シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

市川中学校

2018年06月掲載

市川中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.文系理系にかかわらず、科学的な思考が身につく6年間

インタビュー2/3

中1はすべて実験。理科の楽しさを十分味わえる

実験・観察での生徒さんの反応はいかがですか。

大塚先生 (中学校に入って来るまでに)実験・観察を行って、そこからいろいろなことを吸収していくという経験が少ないので、1つ1つの実験に興味をもって取り組んでいます。中1に関しては週2回、2時間連続で授業を行っていますので、すべて実験です。中1から理科の楽しさを十分味わいながら、1年間過ごしているのではないかと思います。

その成果を感じていますか。

大塚先生 実験する度に、生徒はその日の実験を実験ノートにまとめて提出します。理科の教員が目を通して戻すということを繰り返し行う中で、実験で得た情報を次にどうつなげているかをしっかり見ています。そういう積み重ねにより科学的思考を育てていきたいと考えております。

市川中学校/理科実験室

市川中学校/理科実験室

科学的な人材育成の成果は出てきている

ノートに書かれている内容は段々良くなっていくのでしょうね。

大塚先生 1年かけて取り組んでいくので、実験・観察の手順やレポートのまとめ方などの“いろは”を身につけることができます。中2、中3でも実験を通してさらに力を蓄え、発表の経験も積んだ上で高校に上がります。SSHの指定を受けている高校では、高1の授業に下準備的なものを取り入れ、高2で理系を選択した生徒が課題研究に取り組んで、学内のみならず学外への発信も行うなど可能性を大きく広げています。一貫教育のメリットを生かして、科学的な人材育成の成果は出てきていると思っております。

一方で、理科が苦手なお子さんもいると思いますが、その対応はどのようにされていますか。

大塚先生 まずは興味関心をもつ工夫をしています。何事にも食わず嫌いがありますし、興味があれば、他から見て大変なことも苦に思わずに取り組めるという面がありますので、中1では興味関心をもつ工夫を、理科に限らず、全教科で取り組んでおります。

市川中学校/掲示物

市川中学校/掲示物

先輩から後輩へ、活動の成果を伝える流れの起点が入試

大塚先生 多様な教科・科目がある中で、それぞれが自分の興味関心をもったものに突き進んでいけばいいので、高校では文系の教科・科目に興味関心をもち、さらに深めていきたいという生徒が、それに取り組める機会も設けております。さらに、興味関心を深めた内容を自分でまとめ、他の生徒諸君にも伝える機会があります。SSHの年度末報告会を行う日を「市川アカデミックデー」とし、文系理系を問わず発表しています。先輩がいろいろなところで研究・調査活動をした、あるいは海外で活動をした各体験を通して得た喜びや成果を後輩に伝えて刺激を与えます。それがうまく回っていけば、さらに拡大していくと思います。

そうした本校の流れの起点が入試なのです。入試を受ける前に、いろいろな学校を訪問し、本校のカラーを感じ取って、入試を受けていると思うので、「これからどういうことを学ばせてくれるのかな」という興味関心をもって入試に取り組んでもらえたら作りがいがあります。

市川中学校

市川中学校

中高の学びが役立っているという卒業生の声が励み

大塚先生 学内外の仕組みを見ていると、細かい部分については改善していかなければいけないところもありますが、SSHのOG、OB対象に行うアンケートでは、「市川で実験のいろはを身につけていたため、大学で実験、または調査・研究を行う時に、先を見据えて取り組むことができた。非常に有効だった」という声を聞くことができます。SSHは2期5年目。1期から10年が経ちますので、卒業生には大学院生や社会人もいます。大学院生や、研究職に就いている卒業生からも、「中高時代の学びが役に立っている」というアンケート結果が出ておりますので、SSHを中心として理数科学の分野の指導は間違っていなかったと思っております。大学選びも、大学名で選んで受験するのではなく、1人ひとりの具体的な志望理由が備わって受験していくので、非常に頼もしく感じています。

海外思考も高まり、研修プログラムが人気

海外への意識も高いですか。

大塚先生 そうですね。海外志向も以前に比べると高くなっています。本校の海外研修プログラムをはじめ、国の海外留学プログラム「トビタテ留学ジャパン」など、公的な支援を受けられるプログラムも含めて、毎年150~200人規模の生徒が参加しています。セレクションをしなければいけないほど、たくさんの応募があります。学年でいうと高1を中心に、中3から高2の間に行く生徒がほとんどです。

トビタテ留学ジャパンでは、毎年6、7名選んでいただいています。この人数は全国でも多いほうではないかと思います。それに選ばれなかった生徒が、そこであきらめるかというとそうではありません。違う援助を受けて、または私費で、必ず行きます。熱意は相当なものです。

市川中学校/生物科しんぶん

市川中学校/生物科しんぶん

SSH同様、海外体験も先輩の言葉に背中を押される

その背景にあるものは?

