シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

和洋九段女子中学校

2018年04月掲載

和洋九段女子中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.和洋で出会う多様な友だちとの絆は強く、卒業後も続く…。

インタビュー3/3

保護者も変わった。アクティブな質問が増えている

保護者の方も変わってきているのでしょうか。

川上先生 今までは「もし勉強に遅れてしまったらフォローする体制はありますか」「もし、学校に行きづらくなったらカウンセラーの先生が対応してくれますか」というような質問が多かったのですが、最近は「英語の教科書はどこのものですか」「ネイティブスピーカーの先生はどちらのご出身ですか」「海外留学は充実していますか」といったアクティブな質問が多くなっています。

菅谷先生 以前の和洋なら中1からマルタに行かせるご家庭はなかったですよね。

先ほどお話していた、参加を希望した8人中3人が中1だったという海外語学研修ですね。

川上先生 マルタは初めて実施するので、対象を中3以上としたのですが、中1に「行きたい」という生徒が現れたので参加させることにしました。

菅谷先生 外国人と触れ合う機会を積極的に求める生徒が増えているので、国語科の責任は重いです。伝えたい思いはあっても、言葉をうまく使えないと伝わらないので、6年かけて自分が伝えたいことをしっかりと伝えることができる、言葉を運用する力をつけてあげなければいけないと思っています。

和洋九段女子中学校/先生

和洋九段女子中学校/先生

日本文化を学び、伝えることこそ留学の醍醐味

菅谷先生 私のクラスで1年間アメリカに留学していた生徒がいます。アメリカに行く前に日本料理や着付けなど、日本文化をしっかり身につけてから出かけました。それでも最初はものおじしてあまり話すことができなかったようです。英語力は十分なので、意を決して「私は日本人だ」「留学生だ」と触れ回ったそうです。校長室では「もっとたくさんの人に日本のよさを伝えたいから講堂を貸しほしい」とお願いし、日本文化をプレゼンしたそう。その子の話を聞いて、伝える技能(英語力)も必要ですが、伝えたいことを見つけて、勉強することも大切であることを痛感しました。

川上先生 日本文化を紹介するために、地元のテレビ局にも行ったようです。

菅谷先生 その生徒は「せっかくアメリカに来たのに、何もしないのはもったいない」「日本のことを勉強してきてよかった」と言っていました。後輩には、「ただ、留学するだけでは意味がない。自分が経験してきたことや、日本のことを伝えられるようにしてから行かないと使いものにならない」ということを伝えていました。

和洋九段女子中学校/オーストラリアホームステイ

和洋九段女子中学校/オーストラリアホームステイ

多様な生徒が集まる学校

学校の魅力を教えてください。

菅谷先生 多様性のあるところだと思います。とにかくいろいろな子がいます。例えば、入学時から英語がすごくできる子もいれば、まったくできない子もいます。温水プールがあるので、それを楽しみに入ってくる子もいれば、泳ぐことが苦手な子もいます。それは私が学生の時から変わっていません。

川上先生 その校風は進路によく表れていて幅広いです。菅谷の同期には、防衛省に勤めている子や新幹線の運転手をしている子がいます。飛行機のパイロット、CA、地上職が同じ会社にいる代もあります。卒業生と話すと、卒業後も姉妹のように連絡を取り合っていて、互いに励まし合いながら乗り越えている様子が伝わってきます。そこも本校の魅力だと思います。

菅谷先生 いろいろな友だちがいる中で、友だちが熱中しているものに触れて、自分も好きになることもありますが、進路については、中高時代に話していた職業に就いている子が多いです。そこは芯が通っています。

和洋九段女子中学校/英語レッスン

和洋九段女子中学校/英語レッスン

受験勉強は、将来、必ず役に立つ

最後に、中学受験を経験されている菅谷先生から小学生に向けてメッセージをお願いします。

菅谷先生 中学受験のきっかけは、自分ではないことが多いですよね。生徒と話していても、「親の働きかけにより(私立中学を)受けることにした」という声をよく聞きます。私もそうでした。だからこそ、受験勉強は楽しんでください。学校は難しい知識を求めているわけではないので、まずは小学校で学ぶ基礎的な知識をしっかりと身につけることから始めるといいと思います。

私は、和洋を訪れた時に雰囲気が一番自分に合っていると感じて「この学校に入りたい」と思いました。通っていた日能研の先生から「学校(志望校)の門の前に立っているイメージを持ちなさい」と言われて、本校の前の坂をイメージして勉強しました。振り返ると、とても楽しく勉強できたように思います。

教師になって思うのは、受験勉強で身につけた知識や習慣は中学校に入ってからも役立つということです。ですから入試を突破するためにやっているという意識ではなく、その先につながるんだという思いをもって勉強してほしいです。
また、今は文字を書く機会が減っているので、日常生活の中で文字をしっかり書くという習慣を身につけられると、中学校はもちろん、その先の人生でも役に立つと思います。

和洋九段女子中学校/図書室

和洋九段女子中学校/図書室

インタビュー3/3

和洋九段女子中学校
和洋九段女子中学校1897年創立の伝統ある女子校。ひとつの家族のような温かい校風であり、また必要なしつけもしっかりと行われる。生徒からは、まじめでしっかりした雰囲気が感じられる中高一貫校だ。
そして、2017年からスタートしたグローバルクラスは、英語はオールイングリッシュの授業で、海外の大学進学を視野に入れている。また、本科クラスでも、PBL型授業を行い、プレゼンテーション能力育成を重視する。真のグローバル化に対応するため、日本文化教育も大切にする。従来の校風に、新しい風が吹きこまれ、生徒の雰囲気はさらに生き生きと感じられる。
習熟度別授業や選択授業も実施し、細やかに一人一人の学力が育成される。スタディステーション(自習室で、希望者は夜の8時まで使用可)など、サポート体制は万全だ。その成果として、近年は、MARCHなどへの実績が伸びている。勉強だけではなく、クラブ活動も盛ん。筝曲は全国大会レベルにあり、ダンスも都大会に出場する。
自主的に問題解決を図る姿勢や能力を身につけるため、学校独自の「自主活動」では、中学はグループ学習、高校は卒業論文に取り組む。放課後の「英会話サロン」では、ネイティブスピーカーの先生と英語のみで語り合う。校内留学の場だ。