シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

市川中学校

2019年03月掲載

市川中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.大学入学共通テスト(新テスト)を見据えた入試問題作成が昨今のトレンドに

インタビュー2/3

読み取り力が問われる問題は今年の入試の傾向

今年は入試全般でもこういった文章が長い設問のものが目立っており、読み取りの力を問われるというのが特徴です。今回、読み取る力がクローズアップされたというのには大学入試の影響が大きいですか?

秋葉先生 どこの学校でも新テストを意識されており、そのような問題を出題しようとしているのかもしれません。本校も影響がないとは言いませんが、先ほど紹介した本にも記載されていたようなことを、中学入試の段階ではどのくらい条件を理解して読めたり把握できたりすることができるのか?について今回は聞いてみようと思いました。

たとえば、新傾向入試を意識しているように見える問題でも、与えられた情報からきちんと内容を読み取れるかどうかも聞けるものとして作成しました。

この問題はどのようにして作成されたのでしょうか?

秋葉先生 基本的には、個々人でネタを持ってきて、どの問題がよくなりそうかを考えた上で1つに絞り、そこに対してみんなで問題を考えて作り上げていきます。持ち寄った段階では最後までかっちり決まった状態のネタが出てくることは少ないです。問題作成におけるポリシーとして、数学の学問的な背景があるものを題材にして、生徒に見てもらいたいとは考えています。

実際入学してきている生徒は、読み取りという点で過去の生徒とは違ってきているというのはありますか?

秋葉先生 国語科の方では何か感じているものがあるかもしれませんが、数学科では、このような論理の話は高1の数において行うので、そこまで複雑な論理の話は出てきません。
「~ならば」で書かれているものは最初逆に読むんですよ。「PならばQ」を「QならばP」でもOKと思ってしまう。それも高校生の後半の段階でもそのように思ってしまっているのが実情ですね。

数学科/原口 智先生

数学科/原口 智先生

日々の授業は教員それぞれ自由なスタイルで

具体的に日々の授業で工夫されていることや、各先生方で話し合われていることはありますか?

秋葉先生 本校での授業は、各々の先生が自由にやっている雰囲気です。このプリントを絶対使おうといった画一的なカリキュラムのもとで行っていく感じではないですね。とはいえ、先生方が授業で「こういうネタをやったよ」というのを共有したり、教員の勉強会を開いて、新しい授業の見せ方やネタがないかを考えたりはしています。

結構頻繁に勉強会はされるのですか?

秋葉先生 そうですね、毎週1回やっています。数学の先生みんなというわけではく有志のみですが、人数は少ないですが他教科からも募ってやっています。特に理科における科学や物理は、数式を使うこともありますので、影響を受けることは多々あります。数学ではこのように教えているものの、理科ではどのように教えているのか?というのを参考にしたりすることもあります。

原口先生 それと、本校はクラス規模が大きい学校なので、1つの教科を1人ですべて教えることはできません。当然8クラスすべて教えることは物理的に難しいので、学年間での情報共有はよくしています。

たとえば、勉強会で学んできたことを次はそのまま各々の学年に落としていく作業は頻繁に行っています。その学年で教えている先生同士で話したりしますし、教えている学年も複数にまたがっていることも多いので、その分2回聞くことができることもありますね。

市川中学校 掲示物

市川中学校 掲示物

生徒への危機感から毎週1回の教員勉強会を実施

教員間の勉強会はいつ頃からやり始めたのですか?また、何かきっかけはあったのですか?

秋葉先生 これまでは定期テストごとに1回集まって、年間5回、外部の先生を呼んでやったりしていました。週1回でやり始めたのは今年からです。そのように頻繁に行うようになったのは危機感もあってのことです。学校自体がある程度のレベルになってきているので、教科書に沿った普通の授業をやっているだけでは生徒も楽しくありません。そのようなことから、我々ももっと研究し、面白い数学の授業を作らないと生徒がついてこないのではないか、と感じています。

算数や数学は子供が自分自身で考えていかないとなかなか伸びていかないと思います。子供が自発的に考えていけるように何か工夫していることはありますか?

