シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

共立女子第二中学校

2018年08月掲載

共立女子第二中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.動植物の観察に事欠かない自然豊かな環境

インタビュー2/3

実験をこなすのではなく操作の意味を考える

理科の入試問題で心がけていることは何ですか。

松本先生 経験を大切にしようと、実験や観察に沿った出題をしています。
受験生の答案を見ると、机上の学習に留まっている印象を受けます。中学受験の勉強が忙しくなる前、小学3年生、4年生のときにいろいろな経験をしてほしいですね。例えば、季節の変化と生き物の関係を学ぶ小学4年生は、自然に触れて季節の変化を体感してほしいと思います。

実験でよく「次は何をやるのですか?」と聞かれます。指示待ちに慣れると、その通り「こなす」だけになってしまいます。なぜその操作をするのか、どうしてその順番なのか、その意味をきちんととらえるようにしましょう。

生徒を見ていると、「この問題の正解は『ア』なんだ」という覚え方をしていて、問題集を解くことが目的になっています。他の選択肢がなぜ間違いなのかも考えてほしいところです。

入試広報部主任/戸口 義也先生

入試広報部主任/戸口 義也先生

作図させると本当に理解しているかどうかわかる

作図問題も出していますね。

松本先生 生物の問題では「気孔」の図をかかせました。教科書を見て「こういうものだ」と頭ではわかっているし、顕微鏡で見たこともあるでしょうが、本当に理解しているかどうかは作図をさせるとわかります。

気孔は、厳密には1組の孔辺細胞とそれを囲む4個の副細胞でできていますが、孔辺細胞だけ、気体の出入り口のすき間がかけていればよしとしました。正解率は60~70%でした。

物理の問題では「乾電池とモーターのつなぎ方」をかかせました。女子は特に電気回路を苦手にしていますが、この問題はできていました。

回路図ではなく自動車の模型で聞いているので、受験生は興味を持ちやすかったのではないかと思います。

2019年度に「サイエンス入試」を新設

戸口先生 本校では、2019年度入試から、理科に特化した「サイエンス入試」を実施します。従来型の筆記試験だけでは測れない力、「自分で考えて発表する力」を試します。

松本先生 「サイエンス入試」は、その場で実験をしてもらいます。いつも自分の手を動かして実験しているか、見ているだけか、手際のよさに差がつきます。

7月上旬にサイエンス入試のシミュレーション動画をアップしました。課題は、小5の教科書にある「食塩水から食塩を取り出す実験」です。取り出す食塩の量は少しでかまいません。制限時間は30分ですから、蒸発皿に食塩水をなみなみと注ぐか、少しだけ注ぐか、考えて実験しているかどうかわかります。

共立女子第二中学校 化学室

共立女子第二中学校 化学室

ユニークな発想の生徒はのびしろがある

松本先生 実験が終わったら、操作方法と結果をまとめます。考察する問題も出します。シミュレーションでは、「解けている食塩が見えないのはなぜか」を考えてもらいました。

正解かどうかよりも、自分の考えをきちんとまとめられるかどうかを見ます。ユニークな発想を期待しています。

発想が豊かな生徒は「のびしろ」があります。おもしろい発想ができるということは、目のつけ所がいい、よく観察している、興味・関心が高い、疑問がわく、すなわち、「もっと知りたい」「もっと学ぼう」という意欲が高いのだと思います。

昔、夏休みの自由研究で、自転車で走り回ってどれだけ蚊に刺されるか、どんな場所を走ると刺されやすいか調べた生徒がいました。その生徒は中学の成績は芳しくありませんでしたが、高校に上がると成績がぐんぐん伸びて卒業後は科学の道に進み、こちらが驚くほどの成長を見せてくれました。

インタビュー2/3

共立女子第二中学校
共立女子第二中学校八王子市にある併設型中高一貫校。高校は昭和40年、中学は昭和59年に開校している。母体である共立女子学園は明治19年(1886)、先覚者34人が発起人となり、女性に専門的知識と高度の技能を修得させ、女性の自主性と社会的自立を育成することを目的として創立された。広大な敷地の中の充実した施設は、大きな魅力である。
学園の一貫不変の理念は、「女性の社会的自立」。仕事に限らず地域そして家庭などそれぞれが活躍の場を見つけ、自分ならではの社会貢献ができる「人間力」を育てる。社会に出た際に役立つ、美しい立ち居振る舞いを学ぶ礼法、浴衣の着付け、華道・茶道など和の正しい作法の指導など女子校ならではの教育は、長年にわたって受け継がれてきた伝統である。
学習面においても、恵まれた自然環境を生かした野外観察や天文教室など体験型の授業を多く取り入れている。一方で時代の変化に対応したグローバル教育や大学進学対策に関しても現状と将来をしっかりと見据え、私学ならではの柔軟性を活用したカリキュラムを設定されている。特に英語教育においては、4技能育成に重点を置いた授業とニュージーランドの姉妹校との交流を通じたバランスの取れた英語力を定着させ、来るべき大学入試改革に対応。
大学進学においては、共立女子大学の併設校としての強みを生かし、充実した推薦制度を利用した安心の進学システムが構築されている。共立女子大・短大を第一希望とする場合は文芸・国際の両学部については成績基準を問わず入学が可能。また併設高校特別推薦制度を利用すれば、外部大学との併願も可能となり、安心して難関大学にチャレンジすることができる。