シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

自修館中等教育学校

2018年07月掲載

自修館中等教育学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.学習する上で大切なのは、どうしてそうなるのかを理解すること。

インタビュー2/3

理解を深めるために、なぜそうなるのかを聞く

授業でも問いかけを大事にしているのですか。

村田先生 はい。数学科では「なぜ?」「なに?」を大切にしているので、入学して最初の授業で問いかけるのは、「マイナス×マイナスはなぜプラスになるの?」という問いです。マイナスとマイナスを掛ければプラスになるということは習って知っていても、当たり前のこととして受け止めているので、大人でも答えられないかもしれません。そういうことをわかりやすく説明することは、心がけて授業をしています。

佐藤先生 “なぜ”の部分を聞いていかないとしっかり入っていきませんし、内容を理解できません。だから授業では「なぜ?」と聞きますし、定期考査ではどの教科も記述式の問題が多いです。私も理由を聞いて、解答用紙の表裏を使って書かせるのでいやがられますが…(笑)。ただ、知識を覚えるだけでは意味がないので、どうしてもそうなります。

問いを投げかけて、静まり返ることはないのですか。

佐藤先生 それはないです。意外と好きなことを発言します。

村田先生 思いついたことを口にするのは男の子が多いですね。

佐藤先生 そう。男の子が好きなことをいろいろ言ってくるので、それを拾いながら話をします。そうしているとだんだん盛り上がってくると女の子も入ってきます。

入試広報室長/佐藤 信先生

入試広報室長/佐藤 信先生

初めて体験する数学の世界で、生徒をアッと言わせたい

村田先生 型にはまった授業よりも、それを飛び越えて「なぜ?」「なに?」と聞かれるとこちらもワクワクしてきます。例えば中学生は√(ルート)を知らない子がほとんどですので、アッと言わせてやりたいなと思います。格好良く言えば感動させたいのです。理科の生物や社会の地理、公民などは変わりゆくものを扱っていますが、数学は定義があり、決まり事を教えます。教員には当たり前のことも、生徒には初めて知ることなので、「なんでそう決めたのですか」などという質問が来ると嬉しくなります。「それはね…」と、世界を広げてあげている感じです。

最近、中3の授業で最近0乗を扱いました。「3の0乗、どうなると思う?」と聞くと、大抵「0」という答えが返ってきます。生徒は「0回かける」と思ってしまうので、こんな話をします。「3の5乗を3の3乗で割ると分子に3が5個あって、分母に3が3個あるから、約分して3の2乗だね。これは5引く3で、2乗になると言っていいよね。これが規則性の法則だね。じゃあ、3の3乗÷3の3乗はどうなる?」と。すると「3の0乗は0ではない。1である」ことが腑に落ちるんです。

0では割れないという話も、最初の授業でよく話します。「算数で0÷3=0ってやったよね。じゃあ、3÷0は習った?」と聞くと、だいたいみんな「0」と答えます。「じゃあ3÷0.1は?」「30」「3÷0.01は?」「300」「3÷0.001は?」「3÷0.0001は?」…とずっと聞いていくと、そのうち誰かが「無限」と言い出します。こちらも「そうかぁ」ととぼけるのですが、0では割れないのです。

自分で考えさせることを大切にしている

除村先生 そういう授業をしているせいか、自分で考えることが好きな子が多いです。数学の質問に来た時に、「こういうことだよ」と言って、もっと教えようとすると「もういいです。後は自分で考えます」と言われて、拍子抜けすることがあります(笑)。

佐藤先生 私は最近、あまりしゃべらなくなりました。途中まで話して「後は自分たちで考えて進めてごらん」「それでも解決しなければ聞きにおいで」と言っています。自分の知識がきちんとしていないと人に説明できないので、生徒に任せたほうが深く理解します。その子自身のレベルが上がっていきます。

除村先生 グループ活動が多いので、自分の意見を言う→他の人からアドバイスをもらう→考えを整理する、ということが自然になっているのかもしれませんね。

自修館中等教育学校/校舎

自修館中等教育学校/校舎

大学でも困らない書く力がつく

除村先生 数学科では授業が終わるごとに「振り返り」を書かせるのですが、授業での気づきや自分の思いなどをびっしり書いてくれます。たまに、こちらが当たり前のように教えたことに対して、新しい気づきを与えてくれる意見もあって、ありがたいです。そういう生徒に、次の授業で説明をしてもらうこともあります。

生徒さんは書くことに対して抵抗がない?

