シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

渋谷教育学園渋谷中学校

2018年05月掲載

渋谷教育学園渋谷中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1. 数学や算数のジャンルでも受験生の「言葉で表現する力」を見たい、という出題意図

インタビュー1/3

例をあげて説明する解答よりも一般的な言い方でまとめた解答を望んでいた問題

加藤先生 本校の考えていた解答としましては、例をあげて解答するケースというよりも、むしろ極端に点数の高い生徒が少数おり、大多数が極端に点数の低かった場合、といったケースを正答として考えておりました。

一般的な言い方ということですね。実際のところ一般的にまとめた解答と具体例をあげた解答、どちらの解答が多かったのでしょうか?

加藤先生 同じぐらいだったという印象です。

矢谷先生 正答率は本校が想定していたよりも多くの生徒が正しく答えており(60~70%の間)、我々も具体的な数で答えてくるのではないか?と思っていたのですが、文章でしっかりと答えてくれ、かつ採点側を納得させようと一生懸命考えた文章を書いた受験生が思った以上にいたように感じました。

ちなみに無答ではなく、手を付けたものの誤答になった割合(誤答率)どれくらいあったのでしょうか?

加藤先生 感覚として2割ぐらい、無答の子が1割ぐらいですね。ほぼ全員が取り組む1問目の小問集合の中の一つでしたので、さすがに取り組まないという生徒はあまりいないものの、何を書いていいのかわからないという受験生は中にはおりました。この問題について部分点は設けませんでした。

数学科主任/加藤 信一 先生

数学科主任/加藤 信一 先生

ただ数値を求めるだけでなく、言葉の表現力を求める出題形式

記述問題は例年あると思いますが、今回理由系の問題を出題した理由とはどんなことがありますでしょうか?

加藤先生 数学や算数というのは値を求めるもの、と思われがちですが、「言葉を使って正しく説明できること」も大切であると考えておりました。その一環として出題した経緯となります。

また、高等学校の指導要領が変わりまして、統計に関する内容が数学Ⅰに入ってきます。最頻値のモード、中央値のメジアンの話も当然出てきます。そのことにも関連付けて出題した問題です。この問題については、本校の数学科内全員で携わったものですが、理由を書かせる問題をどのように採点するかの基準を作ることにある程度時間を要した、ということがありました。

渋谷教育学園渋谷中学校/図書室

渋谷教育学園渋谷中学校/図書室

問題意図を理解し解答が書ける生徒が昔に比べて多くなった

記述が増えると採点に時間がかかりますからね。大設問まるまる記述にして合否を出すということはすごいと思います。1問なら出せると思うのですが合計で4問ぐらい出題されますが、途中式の採点基準といったものも大変なのではないでしょうか?

加藤先生 たとえば式をただ羅列するのではなく、計算式がどのような意図をもって書かれているのか、それがわかるように書いてほしいと説明会等では申しております。そのため本校の受験をお考えのご家庭ではそのような練習もされてきていると思いますので、意図は組んでいただいているとは思っています。

記述問題についてできるだけ加点してあげたい気持ちは強い

先ほど、理由系の問題については今回部分点がないというお話でした。途中式でもかなり複雑な問題を出すこともあると思いますが、その場合の部分点は用意されているのでしょうか?

加藤先生 いわゆる記述式の問題に関しての部分点は設けてあります。考え方が合っているときは部分点をあげたいとは思っており、すべてオールオアナッシンングとするのではなく、ここまではきちんと考えられているので点数をあげよう、ということも当然ながらあります。

この数年間の記述問題を拝見させていただいて、複雑な立体についての問題や、文章題に対する途中を書かせる問題について非常に採点が難しいと思うのですが、そのあたりにも細かく部分点を設けているのでしょうか?

