シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

市川中学校

2019年03月掲載

市川中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.生徒がどれくらい文章を論理時に読み取れる力があるかを問う問題を出題

インタビュー1/3

話題の本を参考に入試問題を作成

今回この問題を出題された意図を教えてください。

秋葉先生 もともとのきっかけは、昨年話題になった新井紀子さんの「AI vs. 教科書が読めない子供たち」という本に書かれていた、数学の力とは全く関係ないところで実は差が出ているのではないか?ということについて思うところがありました。

我々の中学の1回目の入試では母体数も2,500程度ありますので、実際受けてくる生徒がどれくらい文章を読み取る力があるのか聞きたいと思いこのような問題を作成しました。

国語の力がかなり求められるのではないかと思いましたが、そのような意図だったのですね。大人の視点から見ると何という事のない問題かと思うのですが、子供からするとそれほど簡単ではない問題ですよね。

秋葉先生 半分ぐらいの生徒が不正解だったのですが、我々としてももう少しできると思っていたものの、意外な結果になりました。論理構造をきちんと追っかけられるかという問題ではあったのですけれども。

数学科主任/秋葉 邦彦先生

数学科主任/秋葉 邦彦先生

論理の読み違いが合否を分ける

この問題の中には「3つの情報」がありますが、不正解だった生徒はどの情報で引っかかったと思われますか?

秋葉先生 基本的に合っていないパターンは大きく2つありました。
1つは(c)だけを選んだパターン、もう一つとして(c)と(e)を選んだパターンが多かったです。おそらく(c)はわかっていて、残り(e)と(f)のどちらかで悩んだと思われます。

3つ目の条件(ビルとタワーは少なくとも1つずつあります)に関して、少なくとも1つずつあるというのはみなさん読み取っているのですが、最初の条件(高さが50m以下であるものはすべてビルです)の読み取りが苦手だった、または勘違いした子が多かったのかなと思いましたね。我々としては、(f)を選べない子は、最初の条件でビルに関しては全部50m以下というニュアンスで読み取ってしまい間違ってしまったかな、と考えています。

原口先生 (e)を選んでしまった子は、この後の問題では、ほぼ100%確実に間違っていました。問題に流れがあるため、(e)を選んでしまうと、確実に誤答を選んでしまうものがあるためです。おそらく何かしらの論理構成を自分で立てていて、その結果必ず違う回答をしてしまったようです。読み違いをして間違った論理構成をしてしまった結果、次の問題も間違ってしまい、結果として両方間違ってしまったケースなのでしょう。

この問題は算数でないと思っている子も多いかもしれませんね、知能テスト的な、一般常識の範囲に入るようなイメージがありますね。

秋葉先生 そうですね。論理パズル的な問題と思う子もいたと思いますね。

ちなみにこの問題は、生徒が時間をかけて解くようなイメージで作成された問題だったのでしょうか?

秋葉先生 問題的に見てぱっとわかる問題ではないと思うのですが、選択肢の条件をきちんと読んで、消去法で削っていけば解ける問題だとは思います。この手の問題は普通のオーソドックスな算数の入試で出るようなものと違って、個人差がある問題なので時間は読みづらいです。

間違った生徒は、この選択肢を何度も読んだかもしれませんね。2つ目や3つ目の条件は1回読めば頭に入ると思うものの、1つ目の条件はなかなか頭に入ってこなかったかもしれないですね。

市川中学校 校舎

市川中学校 校舎

インタビュー1/3

市川中学校
市川中学校1937(昭和12)年、市川中学校として開校。47年、学制改革により新制市川中学校となる。翌年には市川高等学校を設置。2003(平成15)年には中学で女子の募集を開始し、共学校として新たにスタート。同時に新校舎も完成させた。女子の1期生が高校へ進学する06年には高校でも女子の募集を開始。昨年4月には校舎の隣に新グラウンドが完成。2017年には創立80周年を迎えます。
創立以来、本来、人間とはかけがえのないものだという価値観「独自無双の人間観」、一人ひとりの個性を発掘し、それを存分に伸ばす「よく見れば精神」、親・学校以外に自分自身による教育を重視する「第三教育」を3本柱とする教育方針のもとで、真の学力・教養力・人間力・サイエンス力・グローバル力の向上に努めている。
効率よく、密度の濃い独自のカリキュラムで、先取り学習を行っていく。朝の10分間読書や朝7時から開館し、12万蔵書がある第三教育センター(図書館)の利用などの取り組みが連携し、総合して高い学力が身につくよう指導している。中学の総合学習はネイティブ教師の英会話授業。2009年度より、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校となる。授業は6日制で、中1、中2の英語7時間、中3数学7時間など主要科目の時間数を増やす。ほかに夏期講習もあり、中1・中2は英・数・国総合型講習を実施。高校では、高2で理文分けし、高3ではさらに細かく選択科目等でコースに分かれて学ぶ。授業の特徴としては、インプット型の学習で基礎力を育成するともに、SSHの取り組みとして、研究発表、英語プレゼンなどを行う「市川サイエンス」、対話型のセミナーである「市川アカデメイア」、文系選択ゼミの「リベラルアーツゼミ」といった発表重視のアウトプット型の授業展開を実施している。自らの考えを相手に伝える表現力を、論理的に考え、それを伝わりやすい文章で表現するスキルとしてアカデミック・ライティングといい、「読めて、書ける」を目指し「課題を設定する力」、「情報を正確に受け取る力」、「それを解釈・分析する力」、「自分の考えをまとめ・伝える力」を育てる。
高1の各クラスごとに3泊するクラス入寮は創立当時から続く伝統行事。クラブは中高合同で活動する。行事は体育祭、文化祭のほか、自然観察会、合唱祭、ボキャブラリーコンテストなどもある。夏休みには中1、中2で夏期学校も実施。中3でシンガポールへの修学旅行を実施。また、希望者を対象にカナダ海外研修(中3)、イギリス海外研修(ケンブリッジ大学、オックスフォード大学中3・高1)、ニュージーランド海外研修(中3・高1)、アメリカ海外研修(ボストン・ダートマス高1・高2)が実施されている。生徒のふれあいを大切にしているが、カウンセラー制度も設けて生徒を支えている。