除村先生 そうですね。ただ、4年生で書く探究の修論はハードルが高いようです。1つのことに対して2万字書くというのは、並大抵のことではないので、それを越えると書くことが苦にならなくなるようです。

佐藤先生 大学生が来てくれると、「大学のレポートは楽です」とみんな言ってくれます。

除村先生 「大学の卒業論文も楽でした」と。今でこそアクティブラーニングという言葉が流行っていますが、本校では以前から、話し合いを日常的に取り入れています。書く前にいろいろと話し合わせて、考えたことを発表させるということをよくします。今は大学などでも、自分の考えを発表することが多いようです。そういうことについても「私たちは全然困らない」と言ってくれます。

男子はマニアック、女子は堅実

探究において、男女による違いは見られますか。

佐藤先生 中学生だと精神年齢が若干違うので、女の子のほうがコツコツと、しっかりやります。男の子は自分の興味に従って、ピンポイントでそればかりをやります。マニアックさは男の子のほうが強いかもしれないです。

村田先生 女の子は着地点を想像できています。だから、きれいに仕上げてきます。

除村先生 「それぞれのテーマで仮説を立てて検証してきましょう」と言うと、男の子のほうが突拍子もない仮説を立てますね。男の子はざっくりこんな感じで…とイメージを広げて、そこからはみ出ることも恐れませんが、女の子は細かく調べて組み立てていくというパターンが多いです。

自修館中等教育学校/フーコーの振り子

自修館中等教育学校/フーコーの振り子

インタビュー2/3

自修館中等教育学校
自修館中等教育学校スクールバスにて小田急線愛甲石田駅より約5分、JR東海道線平塚駅より約25分。目の前には緑多い大山と丹沢の山々があり、恵まれた自然環境。校舎は、5階建ての教室棟と実験棟からなり、図書室、PC教室、自習室などを備え、高度情報化社会に対応したつくり。体育館や屋上にプールを備えたアリーナもある。学校食堂の枠を超えたレストラン、カフェテリアも好評。
建学の精神「明知・徳義・壮健」の資質を磨き、実行力のある優れた人材を輩出し人間教育の発揚を目指す。そのため、学力とともに、「生きる力」を育成するテーマ学習や心の知性を高めるEQ教育などユニークな取り組みを実践。教育を“こころの学校作り”ととらえ、学校を想い出に感じ、帰れる場所に、と家庭とも連携を保ちながら、きめ細かい指導にあたっている。
中1~中3を「前期課程」、高1~高3を「後期課程」とした、高校募集のない完全中高一貫の体制。3カ月を一区切りとする4学期制で、メリハリをつけて効果的に学習を進めている。英・数は「後期課程」から習熟度別授業を実施。英語の副教材には、『ニュートレジャー』を使用。興味のあるテーマを選んで継続して調査・研究を行う「探究」の授業もある。指名制の補習と希望制の講座がさかんに行われている。また個別指導が多いのも特徴。
週6日制だが、土曜日の午後は自由参加の土曜セミナーを開講。「遺伝子組み換え」「古文書解読」「伊勢原探訪」など生徒対象のものだけでなく、保護者対象の講座も多数用意している。「探究」以外でも心の知性を高める「EQ」理論に基づいた心のトレーニング「セルフサイエンス」や、国際理解教育など、特色ある教育を展開。中1のオリエンテーション、山歩きに挑戦する丹沢クライム、芸術鑑賞会などの行事がある。文化部9、運動部10のクラブ活動も活発。「探究」の一環として、高2でカナダでの海外フィールドワークが行われる。