シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

大妻中学校

2018年12月掲載

大妻中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.自分の進路と向き合った時に理系を選ぶ生徒が多い

インタビュー3/3

昨年度は4割の生徒が理系を志望

理系を志望する生徒さんの割合はどのくらいですか。

長谷先生 高3で4割です。昨年度の卒業生は80名が高度専門職(白衣を着る医学・歯学・薬学・獣医学・看護の分野)に合格しています。理数を好きだということもあるのでしょうが、将来のことを考えていく中で、理系を選択する生徒が増えていきます。

鶴田先生 特に薬学・看護を志望する生徒が多いですね。

長谷先生 中3時に自分の志望する学部学科を調べて、発表しています。道徳の授業は本来「人はどう生きるか」をテーマに学びますが、「人」を「私」に変えると進路指導になります。中3の段階で自分の進路について少し考えた上で、高1のオリエンテーションに臨みます。そこで自分の夢を人に語るので、中3、高1あたりから自分の進路を意識して勉強に励む生徒が増えてきます。

入試広報部主任/長谷 良一先生

入試広報部主任/長谷 良一先生

高校でも実験は比較的やっている

鶴田先生 高校生になると勉強への姿勢がだいぶ変わりますね。意識的なものが高まるにつれ、顔色が変わっていきます。

そこから、現役合格に結びつくさらなる工夫はありますか。

鶴田先生 高校では受験に向けた演習に力を入れています。量をこなしたり、質を高めたり、ということですね。講義の割合も比較的多くなります。実験は中学と比べると数は減りますが、それでもやっているほうだと思います。

理系で活躍する卒業生はいますか。

鶴田先生 特段、際立って目立った人物というのは存じませんが、それぞれの分野で社会的に活躍・貢献しています。

自然に恵まれた環境に育ち理科が好きになった

鶴田先生はいつ頃から理科に興味をもったのですか。

鶴田先生 私は田舎暮らしだったので、目の前に自然がたくさんありました。農作業をするなど、自然に触れる機会もたくさんあったので、子どもの頃から自然が好きでした。NHKでやっているようなドキュメンタリー番組などの特集もよく見ていました。教員になったのは、集団から少し外れた子に寄り添いサポートしたいと思ったのが根底です。

小学生に向けて一言、アドバイスをお願いします。

鶴見先生 受験生は勉強が大変だと思いますが、たまには外に出て空を眺めてほしい。自分というものがよく見えてくると思います。受験できる環境にある事を感謝し、1日1日を大切に過ごしてほしいと思います。

大妻中学校/廊下

大妻中学校/廊下

過去問で理科の狙いと傾向をつかんでほしい

長谷先生 今年の理科の入試問題を見て、私は外来生物の問題がおもしろいなと思いました。外来生物が入って来た時にどのような食物連鎖に影響するかを書かせる問題でした。外来種が入って来て在来種がやられている、ということをトピックとして知っているだけでは答えられない問題です。外来種が入って来て在来種がやられるとどうなるのか。そこまで考えてほしいというメッセージが込められた問題でした。

理科はただ知識を学ぶだけではなく、その先を考えられる生徒に入学してほしいのだと思いました。過去問を解くと、本校の理科が求めているものを理解していただけると思います。ぜひ確認して入試にチャレンジしていただきたいと思います。

インタビュー3/3

大妻中学校
大妻中学校1908年に大妻コタカが創立した家塾が前身。校訓『恥を知れ』は、自分自身を戒める言葉。自律と自立を大事に、「リーダーシップを持って活躍できる品性を兼ね備えた教養ある女性」の育成に取り組む。創立からの理念と共に、時代の要請に応える教育を大切にしている。
6年間を中学1年、2年の「基礎力養成期」、中学3年、高校1年の「充実期」、高校2年、3年の「発展期」の3つに分け、学習内容を効率的に編成して、生徒の幅広い進路に対応する。
「基礎力養成期」では、安心できる環境の中で、自己肯定感を持ち、目標に向かって頑張ることのできる集団へと育てることを目指す。「充実期」では、「働くこと」「学ぶこと」の意味を考え、高校進学に向けて意識を高めていく。自分らしい生き方とは何かなど、将来の職業や社会への貢献などについて考える。「発展期」では、自分の将来像をより明確化し、具体的な進路を探っていく。「問題解決能力」「自己表現力」「発信力」を強化して、具体的な進路の決定と目標達成へ向かっていく。内部進学率は2~3%で、卒業生の大半が他大学へ進学する進学校として定着している。
また、クラブ活動や行事も盛んに行われていて、書道、マンドリン、バトントワリングなど、全国大会で活躍する部もある。袴姿にはちまきの応援団も登場する体育祭、中学生による研究発表、各部による発表、舞台演技など、全校で盛り上がる文化祭、イギリス、アメリカ、オーストラリアへの海外研修や、情操教育の一環としての芸術鑑賞など多くの行事がある。
教員と生徒との距離が近く、職員室前のラウンジは吹き抜けになっており、話しやすい環境がある。また、担任と生徒との1対1の面接週間というのもある。