シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

多摩大学附属聖ヶ丘中学校

2018年09月掲載

多摩大学附属聖ヶ丘中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.これからの時代を見据えて、アウトプットの重要性に力点を置きつつ長い目で見守る姿勢

インタビュー3/3

国語力の習得には時間が必要

芦村先生 こうした我々の取り組みが受験勉強や好奇心、生きる力に繋がっていけば良いなと思います。大学受験やこの先の生活でいつ芽が出るかはわからないですけれども、長い目で見られると良いなと。

国語に絞っていえば、やはり根気が必要ですね。これをさらに深く読んでみよう、もう少し言葉を獲得してみようなど、わからなくてもすぐに諦めない姿勢を丁寧に励ましていきたいなと思いますね。

今情報が飛び込んでくるのが当たり前の時代になっているので、何かを得るのに受け身であることが多くなっているのも気になっています。

石原先生 こうした時代においては、インプットしたものをアウトプットするのに、自分が表現の幅をどれだけ持っているのかが重要になります。語彙力がなければ、言いたいことがあってもきちんと伝えることができません。
本校では毎朝8時20分~30分の10分間で黙々と読書をする「朝読書」をやっていますが、普段使わない言葉に触れる機会として読書は大事だと思います。もちろん、一朝一夕に身につくものではありませんから、目に見えない実力として積み重なっていっていると信じて行っています。

多摩大学附属聖ヶ丘中学校 校歌

多摩大学附属聖ヶ丘中学校 校歌

本を読むよりも親子での会話が大事

最後に、小学生に向けて、どんな勉強をしてもらいたいですか?

出岡先生 入試説明会などを含めて必ず、本を読むのももちろん大事ですけれども、お話をたくさんしてください、と伝えています。

視写の出題からもわかるように、本来国語が苦手で本を読めない子は、我々が想定しているはるか手前の段階でそもそもの文節がわかっていない、というところでつまずいていることもあります。そういう子たちにとっては、本はただの文字の羅列です。面白くないのは当たり前ですよね。

国語は言語であり、言語のベースは話し言葉ですから、読書以前に意味のあるおしゃべりをする、ニュースを見て感じたことを親子で話し合ってみる、コミュニケーションをとる、という中で、言葉や文章の基本的な構造を理解してくことができると強く思っています。

多摩大学附属聖ヶ丘中学校 図書館

多摩大学附属聖ヶ丘中学校 図書館

インタビュー3/3

多摩大学附属聖ヶ丘中学校
多摩大学附属聖ヶ丘中学校1学年120名という小さな学校であり、それゆえに、一人一人の生徒に対する細やかな心配り・気配りが行き届いている。「自己研鑽」「健康明朗」「敬愛奉仕」が教育目標であり、その実現のための手法は、「少人数できめ細かい指導」「本物から本質に迫る教育」「主体性と協同性の育成」の三点だ。
中学校では、「野菜を育てよう」「白い粉末5種の区別」「音速の測定」など、100を超えるテーマを設け、興味・関心を喚起するとともに、仮説・推論の過程を通し思考力を養う。高校では、大学や研究所と連携し、「遺伝子解析」や「DNA鑑定」など先端科学に挑戦する機会も設けられる。
また、中学1年次には、6回にわたり、社会科見学を行う。横浜・鎌倉・小田原・都内2か所・甲府を訪れ、実際に見て体験したことを生かし、授業で学習した内容からさらに深く探求していく。中学の修学旅行はニュージーランドで、2週間にわたるホームステイだ。期間中は地元の学校に通い、学生と交流を深める。
「放課後講習」「土曜サポート講座」「検定講習」など、進路や受験のサポートも充実。さらに、「サマーセミナー」では、夏休みを大きく3つのゾーンに分けて、前期は3日を1セットにして3期、中期は3日、後期は5日を1セットに計5期に分けて、中高で90以上の講座が開設される。
読む力は、考える力を育み、学力向上の原点になるとし、「本の世界を大切にしている。始業前、校内が一斉に静まって読書に没頭。気持が落ち着く10分間で1日がスタートする。