シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

共栄学園中学校

2018年10月掲載

共栄学園中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.実験は失敗の理由と改善点を考察する

インタビュー3/3

動画をうまく活用して生徒の興味を引きつける

新免先生 本校は都心の商店街にあり、植物観察などが思うようにできません。観察用の草花は各自持ってきてもらうこともあります。維管束のつくりなど、全員で共通のものを観察したいときは、教室で育てているコスモスやインパチェンス(アフリカホウセンカ)を使います。
鉱物や鉱石などの観察はできるだけ実物を使うようにしています。精密なリアルさを求めるときは、電子黒板を活用して動画を見せています。動画はインパクトがありますし、生徒の興味を引くのにうってつけです。中には昆虫が苦手な生徒もいるので、動画ではなく特徴がわかりやすいイラストを用いるなど、臨機応変に使い分けています。

共栄学園中学校/理科室

共栄学園中学校/理科室

電子黒板の利用で生徒の発言量が圧倒的に増えた

松宮先生 電子黒板を導入してから生徒の発言が目に見えて増えました。教員が板書する手間が省けたことで生徒に向き合う余裕ができて、生徒への投げかけが増えたことが大きいと思います。授業の進度も早くなり授業の効率も上がっています。
新免先生 電子黒板を使うとテンポよく授業を進められて、生徒の関心をこちらに向けさせることができます。
教員と生徒たちとやり取りは「みんなで意見を出し合う」ための時間ですから、発言は自由です。このとき発言しやすい雰囲気にすると、グループワークのときも生徒がよく発言するようになります。

共栄学園中学校/電子黒板

共栄学園中学校/電子黒板

失敗から原因と改善点を見つけたら「成功」と言える

理科として「書く」ことについてどのように取り組んでいますか。

新免先生 実験のレポートは、結果から何が考えられるか、考察をきちんと書くようにしています。うまくいかなかったときは、考察にその原因と改善策を書きます。生徒は実験の結果が教科書通りにならないと「失敗」ととらえますが、それも結果の一つとして受け止めるように言います。
失敗したとき、なぜ失敗したか疑問を持つことが大事です。改善点を考えることができれば、その実験は「成功」したというスタンスで教えています。何か得るものがあれば成功だと思って私は教えています。

理科は分野の枠を越え「サイエンス」としてとらえる

新免先生 高校ではまとめる力として、「関連づける力」を鍛えるようにしています。一つのことで完結するのではなく、いろいろなことが関わっていることを意識させています。
理科は4分野に分かれているため分野の好き・嫌いがありますが、知識を関連づけて身につけるようにしています。分野ごとではなく「サイエンス」としてとらえてほしいのですが、これは教える側としての課題でもあります。

本校の理系クラスは化学が必修で、物理か生物を選択しますが、最近は物理を選ぶ生徒が女子も多くなっています。計算で解くアプローチに納得感があるようで、総じて数学が得意な傾向があります。
中高6年間で、いろいろな角度から物事を見られる広い視野を養いたいと思っています。目標に向かうプロセスはそれぞれ違っていいので、目標にたどり着くまでに考えることをあきらめないでほしいと思います。

共栄学園中学校/テニスコート

共栄学園中学校/テニスコート

SDGsの活動はラムサール条約登録地で校外学習

SDGsについてはどんな取り組みをされているのですか。

松宮先生 SDGsには17の達成目標があり、その1つに「陸の豊かさを守ろう」という目標があります。この目標を達成するには湿地保全が大きな役割を果たします。そこで中学では、ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)に登録されているところで校外学習を行っています。中1は尾瀬、中2は谷津干潟(千葉県習志野市)、中3は釧路湿原へ赴きます。自然にふれあい、楽しみながら、環境保全として生徒一人ひとりが「地球のために、自分で何ができるか」一歩を踏み出すきっかけになっています。

「行っただけ」にならないように、事前・事後の学習もしっかり行います。例えば中2の事後学習では、ラムサール条約の視点から谷津干潟を都市型干潟としてどのように保全していけばいいかレポートをまとめます。このように、中学生にはいろいろな機会を設けて刺激を与えたいと思っています。
SDGsは世界的な潮流になっています。これからを生きる生徒たちには、SDGsの活動を通して、自分や自国のことだけでなく、世界や地球のことに思いをめぐらせる広い視野を育みたいと思っています。

インタビュー3/3

共栄学園中学校
共栄学園中学校和裁塾を前身とし、1938年本田裁縫女子学校設立。1942年共栄女子商業学校、1946年共栄高等女学校を経て、1947年に共栄学園中学、翌年高校が開校した。2001年に中学、2003年に高校が共学校となった。「礼儀・自立・社会貢献」を教育目標としている。
知・徳・体が調和した全人的な人間育成を目指し、協調性や社会性に富んだ創造性豊かな生徒を育てることを目標としている。また、創立者が至誠(至高の誠実さ)を一生涯貫く人物であったことから、現代社会においても最も大切なことであると考え、「至誠一貫」をモットーにしている。
6カ年を短いスパンで区切り、成長の跡が具体的に把握できるよう、身体的、精神的、学力的にそれぞれ達成すべき目標を設定して指導していく一貫教育。[前期課程][中期課程][後期課程]と分けた指導体制で、発達段階に応じた適切な指導が行われる。
「特進クラス」と「進学クラス」の2コースで1年生をスタートする。中学3年時までは、授業進度をそろえながら、「特進クラス」では発展的な問題の研究を積極的に取り入れ、「進学クラス」では基礎学力の完全定着に主眼をおいて授業を進める。また、中学1年時より「長期休暇中の特訓講習」などが行われ、高校課程進級時には、「選抜クラス」も設置し、より高い目標を目指す。
外国人講師と過ごす2泊3日の国内留学K-SEPの他、希望制で実施している中学2年生から参加可能なカナダ海外研修、米国ニューヨークの公立中学校との交換留学、海外在住の外国人講師とマンツーマンで会話を楽しむオンライン英会話など、実践的で楽しみながら学べる英語教育に力を入れている。
体育祭・文化祭・合唱祭が三大行事。中3北海道郊外学習では、搾乳体験なども行う。中高のバトン、バレーボール、少林寺拳法部などは全国大会レベルだ。特に高校バトン部は世界大会優勝の実績もある。