ところが問2は、地図という非言語情報に変換(抽象化)しなければなりません。
瀧先生 このようにタイプの異なる情報に変換する場合、タイプが同じ情報同士とは別の頭の使い方が求められます。この問題はそうした柔軟な頭の使い方ができるようになろう、というメッセージでもあります。
清泉女学院中学校 講堂2階ロビー ステンドグラス
答えは必ずしも下線部の近くにあるわけではない
受験生は、町名が書かれた最初の段落から答えを探そうとしたのではないでしょうか。
瀧先生 その情報だけで答えられそうな気がしますよね。でも、もう少し読まないと正解にたどり着けません。下線部の周りだけでなく、全体を読みましょう。
小説の場面を想像しながら読んでいる子どもは案外少ないかもしれません。小説を読むなら、主人公になったつもりで頭の中で“街歩き”をするように読んでほしいですね。
清泉女学院中学校
インタビュー1/3