シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

大宮開成中学校

2019年03月掲載

大宮開成中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.社会貢献を意識するプレゼンテーション教育

インタビュー3/3

1年間の探究の成果を発表する「開成文化週間」

山中校長 本校が2005年の中学開校から力を入れているのが、中1~高1の「プレゼンテーション教育」です。高校受験のない中高一貫だからできる取り組みの一つです。

片田先生 学年ごとに大テーマを設定し、5~6人のグループで決めたテーマについて1年かけて調査・研究します。役割分担は固定せず、リーダー役もフォロワー役も経験します。
第一段階のプレゼンテーションは10月の文化祭です。模造紙にまとめて発表します。その内容をブラッシュアップさせてパワーポイントの資料にまとめ、学年ごとに模擬プレゼンテーションを行います。選出されたグループは、2月の「開成文化週間」で発表します(2日間開催)。

山中校長 中1は入学後しばらくは“小学7年生”のようなものですが、文化祭で発表して正真正銘の中1になるイメージでしょうか。2月の「開成文化週間」が終わる頃には、「いよいよ先輩になるんだ」という意識が芽生えます。

大宮開成中学校 掲示物「小論文入試テーマ」

大宮開成中学校 掲示物「小論文入試テーマ」

1人プレゼンは周囲を巻き込む力も求められる

プレゼンテーション教育の中で、伝え方、見せ方の指導はされているのですか。

片田先生 表現の方法は特に指導しておらず、生徒に任せています。教員は情報の信頼性の確認や構成の組み立てを指導しています。
グループで取り組むのが基本ですが、最近は1人で行う生徒も出てきました。

山中校長 1人プレゼンというのは、1人で完結させるわけではなく、1人でやるからこそ周りの人の手を借りられるようでなければなりません。周りに意見を求めるなどして周囲を巻き込み、自らオープンな姿勢でなければ1人で行う意味はありません。

「社会への貢献」を意識してテーマに取り組む

山中校長 中1の大テーマは「身近な環境」です。その調査・研究対象は、森林破壊や酸性雨など多岐にわたります。
取り上げるテーマをどうやって広げるか、あるいは深めるか。現状把握にとどまらず、そこから何を学ぶことができるか、課題解決のためにどんなアクションを起こすか、踏み込んで探究します。どうすれば社会をよりよい方向に変えられるか、どのように社会に貢献するかという視点を常に意識します。
生徒の発表を聞くと、よく調べているな、見せ方を工夫しているなと感心します。あっという間に時間が過ぎます。

大宮開成中学校 構内

大宮開成中学校 構内

同じ土俵に乗って実感する学年差をエネルギーに

山中校長 開成文化週間では高1の発表を中学生も聞きます。4学年合同で行うのは、同じ土俵に乗ることで学年の力の差を実感させつつ、あこがれを持ち、目標にしてもらいたいからです。高1の発表を聞いた下級生は、「これで満足してはいけない!」「来年はがんばらないと」と決意します。一方の上級生は「下級生には負けられない」と気を引き締めます。

このほかにも、「全校英単語テスト」、「レシテーションコンテスト(中1・中2)」や「スピーチコンテスト(中3・高1)」は学年の枠に関係なく競います。単に勝ち負けを競うのではなく、他の学年の成果を目にすることで成長するエネルギーにしてほしいですね。

片田先生 生徒に、「こういう切り口もあるよね」「あそこはこうするともっとおもしろくなったね」などとアドバイスすると、「そういう手がありましたね!」とこちらの意見に耳を傾けて吸収しようとします。教員とやり取りする中で自分の足りない部分に気づき、次に活かそうとする生徒が増えてきているように感じます。

自由度の高い授業で生徒の成長を促す

片田先生 豊富な授業時間を活かして、特に中学3年間は受験勉強に縛られない学びができればと思っています。

例えば、新聞を批判的に読むことをしています。学校の図書館で過去数カ月間の新聞を使い、はじめはこちらで記事を選びます。最近のトピックなら、アメリカのINF(中距離核戦力)全廃条約離脱を各新聞社がどう報じたか、違いがあるかどうか読ませました。読み方に慣れてきたら、国際面や社会面など「面」を指定して、その中から生徒に記事を選んでもらいます。

公民科目は政治分野に比べ経済分野が弱いので、経済の視野を広げようと、東京証券取引所が提供する金融経済教育の教材を使っています。すると、株式投資に興味を持った生徒が「日経STOCKリーグ」に参加、2018年度は二次審査を通過(入選)しました。

山中校長 コンテストに参加した生徒は、昨年の開成文化週間で「日経STOCKリーグ」の活動報告とその意義を発表し、「一緒にやりませんか」と呼びかけました。

片田先生 彼らはブルーオーシャン理論を専門とする大学教授のアドバイスを受けるなど、積極的に動いていました。「こんなことをやってみたい」という生徒の意欲を後押ししたいと思っています。

山中校長 教員に要望しているのは、「授業の内容がわかった」と授業で完結するような学びではなく、授業で学んだことから生徒が自ら考えようとする、学び進むきっかけとなるような授業です。

大宮開成中学校 図書館

大宮開成中学校 図書館

生徒の成長に柔軟に対応するのが“大宮開成流”

片田先生 自由度の高い授業が、生徒の成長につながってきたと実感し始めているところです。大学受験の準備に入る前の高1までに、生徒の発想力を伸ばせるように、いろいろなことを経験させたいと思っています。

山中校長 本校は生徒の成長度合いに応じて柔軟に対応します。大枠は決めていますが、多様性を受け入れて、生徒にとって必要と思えばその都度、臨機応変に取り組みます。高3のクラス編成も「枠ありき」ではありません。その学年にとって何がベターなのかを模索するのが本校の特徴です。

大宮開成中学校 図書館

大宮開成中学校 図書館

インタビュー3/3

大宮開成中学校
大宮開成中学校1942年設立された大宮洋裁女学校が創設し、7年後に大宮開成高等学校が設立された。中高一貫部が開校したのは2005年。大宮駅からバスで7分、徒歩19分のところに位置する。2016年の新図書館につづき、2018年、新体育館が完成した。
校訓「愛・知・和」のもと、「調和の取れた人間教育」を実践している。中学からの生徒は「英数特科コース」で、中高6年間を見通したカリキュラムで学ぶ。第1ステージ(中1・中2)基礎学力の完成、第2ステージ(中3・高1)では進路意識の確立、第3ステージ(高2・高3)では現役合格力の完成を目指す。
クラスに応じて「アドバンスト演習」で応用力を養成、「スタンダード演習」で基礎力の定着を図る。英語は、中1から高1で「NEW TREASURE」を使う他、ネイティブの先生による英会話、中2はオンライン英会話も導入され、4技能をバランスよく育成する。
校内外行事としても、中2「奈良京都伝統文化研修」・中3「GVS」などで語学力・グローバル感覚を段階的に養い、高1の「オーストラリア海外研修」で集大成としている。任意参加で「短期ホームステイ」(中3~高2対象)、「3ケ月ターム留学」(高校生)なども用意されている。
4月の「フレッシュマンキャンプ・ジュニアキャンプ」は、高2・中1の合同行事で、高2が主体となって親睦を深める。クラブは中学は全員参加。高校でのアーチェリー・チアダンスや吹奏楽は、関東大会レベル・全国大会レベルである。中学段階は学校給食で、成長期に必要な栄養バランスを満たしているのはもちろん、郷土や季節にちなんだメニューも用意され、好評である。