今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
晃華学園中学校
2018年09月掲載
2018年 晃華学園中学校入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
資料1は、持続可能な開発目標(SDGs)の一つである「ジェンダー平等を実現しよう」というアイコンです。ジェンダーとは、社会的・文化的につくり上げられた性別に対するイメージのことで、このアイコンはその決めつけられたイメージから自由になることを求めています。
資料2は、私たちが日常でよく目にするトイレのピクトグラムですが、ジェンダーの視点から問題が指摘(してき)されることがあります。
(問)資料2の何が問題とされるのか、考えて説明しなさい。
中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この晃華学園中学校の社会の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答例
男性がズボンをはき、女性がスカートをはくという先入観を与えてしまう可能性がある。
※解答は学校解答を使わせていただきました。
解説
トイレのピクトグラムは、スカートをはいているかどうかで、男女のちがいをあらわしています。しかし、女性は必ずしもスカートをはいているわけではなく、スカートを身につけるべきというきまりもありません。男性にも、ズボンでなければならないというきまりはありません。つまり、スカートは女性、ズボン(パンツ)は男性というのは、社会的・文化的につくられた女性像、男性像であり、ジェンダー平等の点からは問題だという指摘があります。また、女性トイレを赤、男性トイレを青や黒のマークで表すことにも、同様の指摘があります。
- 日能研がこの問題を選んだ理由
ジェンダーとは、「社会的・文化的に形成された性別」のことです。
ここ10年ほどの間で、ジェンダーが中学入試の社会科で取り上げられることは、めずらしくなくなってきました。女性の働き方、家事や育児、議員にしめる女性の割合、女性の識字率など、さまざまなジェンダーが題材として取り上げられています。男・女・共学校にかかわらず増加傾向です。
晃華学園中で取り上げた題材は、トイレのピクトグラムという「より身近なもの」でありながら、解決方法までふくめて考えると、議論がつきないもののひとつです。何が問題とされるのか、を考えるときには「日常の中であたりまえに利用していたもの」を新たな視点でとらえなおすことが求められます。
また、入試問題の中で問われていませんが、どのようなデザインなら、この問題が解決できるのでしょう。ジェンダー平等を実現するという目的と、ひと目見てわかりやすいというピクトグラムのそもそもの目的を両立するには、どうしたらよいのでしょう。入試が終わってからも考え続けられる要素を多く含む問題です。
世の中をとらえなおす新しい視点を提示していること、そして、入試が終わってからも考え続けられる課題を子どもたちに提示していることから、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことに致しました。
SDGs17のゴールとのつながりについて
スカート=女性を表す記号。でも、スカートをはいていない女性だっていますよね?実はこれもジェンダー(社会的・文化的な男女の性差)差別の一種。「当たり前」のことだと思っていた日常と、SDGs(持続可能な開発目標)の目標5「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」がつながる問題です。生物学的な性別は変えることはできません。でも、社会的・文化的な性別は、変えようと思えば変えられるものです。あなたの身近にあるかもしれないジェンダーに気づけますか?感じられますか?
私学とSDGsのつながりについて詳しくはこちらから
日能研は、SDGs をツールとして使い、私学の活動と入試問題に光を当てた冊子をつくりました。
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