シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

品川女子学院中等部

2019年04月掲載

品川女子学院中等部の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.中学理科の授業は2回に1回は実験

インタビュー2/3

小問で知識の定着度を、大問で読解力・思考力を測る

入試問題の作問にあたり、どんなことを意識されていますか。

前田先生 理科は大問3題の構成です。大問1の小問集合問題は基礎知識を聞いています。勉強してきたことをしっかりアウトプットして、しっかり得点してほしいところです。
一方、大問2・3は読解力・思考力を試す問題が中心です。リード文・設問文をきちんと読まないと解けないような問題になっています。

石渡先生 記述させると本当にわかっているかどうか見極めることができ、理解度に応じて点数を付けられます。
条件が加わると、深掘りするため難易度が上がります。情報が消化できていないと、新たな情報を取り込んでも消化不良を起こします。より一層、思考して理解する力が求められます。

実験結果のグラフから情報を読み取る問題も出題しています。この問題のあとには、光の強さと光合成の関係を表すグラフを提示しています。小学生が初めて見るようなパターンですから、リード文から情報を読み取り、光合成の知識を活用して、実験で何をやったのかを読み取ります。それがわかると、なぜグラフの形がこうなっているか理解できると思います。

理科/前田 直美先生

理科/前田 直美先生

読解力の“処方せん”は教科書をよく読むこと

石渡先生 私は作問に当たりできる限り文章題を心がけています。リード文や設問文をしっかり読んで条件を踏まえて答える、グラフや表の読み取りと組み合わせて答えるなど、理科であっても読解力を意識した問題づくりを心がけています。

入学後、理科の読解力をどのように指導されているのですか。

石渡先生 「教科書をきちんと読もう」と言っています。教科書の文章はよくまとまっていて読みやすいです。
中3の生態系では、導入から新しい用語がたくさん出てきます。教科書を読んで、それらの用語の関係性を1枚のスライドにまとめて生態系の相互関係の図を作成します。220人(44人×5クラス)の図はどれも違います。読解力・表現力のある生徒はうまくまとめています。

思考できるように知識のインプットも怠りなく

受験生の答案から、科目の得手・不得手は見られますか。

石渡先生 物理は概念的に難しい印象がありますが、結構得点できています。問題を解き慣れているように感じます。

前田先生 スタンダードな問題が中心ですから、計算力があれば対策次第で得点できるようになるでしょう。

石渡先生 生物は他の科目に比べて小問の正答率が低めで、知識のインプットがもう一歩な印象です。

子どもは名前を覚えるのが苦手です。

前田先生 知っているだろうと思って出した星の名前(オリオン座、シリウス)は思いのほか答えられませんでした。覚える作業をあまりしていないのかなと思いました。

知識の定着度は以前よりも少し低くなっていると感じます。インターネットですぐ調べられる環境のせいか、基本的な用語は覚えなくてもいいと思っているのかもしれません。

前田先生 すぐ調べられるといっても、全部調べればそれなりに時間がかかります。何より知識がなければ思考することができませんから、基礎知識はしっかり押さえておきましょう。

品川女子学院中等部 理科実験一覧

品川女子学院中等部 理科実験一覧

授業は実験中心。化学は高校でも実験が盛ん

理科の授業について教えてください。

石渡先生 授業は実験ベースで、特に中1は半数が実験です。実験と振り返りを交互に行い、実際に手を動かす、見る、触れることを重視しています。
本校は中3から高校の内容を先取りします。中3の生物は実験が少なくなりますが、できるだけ実物や映像を見せたり、演示実験をしてみせたりしています。聞いているだけにならないように授業形態を工夫して、手を動かす、頭を使う時間を多く取るようにしています。

前田先生 化学の場合、中1は2回に1回以上が実験で、高校でも頻繁に実験しています。教科書に載っている実験だけでなく、できるものは実験するようにしています。

品川女子学院中等部 理科室

品川女子学院中等部 理科室

実験を繰り返し、覚えた知識を「使える知識」にする

前田先生 中1はよく「その実験は勉強したけれど、実際にするのは初めて」とつぶやきます。受験勉強で実験結果は覚えたけれど、実際にどうなるか自分で確認しないままになっています。「小学校でやったかな?」と聞いて「はい」と答えるけれど、実際にはできないことがほとんどです。

