シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

品川女子学院中等部

2019年04月掲載

品川女子学院中等部【理科】

2019年 品川女子学院中等部入試問題より

植物の葉に光を当てたとき、いっぱんてきに強い光を当てた方がより活発に光合成を行います。このとき、「より活発に光合成」という表現を「定性的(ていせいてき)」と言います。 理科ではよく、この「定性的」なものを具体的(ぐたいてき)な数値で表現します。それを「定量的(ていりょうてき)」と言います。例えば「今日は昨日より暑い」というのは定性的で、「今日は昨日より 気温が5℃高い」というのが定量的です。植物の光合成は二酸化炭素の吸収量によって定量的に表現できます。

(問)本文を参考に、次の(ア)~(オ)の中で定量的な表現をすべて選び、記号で答えなさい。

(ア)明日は問題をいっぱい解く。

(イ)明日は今までで1番勉強する。

(ウ)明日は3時間勉強する。

(エ)明日は問題集を20ページ勉強する。

(オ)明日は4科目の中で、理科を中心に勉強する。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この品川女子学院中等部の理科の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

(ウ)、(エ)

解説

問題文を読むと、定量的な表現とは、たとえば「今日は昨日より気温が5℃高い」のように、具体的な数値を使って量を表すことだとわかります。
(ウ)の「3時間」、(エ)の「20ページ」は、具体的な数値です。これらの具体的な数値を使ってどのくらい勉強するのかを表しているので、(ウ)と(エ)は定量的な表現だといえます。
(ア)の「いっぱい」、(オ)の「中心に」は、具体的な数値ではないので、定性的な表現だといえます。なお、(イ)の「今までで1番」は、数字を使った表現ですが、具体的な量を表していないため、やはり定性的な表現であるといえます。

日能研がこの問題を選んだ理由

この問題では、理科でよく使われる定量的なもののとらえ方に目を向けていきます。問題文を読みながら、具体的な数値を使った定量的な表現と、定性的な表現のちがいをとらえたうえで、「どのくらい勉強するのか」を表現した5つの文の中から、定量的な表現をしているものを選び出します。

この問題に出あった子どもたちは、これまで意識せずに使ってきた表現のちがいに気づき、普段の生活のいろいろな場面で、状況に応じて定性的な表現と定量的な表現を使い分けたり、自分が伝えたいことを伝えるための工夫を考えたりすることに目が向きやすくなるでしょう。

このような理由から、日能研では、この問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。

SDGs17のゴールとのつながりについて

  • 18 SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS

物事を考えるとき、「定性的」に考えるか、「定量的」に考えるかを意識していますか?
目標を定めるときやその効果や進捗をはかるとき、評価の基準を明確にしていないと、曖昧でぼやけてしまいます。明確な目標を示すために使われる考え方の一つとして、「定量的・定性的」な考え方があります。
SDGs(持続可能な開発目標)のさまざまな目標について考えるとき、たとえば定量的に数値目標を決めても、国や地域によって諸条件が異なれば、同じ数値目標では意味がないという場合も数多くあります。
定性的な表現は具体的ではありませんが、伝えたいものの性質・内容は周囲に伝えることができ、相手がその物事についてイメージしやすくなります。そのイメージを補完するために定量的な表現(具体的な数字)を利用します。
世界全体で向かう方向を示す場合は定性的、各国それぞれの目標は定量的、というように、この2つの考え方を効果的に使い分けることで、SDGsをより共有しやすく、より明確にでき、具体的な施策を考えることができるようになるでしょう。

私学とSDGsのつながりについて詳しくはこちらから

日能研は、SDGs をツールとして使い、私学の活動と入試問題に光を当てた冊子をつくりました。
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