シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

横浜女学院中学校

2019年02月掲載

横浜女学院中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.日本語も話す、聞く、書く、読むという4技能を磨こう。

インタビュー3/3

文法の授業を独立

吉田先生 今年の1年生から国語の中の1つの科目として「言語」という授業が入ります。中1、中2は国語が4時間 、言語が1時間になります。中3は6時間あるので、国語が2時間、文法が2時間、古文が2時間になります。

言語の授業ではどのようなことを扱うのですか。

吉田先生 基本的には文法です。

なぜ口語文法を学ぶ必要があるのか、と聞かれたことがあるのですが、先生方はどのようにお考えですか。

吉田先生 日本語を適切に表現し、理解するには文法の知識が必要だと思います。助詞が適切ではないとか、助詞が曖昧だとか。言葉の順序が分かりにくいとか。そういう分析をするために文法を学習する必要があると考えています。

広報部長/佐々木 準 先生

広報部長/佐々木 準 先生

本を読む習慣をつけよう

吉田先生 国語科では基本的に日本語を正しく運用できる力を養うことと、日本語を母国語としている人たちがそれにより培ってきた知性や感性を高めていくべきだと考えています。その知性や感性は社会の中でも求められているもので、有効なものだと思います。

そうしたお考えを踏まえて、小学生にどんな勉強をしてきてほしいですか。

吉田先生 先ほどお話した漢字の学習に加え、本を読む習慣を身につけてきて欲しいです。本を読む習慣は10代前半で決まってしまうので、どんなジャンルの本でも構いません。本を読むことを億劫がることをなくしてきて欲しいと思います

読書好きな生徒さんが多いですか。

吉田先生 すごく読む子と読まない子がいます。二極化しています。「読書1万ページ」という名目で読書記録をつけさせていて、年に3回提出させていますが、1万ページを難なく突破してしまう子とほとんど増えない子がいます。

横浜女学院中学校 図書室

横浜女学院中学校 図書室

1クラス3、4名は1万ページを軽く超えていく

1万ページだと、週に1冊ペースでしょうか。

吉田先生 そうですね。本のジャンルは問いません。「風の谷のナウシカ」「あさきゆめみし」など、漫画でも図書室にあるものはカウントします。

どんな本が人気ですか。

吉田先生 今、流行っている小説ですね。例えば少し前だと、住野よるさんの「君の膵臓を食べたい」とか。文豪の漫画、ストレイドッグスをきっかけに、急に純文学を読み始める子もいます。

目標を突破する生徒さんはどのくらいますか

吉田先生 1クラス30人で3、4名です。その3、4名は1万ページを軽く超えていきます。本を読む力のある子は発想力があると思います。また、そういう子は小学校の時からたくさん本を読んでいます。「読書1万ページ」という課題を出しているので、中学に入ってきてから本を読み始める子もいますが、習慣づいてくれるといいなと思います。

本をめくれば知識を得られる、それが本の魅力

吉田先生はいつから読書好きになったのですか。

吉田先生 私は虫が大好きだったので、物心がついた頃から図鑑などを見ていました。幼稚園の頃から、本をめくれば身近にないものも知ることができるということをわかっていました。そのうち釣りが好きになると、釣りの本をずっと読んでいました。本のおもしろさや、本は頼りになるものということがわかれば自然と読むようになります。文学作品を読むようになったのはだいぶ後ですが、私のように興味関心のあるものから入ってもいいと思います。

佐々木先生 読書をしない子がスマホで文章を読むかと言うとそうではないと思います。

吉田先生 わからないことがある時に、本を手に取ってほしいので、そういう機会は学校の中でもできるだけ作るようにしています。

横浜女学院中学校 賞状・トロフィー

横浜女学院中学校 賞状・トロフィー

適切に話すことも心がけて欲しい

吉田先生 読書の他に、表現の練習も小学校時代にしてきて欲しいことの1つです。適切に話すことがとても大事だからです。友達や家族と話す時は単語だけでしゃべっても通じると思うのですが、意見や立場が異なる人とコミュニケーションをとるためには高い言語力が必要となります。

恥ずかしい話ですが、学年が上がっても敬語でしゃべることのできない子がいます。口語で敬語が使えなければ、古典の敬語がわかるはずありません。以前、授業を担当していない子に「古典がわからないけどどうしたらいい」と聞かれたので、「まずは私に敬語を使いなさい」と言ったことがあります。人により言葉を使い分けることが大切だと思うので、日々の生活の中で意識して欲しいです。

インタビュー3/3

横浜女学院中学校
横浜女学院中学校日本プロテスタント発祥の地、横浜山手の丘でキリスト教の教えを柱に校訓「愛と誠」の女子教育による人間教育を実践している。変化の激しい社会に対応ができる力を身につけるために「神様と人に愛されている存在として、自己受容力を高め、多角的かつグローバルな視野をもち、社会貢献を果たすことができる生徒の育成を目指し、「自らを知る」「隣人を知る」「世の中を知る」「自ら行動する」「隣人を愛する」「世の中に働きかける」の6領域とこれらを具体的に実践するための12コンピテンシーを設定し、すべての教育活動を実践している。
コンピテンシーとコンテンツを効果的に結び付けて学力を高めるために2022年度より1時間の授業を65分授業としている。月曜日から金曜日までは5時間、土曜日は3時間(国際教養クラスは4時間)の週6日制を実施。国際教養クラスでは、実際のグローバルトピックにアプローチするCLIL(内容言語統合型学習)を中学3年生より実践し、さまざまなテーマについて教科を横断して学び、「英語で」考える力を身につけている。また、第二学国語(中国・ドイツ・スペイン)も必修とし、言語を通じて文化に触れ、世界への視野を広げるチャンスとなっている。
学校行事や部活動においては、生徒が自ら進んでチャレンジしていく時間となっている。部活動は希望制だが多くの生徒が入部をしている。全国大会で上位入賞するチアリーディング部を始め、ダンス部やバドミントン部、吹奏楽部や書道部などが人気を集めている。学校行事では、体育祭、コーラスコンクール、なでしこ祭(文化祭)は、生徒運営委員を中心に自分の役割に取り組む経験、その責任を果たしていこうとする経験、仲間との大切な時間を過ごす経験など多くの学びを体験できる機会となっている。