矢谷先生 単にその答えが出ればいいというものではなく、受験生が何年もかけて勉強してきたその知識を一枚の答案に書く。その日のためにやってきたことをできるだけ拾ってあげたいという気持ちはあります。

一生懸命やってきた受験生を見ていると、なるべくなら加点していきたいという気持ちは持っています。読めない字で書いてくる子もなかにはいるのですが、これはこういうことではないか?と相談しながら意味を捉えていくことも行っています。

受験生にとって算数は、問題数が少なく配点が大きいです。そのため、唯一細かく点数を取っていける部分が記述の部分だと思うので、1行でも2行でも書いてもらいたいところですね。

渋谷教育学園渋谷中学校/図書室

渋谷教育学園渋谷中学校/図書室

理由系の採点基準は難しい

矢谷先生 少し前からこのような理由系の問題を出したいと思っていましたが、結局採点を考えるとどうなのか?と言われつつ今年は出題してみました。

先生からみて予想通りでしたか?

矢谷先生 最初は多くの教員が「その答え方はむずかしいのではないか?」「さまざま解答が出てきたらどうする?」といろいろな意見が言われていたのですが、全員で試行錯誤した結果、本当に完璧な答案が書けなくても、だいたい読んでみてこれだったら納得できるという範囲は正解としようとなりました。そうではなく方向性が全く違うもの、納得できないものは不正解にしようということで途中点無しで採点しました。

これからもこのような理由系の問題を出題していこうとは思っていらっしゃいますか?

矢谷先生 出したいなとは思っていますが、上手に採点できる問題にしなければならないという難しさはありますね。

渋谷教育学園渋谷中学校/図書室

渋谷教育学園渋谷中学校/図書室

日本語として最低限相手に伝えられる解答が求められる

今回の問題に関しての誤答レベルはどんなものでしたか?

矢谷先生:日本語の文章として何を言っているかわからないものですね。不思議と白紙解答はないので、なんとか書こうとか埋めようといった気持ちが受験生にはあったと思います。算数的に見て、論理的に正しい正しくないというのはあると思うのですが、わかっていても何書いているのかがわからないということはあります。
また、自分で立てた数値設定が今一つだったがゆえに、途中で文章が成り立たなくなってしまったということもあると思います。この設定も上手にしないと解答が難しいですが、頑張って具体的に記述してきた子もおりました。

インタビュー1/3

渋谷教育学園渋谷中学校
渋谷教育学園渋谷中学校地上9階・地下1階の校舎は、地域との調和と快適な環境をコンセプトとして設計されており、都市工学の先端技術が駆使されています。これからの新世代にふさわしい、充実した学校生活を提供されています。教育目標は、21世紀の国際社会で活躍できる人間を育成するため「自調自考」の力を伸ばすことを根幹に、国際人としての資質を養う、高い倫理感を育てる、という3つです。
学習面における「自調自考」を達成するために、シラバス(学習設計図)が活用されています。シラバスは、教科ごとに1年間で学習する内容と計画が細かく書かれたもので、家づくりにたとえるならば設計図にあたるものです。シラバスをもとに、生徒自身が「いま何を学んでいるのか」「いま学んでいることは何につながるのか」ということを常に確認し、自ら目標を設定することで学習効果が上がるように指導されます。「何を学び、学んでいることは何につながるのか、全体のどのあたりを勉強しているのか」を確認しながら、授業に目標を持ち積極的に参加して、毎日の学習に取り組むことができます。外国人教師による少人数英語教育が実践され、さらに、中学3年生から、希望者は英語以外にもうひとつの言語を学ぶチャンスがあります。ネイティブの教師と一緒に自分の世界を広げてみましょう。開講講座は、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語です。海外研修は希望者を対象に、中学のオーストラリア研修、高校のアメリカ・イギリス・シンガポール・ベトナム研修があります。研修の目的は若者交流です。異文化理解や語学研修など、さまざまな経験を通して交流の輪が広がります。海外からの帰国生も多数在籍しており、留学生も受け入れています。
自分を律する心を養い、一人ひとりの人生をより豊かにし、人のために役に立ちたいと思う人間を育むため、生徒の発達段階に合わせたテーマで、6年間で30回にわたる「学園長講話」が行われています。