シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

駒場東邦中学校

2019年01月掲載

駒場東邦中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.難問にも立ち向かえる素地を養って中学受験に挑もう

インタビュー3/3

なぜ?どうやって確かめよう?の姿勢を大事に

こういう難しい問題が出るとわかっていても、まだ受験まで年数がある低学年・中学年に教えるのは難しいと思います。保護者としては常日頃からどういうことに目を向けていくように導いていけばよいのでしょうか?

先生 普段から問題や現象について、「どうしてなのか?」「これを一般化できないか?」「予測を立てて検証できないか?」といった数学的な姿勢を持ってもらえるとよいかなと思いますね。物事の本質に着目できるような姿勢を持ってもらえたらよいかと思います。

親として受験する子どもに寄り添いたい気持ちはあれども、高学年になるほど問題の難易度が上がって難しい部分もあります。どのような姿勢でいればよいのでしょうか?

先生 保護者は難しい問題を必ずしも解ける必要はないと思っています。それよりも「今日はどういうことがどういう風にわかったの?教えて!」と子どもに聞いて説明してもらうというやりとりの中で寄り添ってもらえればよいのではと思います。もちろん主役はお子さんなので、できたことを褒めてあげるというスタンスがよいですね。

駒場東邦中学校 校舎内

駒場東邦中学校 校舎内

何かとの抱き合わせで楽しく自然に伸びる力を

文章題に強くなるために「文章力」を強化しようと考えると、どうしても「読書」が勧められるイメージがあります。

先生 まずは文字を見慣れることが大事だと思います。長文を読むことに抵抗感がないようにしてあげるとよいでしょう。その際算数や国語など教科にとらわれず、新聞やニュースの活字・映像の文字に慣れることができれば、読める文章の量も増えてくるはずです。

日常生活の中でできることはあると思いますので、新たに何か取り組みを始めるより、普段何気なくしていることを丁寧にしていくほうが子どもにとっても取り組みやすいでしょう。たとえば料理をするにしても、レシピを見るなど長文でなくても活字に触れる機会はたくさんあります。何かと抱き合わせたほうがよいかもしれませんね。

インタビュー3/3

駒場東邦中学校
駒場東邦中学校1957(昭和32)年4月、東邦大学の理事長であった額田豊博士が、当時の名門・都立日比谷高校校長の菊地龍道先生を招き、公立校ではできなかった夢を実現させるため、現在地に中・高を開校。71年に高校募集を停止し、完全中高一貫教育の体制が確立した。2017(平成29)年に創立60周年を迎えた。
神奈川、東京のどちらからも通学至便で、東大教養学部にも程近い都内有数の文教地区に位置。300名収容の講堂、6万9千冊の蔵書を誇る図書室、9室の理科実験室、室内温水プール、トレーニング室、柔道場、剣道場、CALL教室など申し分ない環境が整っている。職員室前のロビーには生徒が気軽に質問や相談をできるよう、机やイスを設置している。
先生、生徒、父母の三者相互の理解と信頼に基づく教育を軸に、知・徳・体の調和のとれた、科学的精神と自主独立の精神をもった時代のリーダーを育てることを目指す。年間を通じて行事も多く、とくにスポーツ行事などでは、先輩が後輩の面倒をよく見る「駒東気質」を培う。中1では柔道・剣道の両方を、中2・中3はどちらかを履修することになっている。
2004年から中学校では1クラス40名、6クラス編成に。「自ら考え、自ら行動する」習慣を身につけながら、各教科でバランスのとれた能力を身につけることが目標。英・数・理では特に少人数教育による理解の徹底と実習の充実をはかっている。中1・中2の英語と理科実験は分割授業。数学は中2(TT)・中3(習熟度別分割)・高1と高2(均等分割)の少人数制授業を行う。英語は、深い読解力をつけるために中3~高3までサイドリーダーの時間を導入。さらに高3ではネイティブ指導のもと自分の考えを英語で表現するコンプリヘンシブ・クラスなど独特の指導も展開している。文系・理系に分かれるのは高3になってから。中学生は指名制、高校生は希望制の夏期講習を実施する。
濃紺の前ホック型詰襟は、いまや駒東のトレードマーク。伝統的に先輩・後輩の仲がよく、5月中旬の体育祭では全校生徒が4色の組に分かれ、各色、高3生の指導の下、一丸となって競い合う。9月の文化祭は、多くの参加団体と高校生約200名で構成される文化祭実行委員会によって、一年かけて準備される。中学では林間学校、鎌倉見学、奈良、京都研究旅と探究活動が充実しており、高校の修学旅行は生徒によって毎年行き先が決められる。クラブは文化部16、体育部16、同好会15があり、兼部している生徒も多い。中学サッカー部・軟式野球部・アーチェリー部・囲碁部・陸上部・化学部・模擬国連同好会などは関東大会や全国大会に出場。アメリカ・台湾への短期交換留学制度もある。