シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

東京女学館中学校

2018年11月掲載

東京女学館中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.学校生活の中で平和を自然に考えられる

インタビュー3/3

中3の沖縄修学旅行は平和学習の集大成

修学旅行は沖縄へ行かれていますね。

坂田先生 中3の沖縄修学旅行は平和学習の集大成です。沖縄県平和祈念資料館や、沖縄戦で人々が避難生活したガマ、ひめゆり平和祈念資料館を見学。嘉手納基地は道の駅の屋上から様子を見ました。戦闘機のすさまじい轟音を聞き、沖縄の方々の基地に対する心情に少しばかりでも寄り添えたのではないかと思います。また、沖縄の自然や文化も体験します。

上田先生 事前学習では映画『月桃の花』『ひめゆり』などを鑑賞して沖縄戦と沖縄の人々に思いをはせます。事後には記念祭(文化祭)の平和展で調べたこと、経験したことを発表します。

坂田先生 社会科の授業では修学旅行に備え、日本国憲法の平和主義や沖縄の基地問題を学習します。この時期は各教科が沖縄を教材にして平和について考えます。美術の時間には平和記念セレモニーに献納する折鶴レリーフを制作しますし。国際学級では、7歳の少女の戦場体験を記録した『白旗の少女』の英文版を読みます。

東京女学館中学校/地理ポスター

東京女学館中学校/地理ポスター

授業の枠を超えた多様な「学習講座」を用意

坂田先生 最近は模擬国連にも取り組んでいます。本校は2015年から模擬国連に参加し、2017年度に委員会組織として生徒の希望で立ち上げられました。
交渉に必要な英語力は英語科が、現代社会に関する幅広い知識やテーマのリサーチは社会科がフォローしています。一般学級は希望者が参加し、高2の国際学級ではミニ模擬国連を実施します。

教科横断的な取り組みはされていますか。

鈴木先生 授業に取り入れるのはまだハードルが高いので、授業外で取り組んでいます。希望者対象の「学習講座」では、2017年度から理科教員とネイティブの英語教員による「Science English」を実施しています。高校の新学習指導要領では「総合的な探究の時間」が設けられるので、今後は教科横断的な取り組みが増えてくると思います。

上田先生 本校の周辺には山種美術館などいろいろな美術館があります。博物館・美術館を見学する学習講座は学芸員の資格を持つ社会科教員が開講しています。
年2回、社会科教員主催の「歴史散歩の会」はなかなか人気です。今夏は江戸と東京の火災・震災・戦災をテーマに、両国周辺の資料館や跡地を訪れ、小中高の生徒や保護者37名が参加しました。

坂田先生 生徒たちより保護者の方が楽しそうにしています(笑い)。

広報室長/鈴木 龍馬先生

広報室長/鈴木 龍馬先生

有志が主体的に活動する「アンネのバラ委員会」

上田先生 本校らしい活動に「アンネのバラ委員会」があります。
「アンネのバラ」は、『アンネの日記』の作者アンネ・フランクをしのび、ベルギーで生まれたバラです。1972年に日本に贈られ、1999年に本校に届けられたのを機に委員会が発足、中1から高3の有志が活動しています。水やりなどバラの世話をするだけでなく平和についても学習し、平和への思いを深めています。

2004年から毎年開いている「接ぎ木の会」は、生徒・保護者の参加希望者が定員を上回り、抽選になることもあります。今年5月には、チェコのユダヤ人の子どもたちを強制収容所連行から救出する作戦「キンダートランスポート」で命を救われたミレナさんを囲む会を開きました。

バラの世話をしたり愛でたり、学校生活の中に平和学習がとけ込んでいるのがいいですね。

自ら行動を起こして社会に貢献できる女性に

アンネのバラ委員会のように、生徒さんが一歩踏み出すきっかけになるような機会をいろいろ提供されていますね。

坂田先生 生徒にはいろいろな体験をしてほしいと思っています。中3の社会貢献活動は知識をインプットするだけでなくアウトプットの行動につなげることを目標にしていますから、主体的に行動できるようになるといいですね。中高6年間で総合的に判断する力、多面的にとらえる力を身につけて自分の頭で考えられるようになってほしいと思います。

上田先生 本校の生徒は元気がよく活動的です。「こんな活動があるよ」と教えると、「おもしろそう」と参加してくれます。普段おとなしそうな生徒がいろいろな活動に参加し、積極的になっていく姿をずいぶん目にしてきました。生徒の成長が頼もしく、また楽しみに見守っています。

東京女学館中学校/展示物

東京女学館中学校/展示物

インタビュー3/3

東京女学館中学校・高等学校
東京女学館中学校・高等学校伊藤博文が創立委員長として発足した「女子教育奨励会」が母体となり、1888(明治21)年に設立。建学の精神は「諸外国の人々と対等に交際できる国際性を備えた、知性豊かな気品ある女性の育成」です。インクルーシブ・リーダーシップ(共生し協働する力)を養うために、生徒会、クラブ、さまざまな行事を生徒による実行委員会方式で実施。
「国際学級」は英語に特化したカリキュラムで、実践的な英語力を養成。一般学級でも英語習得を中心とした国際教育を重視。英語や英会話はクラスを2分割します。アメリカ文化研修は、働く女性の職場から家庭まで密着するというユニークな文化交流。さらに、日本の文化にも力を入れ、茶道・華道体験、歌舞伎や能楽の鑑賞、京都・奈良への修学旅行(高2)などを実施。中3の修学旅行は沖縄で、平和や環境問題を学びます。
白のセーラー服に青いリボンの制服は1930(昭和5)年に制定され、「品性を高め、真剣に学ぶ」精神を象徴。中1では60歳以上の卒業生へのインタビューも交えたスクールアイデンティティ学習を実施。体育大会では、17世紀のフランス宮廷ダンス「カドリール」を高3が制服で踊るのが伝統。クラブではオーケストラ、ダンスが人気。茶道部は表千家・裏千家があります。食堂の手作りパン、ソフトクリームは大人気。