シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

カリタス女子中学校

2018年06月掲載

カリタス女子中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.表現力のはじめの一歩は丁寧に読むこと

インタビュー2/3

正確に読解できれば文章の構成もつかめるはず

水野先生 本校の国語科の入試問題は「説明的な文章」と「物語的な文章」の大問二問の構成です。
難問・奇問を出しているつもりはありません。「基礎的な読解力」「基礎的な表現力」を測る問題作りをしています。そうした力のあるお子さんに入学していただきたいですし、中高6年かけて伸ばしていきます。
基礎的な読解力とは、「文章を丁寧に、きちんと読める力」です。正確に読むことができれば、文章の構成やつながりも大まかにつかめるでしょう。例えば、接続詞から文章の組み立て、展開が見えているだろうし、指示語も置き換えて読めていると思います。ならば、問題を解き進むこともできると思います。

カリタス女子中学校/図書館

カリタス女子中学校/図書館

文中から抜き出し、つなげるだけでは満点にならない

水野先生 基礎的な表現力とは、「自分の言葉に置き換えて自分の言葉でまとめられる力」です。そうしてまとめた文章が、日本語として齟齬なく成立していることを求めています。
文中から抜き出した言葉をつなげただけでは、設問の要求に十分に応えられません。書かれていることを一旦かみ砕き、消化して自分のものにするからこそ、自分の言葉で表現できるのです。
受験生の答案を見ると、文中の言葉をそのまま抜き出したものが非常に多い印象があります。それでも間違いではありませんが、設問の要求にフィットした満点の解答とは言えません。表現力不足と判断し、部分点に留まります。
表現するにも、まず文章を丁寧に読み、書かれている内容を理解すること。その上で、自分なりにまとめ直すことができれば、キーワードを使って自分の言葉で表現できると思います。

カリタス女子中学校/聖母像

カリタス女子中学校/聖母像

なかなか抜けない文末を「~から。」で結ぶクセ

水野先生 文章記述では、理由を聞いていない問題でも、文末を「~から。」と表現している解答が散見されます。それだけ理由を聞く問いが多く、反射的になってしまっているかもしれません。何でもかんでも「~から。」で結ぶクセは、入学後もなかなか抜けません。
設問文に合っていない解答は減点します。「文章を丁寧に読む」ことは設問文にも当てはまります。答えを書き出す前に、設問が何を要求しているのか理解しましょう。

子ども社会の問題にも目をそらさないで

水野先生 入試ではいじめをテーマにした作品は避けていますが、とはいえ、登場人物の心の痛みは物語の核心部分でもあります。子どもを取り巻く環境が家庭環境など多様で複雑な今の時代、素材文が選びにくくなっていると感じます。

法土先生 2018年入試で取り上げた作品の主人公は、保健室登校の中学生です。教室復帰が描かれており、主人公は本心では人と関わりたいと思っていて、前向きにとらえられるかなと思い取り上げました。

自分の周りに保健室登校のクラスメイトはいないかもしれませんが、そうした子の気持ちをわかろうとしてほしいですね。

法土先生 本校は、自分自身を大切にするとともに、他者も心から大切にすることを教育理念としています。子どもの身近にある問題にも目をそらさず向き合ってほしいのです。主人公が本当はどうしたいのかを読み取って、悪いことばかりではない、救いがあるのではないかと希望を見いだす力を育てたいと思っています。

桐朋中学校/掲示物

桐朋中学校/掲示物

インタビュー2/3

カリタス女子中学校
カリタス女子中学校ラテン語で「愛」を意味するカリタス。カナダで、聖マルグリット・デュービルが創立したケベック・カリタス修道女会を母体に、1961(昭和36)年にカリタス女子中学・高校が創設された。62年に幼稚園、63年には小学校が創設されている。
多摩川沿いの閑静な住宅街にあり、緑にも恵まれた環境。2階建てアリーナ、人工芝の広いグラウンド、テニスコート、屋内プールなど、スポーツ施設も充実している。生徒に人気のある図書室は蔵書も豊富で明るくきれい。専用回線で常時インターネットに接続されているコンピュータ室も完備。聖堂や1200名収容の講堂もある。カフェテリアでは飲み物、パン・弁当を販売。06年4月に「教科センター方式」の校舎が完成した。
キリスト教の愛と真理の原理に基づく教育方針。祈る心、学ぶ心、交わりの心、奉仕の心の「4つの心」をもった人間を育成することを目指す。また、異なる文化を理解する力を育み、国際的なセンスを身につけるため、中1から英語とフランス語の2つの外国語を導入。
中1から古典学習や体系的な作文教育を行い、豊かな国語力を育成する。独自の教材も含めて進められる英・仏2つの外国語教育は密度の濃い内容。中1から2時間の授業が設けられた仏語は、高校で第一外国語として履修も可能で、大学入試にも対応する。英語は中学が週6時間のうちネイティブ教員によるオーラル1時間、さらに2016年度より始まった英語既習者クラスではネイティブ教員の時間が2時間ある。中1・中2の理科実験や、英・仏・数の授業は、1クラスを2つに分けたハーフクラスで行われる。補習は必要に応じて実施。高校2年から私立文系・国公立文系・理数の3コース制。大学受験に的を絞った意欲的なカリキュラムで、国公立大、難関私大に多数の合格者を輩出。現役進学率も着実に伸びている。
制服は「カリタスブルー」を基調としたスーツスタイル。放送を通じての「朝の祈り」で1日が始まり、全学年で聖書の心を学ぶ「カトリック倫理」の授業がある。奉仕活動を行うアンジェラスの会を中心に、教育里親の会、バザー、施設訪問など幅広いボランティア活動を展開。球技大会や体育祭、文化祭など学年を越えた交流があるほか、1月の外国語発表会は、学年ごとに劇、歌、スピーチなどで日ごろの語学学習の成果を発表する。中2で2泊3日のイングリッシュキャンプがあり、高1の希望者には、カナダ研修が実施されている。またターム留学やセブ島英語研修も参加者が増えている。高2の修学旅行は九州北部。クラブ活動は、運動部8、文化部14あり、中高合同で活動。