シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

晃華学園中学校

2018年09月掲載

晃華学園中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.基礎も聞きつつその場で考える問題も出題

インタビュー2/3

調布とロンドンの景観写真を比較、「生活に不可欠なもの」とは?

貴校の入試問題は、例年、資料や写真が盛りだくさんな印象があります。都市環境の問題では、学校がある調布市とロンドンの写真を比較しています。

田所先生 与えられた情報をもとにその場で考える問題となっています。「無電線化」について問いたいと考え、「想定される答え」を前提に作問しました。

まず、両写真の違いについて気づくことが大切です。設問文には「私たちの生活にとって不可欠なものが調布の路上にはあり、ロンドンにはない」というヒントも出しています。次に、それが路上にないことでどんな利点があるのかを考えてもらいました。日常生活と結びつけて考えてもらいたい問題であります。

答案を見てみると、電線(電柱)の有無に気づかない受験生もいました。また、マンホールの有無を指摘した受験生もいましたが、これは設問文の「生活にとって不可欠なもの」という条件には当てはまらないと考えられます。「電線」に気づくようにという点から、設問文に「生活にとって不可欠なもの」という文章を入れていますので、設問文をきちんと読んで、条件を踏まえて考える力を求めてもおります。

社会科主任/田所 順一先生

社会科主任/田所 順一先生

入試問題は作問者との“コミュニケーション”

長岡先生 入試問題は作問者と受験生の“コミュニケーション”です。生徒にも強調していることですが、何が求められているのか、作問者の意図をくみ取って答えることを意識しましょう。文章記述問題は、知っていること、気づいたことを一方的に書けばいいわけではありません。作問者の意図を推測する力は、コミュニケーション力の向上にもつながるのではないかと思います。

富井先生 どの教科でも「書く力」を試す問題を出しています。本校は入学してから書く機会がとても多く、一つひとつの事柄を振り返り、思ったこと、感じたことの文章化を日常的に行っています。入試で「説明しきる」「表現しきる」ことを求めているのも、その表れと言えると思います。

晃華学園中学校 校舎

晃華学園中学校 校舎

指定はなくとも用語は漢字で書くのが基本

この問題のようにその場で考える問題を出す一方で、基礎知識もしっかり聞いていますね。例えば、地理では必ず都道府県の位置を確認する問題があります。

田所先生 基礎知識を問うと、受験生の日々の努力がみえてきます。社会科では、入試の際、人名・地名などの用語は「漢字で書く」ことを原則としています。漢字を間違える、ひらがなで書くと不正解となります。漢字で書くことについては概ねできていると思います。

筋道立てて考える力は、歴史の「並べ替え」でつかむ

歴史の問題で必ず出されるのが、出来事を年代順に並べる問題です。一問一答式で年号と出来事を暗記しても解けるものではありません。因果関係をつかむ力、筋道立てて考える力は、歴史が担うところではないかと思います。

田所先生 入試説明会においても、年代順に並べ替える問題は、年号を覚えているかを問うているわけではないことを伝えております。歴史は出来事の流れを意識して、日頃から学習することが大切であることを話しております。

晃華学園中学校 廊下

晃華学園中学校 廊下

2019年度入試は、25分、配点50点に変更

田所先生 2018年度、社会科は入試時間35分、配点75点でした。2019年度は25分、50点になります。2011年度以前の形に戻ります。
2012年度入試で75点の配点になったとき、文章記述の問題を増やしたり、その場で考える問題などを取り入れたりしました。このような出題のスタンスは来年度も継続しつつ、問題数を調整していく予定です。

入試時間が短くなると、これまで以上にリード文や設問文をしっかり読んで情報を読み取る力が求められそうですね。

インタビュー2/3

晃華学園中学校
晃華学園中学校カトリックのマリアニストスクール(汚れなきマリア修道会の学校)としての教育理念をこれまで以上に浸透させ、その教育の真価をよりいっそう発揮していくために、「カトリック的価値観に基づいた総合学習プログラム」を策定。これからの世界が取り組むべき重要課題である5つのテーマ(生命・自然と環境・正義と平和・奉仕と福祉・女性の使命)を、6年間の授業・行事・生活の中で総合的・体系的に学習する。「高い志と使命感」「人間と自然への深い理解と愛」「グローバルな視野」の3点が深く身についていくように、有意な取り組みを学園をあげて実施している。
主要教科はもちろん、芸術・体育・家庭科なども同様に重視し、知性と感性をバランスよく育成する「全人教育型カリキュラム」を展開。
中学はクラス別、高校の英語・数学などでは習熟度別授業を実施。生徒の発達段階や学習進度に合わせて、よりきめの細かい指導が行われる。どんな人生を歩んでいきたいのかということを出発点にして進路指導が行われ、自分の興味や特性を見出していけるようなさまざまな教育活動が計画されている。そのなかで、一人ひとりがかけがいのない存在であることを実感し、ノーブレスオブリージュの精神を学んでいくことで、自分に授かった個性や能力を将来どのような分野で活かしていくことができるかを真剣に考え、自分にふさわしい進路を模索していく。そのため、進学先や進路先は多岐にわたっている。
クラブ、同好会、課外活動と3種類の放課後の活動があり、何らかの活動に参加している生徒がほとんどである。活動は中高合同で、活動日は週1~4日とさまざまで、終礼・清掃後に1時間半程度、工夫して活動している。運動部9(うち同好会1)、文化部16(うち同好会13)があり、そのほかにも、華道、茶道、メディアクラブ、聖書研究、聖歌隊、フランス語、シャミナード会などの課外活動がある。
イースター・静修会・慰霊祭・クリスマスなどの宗教行事のほか、クラス単位の合唱コンクール、中高別々に行われる英語スピーチコンテスト、スキー教室など行事も多い。高校1年生の夏休みには2~3週間の英語語学研修を実施。現在は、イギリスでの研修を行っており、豊かな自然環境の中でのホームステイ生活を通して、英語力だけではなく人間力を磨く。学年の6割前後の生徒が参加している。ボランティアにも積極的。初代校長がアメリカ人であったこともありカウンセラー室は創立当初からある草分け的存在。