シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

フェリス女学院中学校

2019年04月掲載

フェリス女学院中学校【国語】

2019年 フェリス女学院中学校入試問題より

(問)テレビ・ラジオのコマーシャルソングや電車の発車メロディーのような、一部分だけを用いた音楽について、良い点と悪い点の両方を挙げながらあなたの考えを二百字以内で書きなさい。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、このフェリス女学院中学校の国語の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答例

曲の一部を用いた音楽は、なじみのある曲の一番の盛り上がりやその場に合った部分を短い時間で楽しめ、耳に残りやすいから、宣伝や注意という目的に適いやすいのが良い点だと言える。しかし、音楽の価値は全体にあるという観点からすると、音楽を一つの完成したものとしてとらえられなくなるのが悪い点だ。私は、一部分だけを用いた音楽を聞く時には、これは本来の曲の姿ではないということを心に留めてほどよく楽しみたいと思う。

解説

答案を構成する要素は、次の3つです。

  • 「一部分だけを用いた音楽」の良い点
  • 「一部分だけを用いた音楽」の悪い点
  • 自分の意見

「良い点」と「悪い点」は、違う観点から書いても構いません。大切なのは、「自分の意見」とどのようにつなげるかということです。構成としては、「良い点」「悪い点」の順に挙げた上で、そのどちらかを援用して「自分の意見」を展開していくという方法が考えられます。理由をつけることで「自分の意見」は説得力を持ちます。
200字の中で、「良い点」「悪い点」「自分の意見」のつながりやバランスを意識して、他者に伝わるように表現しようとしてみましょう。

日能研がこの問題を選んだ理由

設問にある「テレビ・ラジオのコマーシャルソングや電車の発車メロディーのような、一部分だけを用いた音楽」は、子どもたちにとって身近なものです。

文章から読み取った他者の主張を、自分の身近なことがらと結びつけて考え、自分の意見を持つことは、情報過多の時代にあって大切な姿勢だと思われます。

また、設問に「良い点と悪い点の両方を挙げながら」とあります。一つのことがらを複数の見方で検討する中で、多様な考え方や価値観をふまえて自分なりの意見を構築してほしいという課題に見えました。

さらに、良い点と悪い点、自分の意見が論理的につながるように200字以内で構成し、相手に伝わるように表現する大切さが感じられました。

以上のことから、この問題に取り組むことで子どもたちは「身近なことに引きつけて思考する力」「複数の視点で検討する力」「他者に伝えるための論理的な表現力」が必要だというメッセージを受け取れると考え、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことに致しました。