シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

日本女子大学附属中学校

2019年01月掲載

日本女子大学附属中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.話をする機会が豊富。だからコミュニケーションに必要な聞く力も育まれる。

インタビュー3/3

課題を発見することも大事にしている

國澤先生 課題を与えるだけでなく、課題を発見することも大事にしています。

峯岸先生 2年生は2学期の終わりに来年度の生徒会の候補者を選出します。クラスから代表者を選ぶのですが、その時も「誰がいい?」と聞くのではなく、そこに行き着くまでの過程を大事にしています。

峯岸先生 毎年10時間くらい話し合いをします。

國澤先生 3年生になるとはどういうことなんだろう、うちの学年に足りないものはなんだろう、クラスに足りないものはなんだろう…。そういうことを選挙管理委員が中心となって話し合います。1人1回は発言するよう求めるので、そういう場も自分の考えを話す訓練になっていると思います。書くことも話すことも、訓練しているから自信がついていくのだと思います。

日本女子大学附属中学校 校内

日本女子大学附属中学校 校内

話す機会は聞く機会にもなる

峯岸先生 先日は2学期の反省をしました。中1は「何を話そう」という感じですが、中3になると慣れたもので、「私の2学期はこんな感じでした」と、40人を前に堂々と話しています。

國澤先生 中3は国語のスピーチで自分が今、話したいことをフリーテーマで話します。量が多く、内容も深いです。時には「そんなことをみんなの前で話していいの?」というくらい心の内を話す子もいます。それは長い時間をかけて培った信頼関係があるからできること。自分の話をきちんと受け止めてくれるという関係性がなければ話せません。その後、スピーチの原稿は掲示され、読み返したり他のクラスの生徒が見ることもできます。

峯岸先生 言いっぱなしではなく、ランダムに2人くらい当てて感想を聞くので聞く姿勢も育まれます。

國澤先生 コミュニケーションは相手の話を聞くことから始まるので、話す、聞く、という2つの力が一緒に身につくことは意味のあることだと思います。

やる気や好奇心など、内から湧き出るものが大切

峯岸先生 本校の生徒は自己表現に長けていると思います。美術でも音楽でも自分をどう表現するかということに、いろいろな角度から回数を重ねて取り組んでいくからです。自分の内面をさらけ出すということでは国語のスピーチが顕著です。毎年、何回か涙ながらに聞けるスピーチに出会えます。共学ではできないと思います。

中学生は、自分の内面に入り込むことが辛い時期もありますが、それを乗り越えて自分を語る、表現する訓練は大学受験にも役立ちます。AO入試などで志望理由を明確に語れるのは、中学時代に育んだ力が少なからずいい影響を与えていると思います。外から与えられたものではなく、やる気や好奇心など、内から湧き出るものが最大のエネルギー源。それは本学園が一番大事にしているものだと思います。

日本女子大学附属中学校 もみじ劇場

日本女子大学附属中学校 もみじ劇場

一貫生の約3分の1が他大学に進学

毎年、どのくらいの生徒さんが日本女子大学へ進学しますか。

峯岸先生 日本女子大に進む生徒が75%、他大学に進む生徒が25%です。書くこと、話すことが得意な生徒たちなので、推薦入試を活用して他大学へ進学する生徒が増えています。

國澤先生 25%は高校を卒業する生徒数の割合です。高校から入ってくる生徒のほとんどは日本女子大学へ進学するイメージをもって入ってくるので、25%の多くは中学からの生徒です。人数でいうと約80名。中学校の1学年の生徒数は約250名ですから、(一貫生の)約3分の1が自分で進路を選択していく中で他大学を選択しています。また、80名の半分あまりが推薦入試を使って他大学に進学しています。言い換えれば、学校生活の営みを活用して他大学に進学しています。

他大学に進学する生徒さんは増えていますか。

國澤先生 増えていますね。10年前はおそらく80%だったと思います。大学生を呼んで話をしてもらう機会がありますが、半分は他大学に進学した生徒です。日本女子大学に進学した生徒とペアで話をしてもらっています。

推薦権を保持したまま他大学を受験できますか。

峯岸先生 医学部や法学部など、日本女子大学にはない学部学科を受験する場合にはそれが可能です。

インタビュー3/3

日本女子大学附属中学校
日本女子大学附属中学校1901(明治34)年、成瀬仁蔵によって創設された日本女子大学校の附属高等女学校を前身とする。48(昭和23)年、新制・日本女子大学の設置とともに附属中学校となった。78年に目白校地から、附属高校がすでにあった川崎市生田の現在地に移転。2001(平成13)年に創立100周年を迎えた。
多摩丘陵の自然を生かした緑豊かなキャンパスは、人との交流を期待して、各教室棟を結ぶモール(廊下)などやゆとりの空間を多くとったユニークな設計。カフェテリアや、中庭のもみじ劇場は、昼休みの憩いの場になっている。1800名収容の大ホール、温水プール、コンピュータ演習室などを備えた西生田成瀬講堂もある。
創立以来、建学の精神を「信念徹底・自発創生・共同奉仕」の三綱領に示し、生徒の個性を尊重し、創造性を豊かにし、高い徳性を養うことを目指している。「自ら考え、学び、行動する姿勢を育てる」ことを重視しているだけあって、生徒たちは学習に積極的に取り組み、問題解決能力を身につけていく。一人ひとりが主役となり、全員で学校生活を作り上げているため、校風も伸びやかで明るい。
自分自身の学習方法を発見して生涯学んでいく姿勢を育て、心身の健康をはかり、創意と思考力をもった情操豊かな中学生を育成することを目指す。併設大学への進学が中心となるためカリキュラムはハードではないが、英・数・国・理の一部では1クラス2分割授業を取り入れている。英語では実際に使える語学力、理科では実験・観察を重視。読む・書くを中心とした国語教育には定評がある。音楽・美術・体育・家庭科でも複数教員による授業を導入し、バイオリンが必修となっている。英・数・国の補習が朝・昼・放課後に行われている。併設大にない学部受験者には、併設大との併願が可能。
学級活動やクラブにおいて、生徒の自発的な活動を奨励しているため、文化祭や運動会などほとんどの行事は中学生だけで企画・運営されている。中1の三泉寮(軽井沢)、中2の校外授業(東北)など、宿泊をともなう行事をとおして自然に親しみ、静かに自己を見つめ、規律ある団体生活の真意を学ぶ。中3では希望者制で裁判傍聴などもある。そのほか、スキー、スケート教室や古典芸能、音楽鑑賞会なども行われている。クラブは文化系16・運動系10あり、なかでもコーラス部は東日本大会入賞の実績がある。天文部は校舎に備えられた天文台を活用している。制服は紺のセーラー服だが、高校からは私服。