シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

恵泉女学園中学校

2018年05月掲載

恵泉女学園中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.主体的に取り組む姿勢を育む中高6年間

インタビュー3/3

中1の世界地理はメディアセンターで調べ学習

服部先生 中1の世界地理の学習には「メディアセンター」を活用します。メディアセンターは活字メディアと電子メディアを備えた自学自習の場です。司書教員から本の並び方、検索方法などを教わります。

1学期は衣食住を扱うので、気候に左右される暮らしぶりを学びます。調べる地域は、「熱帯雨林気候」や「サバナ気候」など10種類の気候から、メディアセンターに資料がある地域を選びます。クラスを10班(1班3~4名)に分け、2学期には班を再編成して別の10地域について調べます。書架に入ると「並べ方にそんなルールがあったんだ」と興味津々な様子でいきいきしています。

アプローチとしては目新しくはありませんが、インターネットで検索せず、著者など出典先がいつでも明確で長く残る書籍で調べることを大事にしています。調べてまとめた成果はクラスで発表し、廊下の掲示板にも掲示して他クラスの取り組みもわかるようにします。
教員が力を入れて説明したことよりも自分で手間をかけて調べたことの方が生徒はよく覚えています。高校で世界史を教えていると、「それって中1のときに調べたかも」というつぶやきが聞こえます。

恵泉女学園中学校/メディアセンター

恵泉女学園中学校/メディアセンター

礼拝での「感話」で書く・話す・聞く力を鍛える

服部先生 本校の特徴の一つに「感話」があります。生活の中で感じたこと、考えたことをまとめて、礼拝のときにみんなの前で話します。1人につき年3回担当します。話す内容をあらかじめ書き出すのですが、中1で原稿用紙3~4枚、高3になると7~8枚書く生徒もいます。自分の気持ちをよどみなく書くのが得意で、「書く」ことへの抵抗感はなくなっていきます。

感話の一番の先生は友達です。「そんなことを考えていたんだ」「自分が言いたいことを言ってくれた」と仲間から刺激を受けてどんどん自分の言葉で表現できるようになっていきます。学年が上がるにつれて抽象的な観念が身についていくと、いろいろな場面でキャッチしたことを感話に織り込むようになります。

恵泉女学園中学校/社会科教室

恵泉女学園中学校/社会科教室

人間の尊厳について考える「平和教育」

德山先生 本校は「平和教育」にも力を入れています。毎年の「世界祈祷日」では1つの国のことを取り上げて祈ります。本校は世界の出来事に無頓着ではいられない環境にあるので、社会科の学びにも役立っています。
本校は世界に目を向け、平和を実現する女性の育成を目指しています。中3以上を対象にした平和学習の講演は、毎年国内外から講師を招いてお話ししていただいています。講演後には生徒と講師の方が話す場を設けています。
例えば、”キルギスの誘拐結婚”の事例には大きな衝撃を受け、世界の多様な文化と価値観を学ぶ貴重な機会となりました。

土台づくりは身の回りの社会の仕組みの理解から

服部先生 社会科の目標は、「自分を取り巻く社会の成り立ちを理解し、国際社会を生き抜く土台の形成」です。国際系の大学・学部に進学する生徒が多いのは、学校生活の中で自然に「国際社会」を意識し、「誰かのために」という思いが育まれる環境だからでしょう。

まずは自分の足元をしっかり固めることが肝心です。地理・歴史や公民は、身の回りの仕組みを理解する入口です。そうして問題解決に必要な知恵と行動力を備えて、余裕が生まれてきたら世界に目を向けます。

学年が上がるにつれてあらゆる科目の知識が結びつくと、最終的には高校3年生で履習する政治・経済や倫理に収れんしていきます。学びが横断的になってくる高3になると、科目を超えた学問の結びつきを感じることが増えたと生徒から聞きます。例えば、世界史で古代ローマ帝国の成り立ちを習っていたので、古代ローマ帝国に触れた現代文の評論を「一段と味わえた」そうです。

恵泉女学園中学校/学園史料室・展示物

恵泉女学園中学校/学園史料室・展示物

2020年新テストに向けて各教科で対策進む

新テスト対策はどうされていますか。

服部先生 プレテストを見ると、知識の活用力が求められるように感じました。知識の習得は疎かにできませんし、知識を使いこなす訓練も必要だと感じました。活用力は生徒が対策に本気になる定期試験で鍛えるのが近道でしょう。思考力を試す文章記述も定期試験で出すようになっています。

德山先生 英語については従来から自分の考えを表現する力を養ってきましたが、ディベートやスピーチコンテストなどでさらに強化していきます。
理科は「探究実験」が軌道に乗ってきました。中3理科の総仕上げとして、興味があるテーマを選択し、実験の方法、考察、まとめ、発表に至るまですべてを自分たちで組み立てます。実験結果はグループごとにまとめ、クラスでプレゼンテーション・質疑応答まで行います。
実験の様子を見ると集中して取り組んでいて、何より楽しそうです。仮説通りにならないと「どうしてだろう?」と盛り上がっています。疑問が浮かびやすいようで主体性が育まれており、生徒の成長を頼もしく思います。

インタビュー3/3

恵泉女学園中学校
恵泉女学園中学校1929年、第一次世界大戦を経験したクリスチャン・河井 道が、「広く世界に向かって心の開かれた女性を育てなければ戦争はなくならない」と考えて創立した。創立当初より聖書・国際・園芸を教育の柱に据え、生徒の知性・感性・社会性を育てている。この伝統は今に受け継がれ、様々な分野で活躍する女性を輩出し続けている。
現在の校舎は創立者の言葉を刻んだ「泉」のある中庭を囲んで配置され、木材を多用し、明るく広々とした雰囲気。また、HR教室24教室分の広さと9万冊の蔵書を誇るメディアセンターをはじめ、生徒の自立的学習を支援する施設が備えられている。
恵泉の朝は、25分間の礼拝から始まる。聖書や感話の中で語られる、人それぞれの生きる営み。様々な生き方を知り、「自分とは何者か」「自分はいかに生きるべきか」、思索を深めていく。恵泉教育の特徴のひとつである「感話」は、日頃感じたり考えたりしたことをまとめたもので、礼拝の中で他の生徒の前で述べる。神との対話、理想とする生き方、友人とのトラブル、留学から学んだこと、哲学や芸術について……多感な時期に感話を書き、また聞き続けることで、誠実に人生に向き合うことを学ぶ。
英語は少人数制と豊富な選択授業により、Reading, Writing, Listening, Speakingの4技能をバランスよく伸ばし、コミュニケーションツールとしての英語を身につけることを目標としている。中学生は英検各級の満点合格者が多数。5年生の54%が2級以上を取得。準1級取得者は12名。また、TOEICでは海外経験がなくてもスコア800以上をとる生徒もいる。
多くの生徒がスポーツ系、文化系の21のクラブで活動している。茶道やオーケストラやサイエンス・アドベンチャーなどの課外活動では、専門の指導者による学年の枠をこえた授業を行っている。また、クラブ活動のほかに学校生活を豊かにするための委員会活動などもある。