石渡先生 入学してすぐはほとんどが顕微鏡を扱えません。受験勉強で顕微鏡の各部の名前や手順は知っているけれど、それが実際の操作に活かされていません。自分でやってみることで使える知識にしていきます。
生徒は店頭で売っている野菜や果物が、花や実や種だと思っていません。実験素材はできるだけ身近なものを取り上げて、学習と実生活をリンクさせるように意識しています。例えば、スナップエンドウの先についている“ひげ”のようなものが、めしべの先端(柱頭)だと気づかせます。

実物は模式図どおりではないことに気づく

前田先生 結果が比例する実験は、実際やってみると教科書どおりにきれいなデータは得られないものです。そのことに気づくのも実験の目的ですが、簡単ではありません。グラフを作らせてプロットした点が少しでも直線上から外れると、「比例ではない」と思ってしまいます。

石渡先生 生物の実験素材は個体差がありますから、10班でイカの解剖をすれば、10個体はすべて違います。教科書の模式図はわかりやすさを優先して整然とかかれていますが、あくまで模式図であり、実物は必ずしもその通りではありません。でも、生徒は教科書と少しでも違うと「これは何ですか?」と聞きます。私は「何だと思う?」と聞き返して生徒に考えさせます。
自分の体を使って人体模式図をかく課題は、模式図どおりではないことに気づかせるねらいがあります。ゴミ袋に頭と手を通す穴をあけてかぶり、相手のゴミ袋に臓器をかきこみます。できあがりは模式図と違い整ってはいませんが、肺は思ったより大きくてかなりのスペースを占めているなど、教科書の模式図では気づきにくい発見があります。

品川女子学院中等部 体育館

品川女子学院中等部 体育館

インタビュー2/3

品川女子学院中等部
品川女子学院中等部1925(大正14)年に荏原女子技芸伝習所が開設。戦後、品川中学校・高等学校となる。1990(平成2)年には制服を新しくし、1991年に現校名に。2004年には高校募集を停止し、完全中高一貫体制に移行。受験にも十分対応できるシステムで学力の向上をはかる。創立100周年を迎える2025年には新校舎が完成する。
新校舎は学年ごとにフロアを分けており、廊下が広く、さまざまな活動ができる。
「世界をこころに、能動的に人生を創る日本女性の教養を高め、才能を伸ばし、夢を育てます」というミッションのもと、社会の問題を発見し、多様な人を巻き込みながら解決に向けて一歩踏み出す「起業マインド」を育てる。そして、「28歳になった時に社会で活躍できる女性を育てる」という「28プロジェクト」に取り組んでいる。総合学習での企業訪問や起業体験は、学習への動機付けともなっている。平日の補習・講習と年4回の担任面談で、きめ細かい進路指導をおこなっている。
コミュニケーション能力の育成や、国際社会で活躍するための基礎となる英語能力の育成に力を入れ、英検指導もおこなう。完全中高一貫体制で、独自のシラバスに沿って高2までに無理なく大学進学に対応できる学力を身につけ、高3で進路に応じた選択科目や演習によって実践的学力を養成する。中学では基礎力を鍛えるため、補習や講習もきめ細かい。高校生は20:00まで学校で自習が可能。
国際化教育プログラムも充実しており、海外留学生のうけ入れ、オーストラリア、イギリス、ニュージーランドの姉妹校への留学、中3の修学旅行(ニュージーランド)などで「生きた英語」「異文化」を学ぶ。宿泊行事、合唱祭、文化祭、体育祭、芸術鑑賞、校外学習など行事も多種多彩。茶道・華道・着付けの指導もある。クラブは38あり、バトン、ダンス、吹奏楽部などが部員が多い。利用者の多い図書館の蔵書は42,000冊。