シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

共立女子第二中学校

2018年08月掲載

共立女子第二中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.知識と経験を組み合わせて考える問題

インタビュー1/3

体験から感じ取ったことを普段の学習につなげよう

松本先生 本校は八王子の丘陵地に東京ドーム5個分の広大なキャンパスを構えます。入試問題にも、緑豊かな環境という学校の特色を反映させるように心がけています。自然に興味・関心があるお子さんの入学を歓迎します。

また、2020年度の大学入試共通テスト(新テスト)に向けて、与えられた情報と知識、経験を組み合わせて「考えて」もらおうと思い、このような問題を出題しました。

小学校の遠足で、高尾山のような雑木林を体験した受験生もいるのではないかと思います。いろいろな種類の樹木が茂る雑木林と、植林した人工林とではまるで雰囲気が違います。(問1)は、両者の違いに気づく力を試しました。葉が厚くて光を通しにくいスギの林は鬱蒼として暗い。したがって、そこに棲む生き物も少なくなります。自然を体験したときに「何か」を感じ取り、感じたことを普段の学習につなげてほしいと思います。

虫が苦手なお子さんは、飛んでくる虫に驚き、悲鳴をあげたことがあるでしょう。「イヤ」というだけでなく、「どうしてここは虫がたくさんいるの?」というように、体験から何かを感じ取ってもらいたいし、感じたことを普段の学習につなげてほしいと思います。

高校学年主任 理科/松本 重樹先生

高校学年主任 理科/松本 重樹先生

生活の中からスギやヒノキの特徴をつかむ

松本先生 (問1)の正答率は20~30%でした。もう少しできてほしかったですね。
選択肢が正解の(ア)以外は「たくさんあるもの」になってしまったので、そこから推測されるのではと思いましたが、そうはなりませんでした。(ウ)の誤答が目立ちました。
夏、スギやヒノキは日差しを遮り心地いい木陰を作ります。そうした体験から推測できるといいですね。体験していなくても、「葉が厚い」といったスギやヒノキの特徴を知っていれば解けると思います。

スギやヒノキには虫を寄せつけない効果があり、虫除けスプレーが商品化されています。これもヒントになるのではないでしょうか。
ただ、虫除けのような人間目線の発想は、度を過ぎれば生物多様性を損なうことにもなりかねません。その点でも非常に考えさせられる問題です。

正解以外の選択肢は幼木が「与えている」点に着目

松本先生 (問2)は、新テストを意識して「考える」ことを重視した問題です。
台風の通過後に雑木林を歩くと、樹木が枯れて地面がポッカリ空いたところを見つけます。そこには日差しが当たり、光合成で下草が生えています。受験生は見たことがない光景かもしれませんが、設問文をよく読んで状況をつかみ、小学校で習った光合成の知識と組み合わせて幼木の意味を推測してもらおうと思い、この問題を出題しました。

選択肢を見ると、正解以外は、幼木が他の木に“与えて”います。そうしたことは自然界ではまずあり得ません。消去法で(ウ)が残ります。(問2)を正解できたのは数名程度で、ほとんどが推測できなかったのは残念でした。

(ア)の選択肢を見ると、小さな木は「晴れた日に光合成をして」という前半部分は合っていますが、後半の「大きな木に栄養を与える」は間違いです。正解するには選択肢の文章もきちんと読まないといけません。「考えさせる」問題になっていると感じます。

共立女子第二中学校 共立落葉図鑑

共立女子第二中学校 共立落葉図鑑

インタビュー1/3

共立女子第二中学校
共立女子第二中学校八王子市にある併設型中高一貫校。高校は昭和40年、中学は昭和59年に開校している。母体である共立女子学園は明治19年(1886)、先覚者34人が発起人となり、女性に専門的知識と高度の技能を修得させ、女性の自主性と社会的自立を育成することを目的として創立された。広大な敷地の中の充実した施設は、大きな魅力である。
学園の一貫不変の理念は、「女性の社会的自立」。仕事に限らず地域そして家庭などそれぞれが活躍の場を見つけ、自分ならではの社会貢献ができる「人間力」を育てる。社会に出た際に役立つ、美しい立ち居振る舞いを学ぶ礼法、浴衣の着付け、華道・茶道など和の正しい作法の指導など女子校ならではの教育は、長年にわたって受け継がれてきた伝統である。
学習面においても、恵まれた自然環境を生かした野外観察や天文教室など体験型の授業を多く取り入れている。一方で時代の変化に対応したグローバル教育や大学進学対策に関しても現状と将来をしっかりと見据え、私学ならではの柔軟性を活用したカリキュラムを設定されている。特に英語教育においては、4技能育成に重点を置いた授業とニュージーランドの姉妹校との交流を通じたバランスの取れた英語力を定着させ、来るべき大学入試改革に対応。
大学進学においては、共立女子大学の併設校としての強みを生かし、充実した推薦制度を利用した安心の進学システムが構築されている。共立女子大・短大を第一希望とする場合は文芸・国際の両学部については成績基準を問わず入学が可能。また併設高校特別推薦制度を利用すれば、外部大学との併願も可能となり、安心して難関大学にチャレンジすることができる。