出題校にインタビュー!
和洋九段女子中学校
2018年04月掲載
和洋九段女子中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
1.校名に込められた思い「和魂洋才」を実現できる学校へ。
インタビュー1/3
出題意図はグローバル化
出題意図からお話いただけますか。
菅谷先生 出題意図は「グローバル化」です。伝える手段となる英語力も大事ですが、自国の文化を知らなければコミュニケーションを取ることができません。そこで何か1つ日本の文化をあげて、理由を書く問題を出題しました。
いい問題文でしたよね。身近だと、ともすると「知っている」ということになりかねませんが、「そうなんだ」ということがちりばめられていて最後まで引きつけられました。
菅谷先生 私たちも、子供たちに「おもしろい文章だった」と思ってもらいたい。入試をきっかけに興味をもってくれたら嬉しいという気持ちで毎年、題材選びをしています。国語科の全教員が小説と説明文、両方を持ち寄り、その中から検討して決めています。問題文を探す際には、主人公が受験生と年齢が近い女の子など、受験生が取り組みやすいものを選ぶようにしています。説明文に関しては、日常生活から離れ過ぎていないものを選ぶようにしています。その上で今回の問題文は「グローバル化」という出題意図につながるであろうということで採用しました。
国語科/菅谷 真由先生
校名に込められた和魂洋才とリンクした問題
川上先生 本校の創立者もフランス式の洋服に関わっています。そもそもの成り立ちが、三越専属の技術士の方から創立者が洋服の作り方を教わったことから始まっています。当時の校名は「和裁洋裁女学園」。当時、洋裁を教えられる学校がなかったそうで、120年前から働く女性を世の中に送り出すことを使命としていました。いろいろと学ぶ中で、欧米から遅れをとっている日本の現状に気づき、教えることが洋裁だけではなくなっていったので、「和魂洋才」という言葉から「和洋」を校名につけました。和魂洋才は今もっとも世の中で求められているものです。この問題は、まさに校名に込められている思いがリンクしている問題で、こうして取り上げていただくことを嬉しく思っています。
和洋九段女子中学校/教室
受け手を説得できる根拠が必要
菅谷先生 今回の問題は簡単に見えますが、「なぜそれが日本文化なのか」という理由づけの部分で差がつきました。得点率は55%。6点満点の問題で平均点は3.3点でした。完璧な解答はほとんどありませんでした。
採点方法は減点式ですか。
菅谷先生 そうです。ブレのないように、この問題だけを採点する先生が2、3人で同時に採点しました。解答は何をあげてもかまいません。それが日本を代表する文化である理由が肝心で、論理的に書かれているかどうかを基準に採点しました。例えば、「着物」を選んだ理由として「昔からあるから」では浅すぎます。もっている知識やこれまでの経験などを加えて、具体性のある文章で受け手を説得することが必要でした。
満点の解答とはどのようなものですか。
菅谷先生 例えば、「神社」と解答し、理由として「生きる上で直接関係はないけれど、よりよく生きる上で必要なものだから」と書いた受験生がいました。これは日本人の精神的な支えに触れているので満点にしました。
日本の文化が出てこない受験生はいましたか。
菅谷先生 それはなかったです。祭り、着物、寿司など、何かしらは書いていました。問題文がお菓子をテーマにしていたので、「和菓子」という解答もありました。事前に「和菓子という答えがあったらどうする?」という話をしましたが、理由づけの部分が重要なので、そこを見ればいいということで一致していました。実際には「昔からある」「お茶に合う」など理由が浅く、少し残念でした。
解答から感じたことがあれば教えてください。
菅谷先生 解答は想定内のものばかりで、驚かされたものは特にありませんでした。例えば入試ではなく、授業など時間をかけて考えることができるなら、違う答えが出てきたかもしれません。
和洋九段女子中学校/ロビー
インタビュー1/3