出題校にインタビュー!
自修館中等教育学校
2018年07月掲載
自修館中等教育学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
3.教育の柱「探究」を反映した新入試に注目!
インタビュー3/3
教員の経験値が上がり、うまく意欲を引き出せている
探究の内容はレベルアップしていますか。
佐藤先生 2年生(中2)から始めて4年生(高1)でまとめます。生徒が数年で到達するレベルはある程度決まっていますが、我々のほうが毎年いろいろなことを学んでいるので、より深い指導ができていると思います。(先輩と)同じようなテーマで探究しても、結果として高いものが出来上がっているという可能性はあると思います。
除村先生 探究で大切にしているのは、個性をつぶさないということです。同じことを調べていても、生徒が違えば微妙に切り口も違います。それがその子の個性なので、この方向に行けばこうなる、と思っても、あえて言わずに、生徒が調べたい方向に行かせています。中にはある程度のところまでやって満足している子もいますが、軽くアドバイスするとおもしろがってもっと調べます。教員が経験を積むことで、うまく意欲を引き出すことができているのは確かです。最低ラインは上がってきていると思います。

教頭/除村 邦夫先生
生徒の成長を待てるのが中高一貫の私学で学ぶよさ
佐藤先生 知識をもっていることは必要なのですが、暗記するだけでは意味がありません。数字をそのまま受け取るのではなく、裏側には何があるのか。まわりには何があるのか…と、さまざまな視点から考える力をつけてほしいと思っています。
授業を通してものの見方がわかってくれば、人との関係にも生かすことができます。少人数の学校なので、良好な人間関係を築くことが大切です。人の変化に気づくことができる。自分にできることはないかと考えることができる。そういう人になってほしいという思いをもって授業を行っています。
時間をかけて教育しているのですね。
佐藤先生 6年間あるからできることだと思っています。こうすれば、明日からこうなるというものではないので待つしかないのですが、じっくり生徒を育てることができるのが、中高一貫の私学で学ぶよさだと思います。
生徒一人ひとりとしっかり向き合う
修論を見るのも時間がかかるのでは?
村田先生 そうですね。期限内に2万字の論文を見るのはかなり大変です。でも「夜も寝ずに書いてきた」などと言われると、しっかり見なければいけないと気合いが入ります。最初は(修正で)真っ赤になります。文字数を達成するとホッとして読み込まずに持ってくる生徒も多いので、気になる部分をチェックしていると、いつの間にか真っ赤になります。
佐藤先生 生徒とやりとりをしていく中で新たな疑問が生まれ、調べるうちに考えていた場所と違う場所に着地することも珍しくありません。大変ですが、手を加えてくれればいいものができあがります。そういう子が「5年、6年でも探究をやりたい」と言ってくれるのでありがたいです。
こちらも盛り上がってくると楽しいんですよね。毎年、ゼミ生を見てきているので、担当分野についてはある程度知っているはずですが、知らないことがたまに出てきます。「よく見つけたね。似たようなテーマで探究している友だちと話し合って、深めてごらん」などと言うと、熱心に取り組んでくれて、再提出された修論は読んでいて楽しいです。

自修館中等教育学校/いろり
一人ひとりの成長を把握しながら指導できる環境が魅力
ゼミで受け持つ生徒さんは何人ですか。
村田先生 1学年120名、ゼミを行う教員が25名なので、教員1名につき4、5名になります。
佐藤先生 何をやるにしても時間をかけることが大切です。(自修館には)高校から入ってくる子がいません。我々教員も6年間一緒に上がっていくので、その子が今、どういう過程にあるかをしっかり把握しながら適切な指導をしていけるところが本校のよさだと思います。
除村先生 開校以来やってきているので、複数の学校に受かった生徒が「探究がしたいから自修館を選んだ」と言ってくれたり、ゼミに入ってきた中2が「学校説明会でゼミの話を聞いた時から、このゼミに入りたかったんです」と言ってくれたりします。
佐藤先生 この先生のゼミに入りたかった、と、以前から決めている子が意外といます。
探究のフィールドワークは個別に行う
人気のゼミは抽選になるのですか。
除村先生 人数が決まっているのでそういうこともあります。ただ、テーマによっては、重なる部分もあので、ゼミの枠を超えて面倒を見ることもあります。
佐藤先生 そうですね。休みの日にフィールドワークに行くのですが、同じようなテーマの子はゼミの枠を超えて一緒に行きます。
除村先生 ゼミの先生の間で「こういうフィールドワークに行くけど、一緒に行かない?」というような声かけはよくしています。初夏休み(約1週間)に「今日はこの子を連れてここに行く」と、毎日のようにフィールドワークに行っている先生もいます。
1人のために行くのですか。
除村先生 そうです。アポイントは生徒がとるのですが、1人のために行きます。
佐藤先生 研究者から話を聞くのはおもしろいですからね。

自修館中等教育学校/掲示物
探究のテーマと同じ進路を選択する生徒が多い
担任の先生や部活の顧問の他に、ゼミの先生とも親しくなれる。それもいいことですね。
佐藤先生 卒業式には挨拶に来てくれますね。
除村先生 探究のテーマと同じような学部、学科に進む子も多いのでそれも嬉しいです。
佐藤先生 新たなつながりができれば、後輩を連れてフィールドワークに行けますから、そういう意味ではすごくありがたいです。
村田先生 理系分野に進む子は毎年たくさんいます。数学で学んだことを応用して、さまざまな方面で学んでいます。大学の数学科に進む生徒は学年に1人いるかいないかですが、数学的なことを生かせる進路としてはプログラムや、最近では人工知能に興味をもつ生徒が多いです。
探究入試が私学に目を向けるきっかけになれば嬉しい
探究入試がどのような入試になるのか楽しみです。
佐藤先生 世の中では自分で考えて発信できる子が求められています。そういう資質をもった子に、より入って来てほしいという思いで導入しました。
除村先生 小学生におもしろいと思ってもらえる問題を用意できるといいですよね。
村田先生 世の中の動きにアンテナを張っています。
佐藤先生 このエリアは公立の中等教育学校を受験するご家庭が多いので、公立だけでなく私学にも目を向けてもらうきっかけになれば嬉しいです。

自修館中等教育学校/校舎内
インタビュー3/3