大塚先生 理科研究と同じように、先輩から後輩へ、成果を伝える流れが出来上がってきたからだと思います。先輩の話を聞いて、心を動かされる生徒が増えているのだと思います。

ここ数年、生徒たちは、SSHの課題研究、夏休みの自由研究、各クラブの研究活動を通して、また、本校の企画や文科省の「トビタテ留学JAPAN」、その他コンテスト、自費留学などの研修を通して、学内外、国内外を問わず、多様な経験・機会を得てきました。自ら考え学ぶ『第三教育』の一環として、先輩たちから後輩たちにそこから得た志や実践を伝え、引き継ぐ機会として「市川アカデミックディ」を実施しています。もちろん海外体験に腰が引けている生徒もいますが、先輩の発表を聞いて、自分もやってみたいなという気持ちにつながっていけばいいと思います。

市川中学校/第三教育センター

市川中学校/第三教育センター

インタビュー2/3

市川中学校
市川中学校1937(昭和12)年、市川中学校として開校。47年、学制改革により新制市川中学校となる。翌年には市川高等学校を設置。2003(平成15)年には中学で女子の募集を開始し、共学校として新たにスタート。同時に新校舎も完成させた。女子の1期生が高校へ進学する06年には高校でも女子の募集を開始。昨年4月には校舎の隣に新グラウンドが完成。2017年には創立80周年を迎えます。
創立以来、本来、人間とはかけがえのないものだという価値観「独自無双の人間観」、一人ひとりの個性を発掘し、それを存分に伸ばす「よく見れば精神」、親・学校以外に自分自身による教育を重視する「第三教育」を3本柱とする教育方針のもとで、真の学力・教養力・人間力・サイエンス力・グローバル力の向上に努めている。
効率よく、密度の濃い独自のカリキュラムで、先取り学習を行っていく。朝の10分間読書や朝7時から開館し、12万蔵書がある第三教育センター(図書館)の利用などの取り組みが連携し、総合して高い学力が身につくよう指導している。中学の総合学習はネイティブ教師の英会話授業。2009年度より、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校となる。授業は6日制で、中1、中2の英語7時間、中3数学7時間など主要科目の時間数を増やす。ほかに夏期講習もあり、中1・中2は英・数・国総合型講習を実施。高校では、高2で理文分けし、高3ではさらに細かく選択科目等でコースに分かれて学ぶ。授業の特徴としては、インプット型の学習で基礎力を育成するともに、SSHの取り組みとして、研究発表、英語プレゼンなどを行う「市川サイエンス」、対話型のセミナーである「市川アカデメイア」、文系選択ゼミの「リベラルアーツゼミ」といった発表重視のアウトプット型の授業展開を実施している。自らの考えを相手に伝える表現力を、論理的に考え、それを伝わりやすい文章で表現するスキルとしてアカデミック・ライティングといい、「読めて、書ける」を目指し「課題を設定する力」、「情報を正確に受け取る力」、「それを解釈・分析する力」、「自分の考えをまとめ・伝える力」を育てる。
高1の各クラスごとに3泊するクラス入寮は創立当時から続く伝統行事。クラブは中高合同で活動する。行事は体育祭、文化祭のほか、自然観察会、合唱祭、ボキャブラリーコンテストなどもある。夏休みには中1、中2で夏期学校も実施。中3でシンガポールへの修学旅行を実施。また、希望者を対象にカナダ海外研修(中3)、イギリス海外研修(ケンブリッジ大学、オックスフォード大学中3・高1)、ニュージーランド海外研修(中3・高1)、アメリカ海外研修(ボストン・ダートマス高1・高2)が実施されている。生徒のふれあいを大切にしているが、カウンセラー制度も設けて生徒を支えている。