秋葉先生 授業などで見せる題材では、彼らの発達段階に沿ったものをなるべく選ぼうと各教員思っていると思います。私は高2、高3がメインなのですが、大学入試の問題でもいろいろな解き方ができたり、視点を変えたり条件を変えたら違う問題になるものを選んで出しています。やはり見せないとなかなか鍛えられないとは思いますね。ゼロから考えてというのは正直難しいです。考え方はこれだけあるよ、と提示しながら、その中で別解を考えていくというイメージでしょうか。

共学だからわかる男女の学習スタイルの違い

共学になってかなり経ちましたが、何か変化は感じていますか?

秋葉先生 私は男女が一緒の時から教員生活が始まっているので、男子だけの時との違いについては把握できていませんが、授業や定期テストをやってみていると、どうしても男女の差はあるかなと感じます。

理系を選択する割合が女子では少ないのは事実ですし、また男子の方がゴリゴリ計算する腕力を持っていると感じます。女子はセンスやひらめきを持っているものの、腕力には男子に比べて差があるのを感じます。しかし感覚的にとらえることは、女子の方が得意なのかなと感じますね。

たとえば、空間図形などでは男子は視点を動かせずに、自分がこれだと思うもので突き進んでしまいがちです。腕力はあるのでそれで解ける方法もありますが、実際は他の方向から見た方が楽だよね、と思うところもあります。

市川中学校 自習室

市川中学校 自習室

インタビュー2/3

市川中学校
市川中学校1937(昭和12)年、市川中学校として開校。47年、学制改革により新制市川中学校となる。翌年には市川高等学校を設置。2003(平成15)年には中学で女子の募集を開始し、共学校として新たにスタート。同時に新校舎も完成させた。女子の1期生が高校へ進学する06年には高校でも女子の募集を開始。昨年4月には校舎の隣に新グラウンドが完成。2017年には創立80周年を迎えます。
創立以来、本来、人間とはかけがえのないものだという価値観「独自無双の人間観」、一人ひとりの個性を発掘し、それを存分に伸ばす「よく見れば精神」、親・学校以外に自分自身による教育を重視する「第三教育」を3本柱とする教育方針のもとで、真の学力・教養力・人間力・サイエンス力・グローバル力の向上に努めている。
効率よく、密度の濃い独自のカリキュラムで、先取り学習を行っていく。朝の10分間読書や朝7時から開館し、12万蔵書がある第三教育センター(図書館)の利用などの取り組みが連携し、総合して高い学力が身につくよう指導している。中学の総合学習はネイティブ教師の英会話授業。2009年度より、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校となる。授業は6日制で、中1、中2の英語7時間、中3数学7時間など主要科目の時間数を増やす。ほかに夏期講習もあり、中1・中2は英・数・国総合型講習を実施。高校では、高2で理文分けし、高3ではさらに細かく選択科目等でコースに分かれて学ぶ。授業の特徴としては、インプット型の学習で基礎力を育成するともに、SSHの取り組みとして、研究発表、英語プレゼンなどを行う「市川サイエンス」、対話型のセミナーである「市川アカデメイア」、文系選択ゼミの「リベラルアーツゼミ」といった発表重視のアウトプット型の授業展開を実施している。自らの考えを相手に伝える表現力を、論理的に考え、それを伝わりやすい文章で表現するスキルとしてアカデミック・ライティングといい、「読めて、書ける」を目指し「課題を設定する力」、「情報を正確に受け取る力」、「それを解釈・分析する力」、「自分の考えをまとめ・伝える力」を育てる。
高1の各クラスごとに3泊するクラス入寮は創立当時から続く伝統行事。クラブは中高合同で活動する。行事は体育祭、文化祭のほか、自然観察会、合唱祭、ボキャブラリーコンテストなどもある。夏休みには中1、中2で夏期学校も実施。中3でシンガポールへの修学旅行を実施。また、希望者を対象にカナダ海外研修(中3)、イギリス海外研修(ケンブリッジ大学、オックスフォード大学中3・高1)、ニュージーランド海外研修(中3・高1)、アメリカ海外研修(ボストン・ダートマス高1・高2)が実施されている。生徒のふれあいを大切にしているが、カウンセラー制度も設けて生徒を支えている。